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本編
187.結婚式まで指折り数える
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エック兄様に届いた来賓からの手紙により、結婚式は二週間の間に纏めて行われると決まった。滞在できる限界が二週間前後なのよ。祝いの品を積んだ馬車で、王侯貴族が不自由しない荷物と一緒に移動するのよ? 騎士団だってついて来るわ。
そんな大所帯が移動すれば、遠い国なら片道に一か月ほどかかる。国境を接した国だって、二週間は移動に費やされる。一番早く駆けつけそうなのは、イエンチュ王国ね。国境を接している上に、タラバンテ部族の機動力が高いの。呼んだら三日で駆けつけそう。
私室で、運び込まれたドレスを確認する。結婚式は、私から始まる予定よ。到着日時は予定されており、早めに到着するよう手配されている。それでも天候や盗賊、事故など、不測の事態で到着が遅れる可能性があった。
ここばかりは距離があるから仕方ないわ。当初はルヴィ兄様の結婚式から……と思っていたけれど、万が一にも遅れる国が出たら? 彼らの面目を潰してしまうわ。ルヴィ兄様の結婚式にケチがつくのも嫌だった。リヒター帝国の正統なる後継なのに、軽んじられたみたいでしょう?
だから、まずは私。女性であるから適齢期が……と理由を付けた。トルソーが着るドレスは、フィッシュテールだ。皇族の女性が着用するのは珍しく、記録を見てもガブリエラ様くらいだった。公式行事ではなく、視察先で着用している。
王侯貴族の女性は、足を見せることを「はしたない」と考える慣習があった。だからドレスの形はすべて足首まで隠す。形によっては引きずるほど長い。
私のドレスはひざ下から緩やかに後ろへ向けて長くなり、裾は引きずっていた。全体の色は柔らかな青紫のグラデーションで、裾へ向けて色が濃くなる。内側に白いスカートを着用し、開いたフロント部分から見えるようにした。これなら問題ないはず。
「素敵ね、私もこのタイプのドレスが欲しいわ」
手伝いに来たマルグリットの言葉に、ふふっと笑う。彼女は布をふんだんに使ったAラインを選んだ。プリンセスラインのように内側から膨らませないけれど、歩くと広がるスカートが美しいわ。皇妃であるためリヒテン・ブルーの鮮やかな絹で作らせたドレスに、白いレースを重ねている。全体にレースが重なるから、幻想的で素敵だった。
「作らせてはいかが? 皇妃殿下」
「あら……気が早いですわ。ローヴァイン公爵夫人」
互いに少し先の呼び名を口にして、くすくすと笑い合う。コルネリアやアデリナのドレスも、出来上がった頃ね。ドレスの色は皇族の象徴色を取り入れたり、自分の好きな色を差し色に使ったり。お祝いなんだもの、華やかに仕上げたいわ。
「披露宴も同じドレスにする、そう通達を出したから何種類も作らなくて済んだわね」
来賓や貴族にも通達していた。理由は、ここしばらく神殿が騒がしかったこと。神々への信仰を示すと説明すれば、誰も異論はなかった。加えて、人心が落ち着いていない。戦寸前まで騒動が大きくなったデーンズ王国や、王が急逝したアルホフ王国、他国に吸収された領地……。
一人勝ちしたリヒター帝国の祝い事で、豪華にしすぎると反発を招くわ。だから一点だけ満足できる豪華なドレスを作って終わり。せっかく幸せの象徴として最高のドレスを作るのに、一回しか着ないなんてもったいないわ。結婚式のドレスなんて目立ちすぎて、何度も着用する機会はなさそうだもの。
結婚式まであと七日、指折り数えて待つ程度の時間だけ。そうしたら私は、二度目の結婚衣装を着て大好きな人の隣に立つ。絶対に幸せになるから、逃がさないわよ? 覚悟してね、クラウス。
そんな大所帯が移動すれば、遠い国なら片道に一か月ほどかかる。国境を接した国だって、二週間は移動に費やされる。一番早く駆けつけそうなのは、イエンチュ王国ね。国境を接している上に、タラバンテ部族の機動力が高いの。呼んだら三日で駆けつけそう。
私室で、運び込まれたドレスを確認する。結婚式は、私から始まる予定よ。到着日時は予定されており、早めに到着するよう手配されている。それでも天候や盗賊、事故など、不測の事態で到着が遅れる可能性があった。
ここばかりは距離があるから仕方ないわ。当初はルヴィ兄様の結婚式から……と思っていたけれど、万が一にも遅れる国が出たら? 彼らの面目を潰してしまうわ。ルヴィ兄様の結婚式にケチがつくのも嫌だった。リヒター帝国の正統なる後継なのに、軽んじられたみたいでしょう?
だから、まずは私。女性であるから適齢期が……と理由を付けた。トルソーが着るドレスは、フィッシュテールだ。皇族の女性が着用するのは珍しく、記録を見てもガブリエラ様くらいだった。公式行事ではなく、視察先で着用している。
王侯貴族の女性は、足を見せることを「はしたない」と考える慣習があった。だからドレスの形はすべて足首まで隠す。形によっては引きずるほど長い。
私のドレスはひざ下から緩やかに後ろへ向けて長くなり、裾は引きずっていた。全体の色は柔らかな青紫のグラデーションで、裾へ向けて色が濃くなる。内側に白いスカートを着用し、開いたフロント部分から見えるようにした。これなら問題ないはず。
「素敵ね、私もこのタイプのドレスが欲しいわ」
手伝いに来たマルグリットの言葉に、ふふっと笑う。彼女は布をふんだんに使ったAラインを選んだ。プリンセスラインのように内側から膨らませないけれど、歩くと広がるスカートが美しいわ。皇妃であるためリヒテン・ブルーの鮮やかな絹で作らせたドレスに、白いレースを重ねている。全体にレースが重なるから、幻想的で素敵だった。
「作らせてはいかが? 皇妃殿下」
「あら……気が早いですわ。ローヴァイン公爵夫人」
互いに少し先の呼び名を口にして、くすくすと笑い合う。コルネリアやアデリナのドレスも、出来上がった頃ね。ドレスの色は皇族の象徴色を取り入れたり、自分の好きな色を差し色に使ったり。お祝いなんだもの、華やかに仕上げたいわ。
「披露宴も同じドレスにする、そう通達を出したから何種類も作らなくて済んだわね」
来賓や貴族にも通達していた。理由は、ここしばらく神殿が騒がしかったこと。神々への信仰を示すと説明すれば、誰も異論はなかった。加えて、人心が落ち着いていない。戦寸前まで騒動が大きくなったデーンズ王国や、王が急逝したアルホフ王国、他国に吸収された領地……。
一人勝ちしたリヒター帝国の祝い事で、豪華にしすぎると反発を招くわ。だから一点だけ満足できる豪華なドレスを作って終わり。せっかく幸せの象徴として最高のドレスを作るのに、一回しか着ないなんてもったいないわ。結婚式のドレスなんて目立ちすぎて、何度も着用する機会はなさそうだもの。
結婚式まであと七日、指折り数えて待つ程度の時間だけ。そうしたら私は、二度目の結婚衣装を着て大好きな人の隣に立つ。絶対に幸せになるから、逃がさないわよ? 覚悟してね、クラウス。
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