36 / 82
36.見せしめはどこの店が閉まるのか
しおりを挟む
お家に着いた僕達を、皆が取り囲んだ。お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも来ている。吸血鬼のおじさん、翼の手のおねえさんと耳長のおにいさん。他にも魔狼や獣人の人もいた。
「これで揃ったか?」
卵を二つ、差し出したベル様が確認する。一番初めのお部屋で会った子も、ここにいた。吸血鬼のおじさんが連れてきたの。ベル様に抱っこされた僕に近づいたお母さんが悲鳴をあげた。
「きゃああああぁ! ウェパルの背中……傷がっ!」
まだ塞がってないから、びっくりさせちゃった。慌ててお母さんに手を伸ばそうとしたけど、傷が引っ張られたから我慢する。
「お母さん、いまは痛くないの。ベル様が治してくれるから平気だよ」
泣きながら頷くお母さんを、お父さんがそっと抱き寄せた。尻尾で優しく包んで、ぽんぽんと背中を叩く。仲良ししていたら、お母さんも落ち着いたみたい。
「ケガは俺のミスだ」
すまなかったとベル様が詫びる。でも違うんだよ、僕は人間にやられたの! そう訴えた。背中の傷が深いし、まだ右手は全部治ってないけど。左手を振り回して精一杯伝えた。
「僕はちゃんと戦ったよ、強いドラゴンの子だもん。人間もブレス……! あ、僕、ブレスができたんだ。火のブレスがぶわって出て、人間をやっつけたの」
お父さんが目を輝かせて「よくやった」と褒めてくれた。ブレスができれば、一人前の竜なんだ。人間を二匹やっつけて、あと一匹はベル様が小さく切った。説明する間に、助かった子が近づてくる。
「ありがとう、ございました……魔王様」
耳長の子がお礼を言ったら、他の子も頭を下げた。ベル様は素っ気なく、「ああ」と答える。でも嬉しそうだった。僕はベル様の代わりに尻尾を大きく振る。まだ背中が引き連れて変な感じするけど、痛みがないだけで楽だった。
「人間は子どもを攫って何をするんだ?」
ベル様の疑問に、吸血鬼のおじさんが答える。魔族はこういうとき、子どもをのけ者にしない。一緒に聞くのは同族の証なんだ。嫌なら耳を塞いだらいいんだから。
「酷い場合は実験材料などで殺されます。生きていても奴隷扱いだったり、皮を剥がれた者も」
「……見せしめが必要だ」
ベル様はそれ以上酷い部分を察して、遮った。皮を取るなんて、痛いし苦しい。その後も困るのに、どうして人間は悪いことをするんだろう。
ベル様は厳しい顔で店を閉めると言った。どこのお店? 首を傾げる僕にベル様は変な顔をする。尋ねない方がいいかな。なんとなく、そう感じた。
「人間の城を俺が叩く」
一人で行くと宣言したら、せっかくだから大勢で行こうと決まった。吸血鬼のおじさんが希望者を募る。お祖父さんとお父さんは参加を決めたけど、お母さんはお留守番。僕も置いていかれる。
「一緒がいいな」
ベル様に笑顔でお願いしたけど、今回はケガをしているからダメだった。ゆっくり治しているのは、成長した後でまた痛くならないようにだって。心配だと言われたら、僕も分かる。待ってるのも奥さんの仕事なんでしょ? 気をつけて、早く帰ってきてね。
「これで揃ったか?」
卵を二つ、差し出したベル様が確認する。一番初めのお部屋で会った子も、ここにいた。吸血鬼のおじさんが連れてきたの。ベル様に抱っこされた僕に近づいたお母さんが悲鳴をあげた。
「きゃああああぁ! ウェパルの背中……傷がっ!」
まだ塞がってないから、びっくりさせちゃった。慌ててお母さんに手を伸ばそうとしたけど、傷が引っ張られたから我慢する。
「お母さん、いまは痛くないの。ベル様が治してくれるから平気だよ」
泣きながら頷くお母さんを、お父さんがそっと抱き寄せた。尻尾で優しく包んで、ぽんぽんと背中を叩く。仲良ししていたら、お母さんも落ち着いたみたい。
「ケガは俺のミスだ」
すまなかったとベル様が詫びる。でも違うんだよ、僕は人間にやられたの! そう訴えた。背中の傷が深いし、まだ右手は全部治ってないけど。左手を振り回して精一杯伝えた。
「僕はちゃんと戦ったよ、強いドラゴンの子だもん。人間もブレス……! あ、僕、ブレスができたんだ。火のブレスがぶわって出て、人間をやっつけたの」
お父さんが目を輝かせて「よくやった」と褒めてくれた。ブレスができれば、一人前の竜なんだ。人間を二匹やっつけて、あと一匹はベル様が小さく切った。説明する間に、助かった子が近づてくる。
「ありがとう、ございました……魔王様」
耳長の子がお礼を言ったら、他の子も頭を下げた。ベル様は素っ気なく、「ああ」と答える。でも嬉しそうだった。僕はベル様の代わりに尻尾を大きく振る。まだ背中が引き連れて変な感じするけど、痛みがないだけで楽だった。
「人間は子どもを攫って何をするんだ?」
ベル様の疑問に、吸血鬼のおじさんが答える。魔族はこういうとき、子どもをのけ者にしない。一緒に聞くのは同族の証なんだ。嫌なら耳を塞いだらいいんだから。
「酷い場合は実験材料などで殺されます。生きていても奴隷扱いだったり、皮を剥がれた者も」
「……見せしめが必要だ」
ベル様はそれ以上酷い部分を察して、遮った。皮を取るなんて、痛いし苦しい。その後も困るのに、どうして人間は悪いことをするんだろう。
ベル様は厳しい顔で店を閉めると言った。どこのお店? 首を傾げる僕にベル様は変な顔をする。尋ねない方がいいかな。なんとなく、そう感じた。
「人間の城を俺が叩く」
一人で行くと宣言したら、せっかくだから大勢で行こうと決まった。吸血鬼のおじさんが希望者を募る。お祖父さんとお父さんは参加を決めたけど、お母さんはお留守番。僕も置いていかれる。
「一緒がいいな」
ベル様に笑顔でお願いしたけど、今回はケガをしているからダメだった。ゆっくり治しているのは、成長した後でまた痛くならないようにだって。心配だと言われたら、僕も分かる。待ってるのも奥さんの仕事なんでしょ? 気をつけて、早く帰ってきてね。
140
あなたにおすすめの小説
オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。
黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の
(本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である)
異世界ファンタジーラブコメ。
魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、
「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」
そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。
魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。
ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。
彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、
そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』
と書かれていたので、うっかり
「この先輩、人間嫌いとは思えないな」
と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!?
この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、
同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑)
キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、
そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。
全年齢対象です。
BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・
ぜひよろしくお願いします!
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
a life of mine ~この道を歩む~
野々乃ぞみ
BL
≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫
第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ
主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック
【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~
必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。
異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。
二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。
全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 閑話休題以外は主人公視点です。
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
誓いを君に
たがわリウ
BL
平凡なサラリーマンとして過ごしていた主人公は、ある日の帰り途中、異世界に転移する。
森で目覚めた自分を運んでくれたのは、美しい王子だった。そして衝撃的なことを告げられる。
この国では、王位継承を放棄した王子のもとに結ばれるべき相手が現れる。その相手が自分であると。
突然のことに戸惑いながらも不器用な王子の優しさに触れ、少しずつお互いのことを知り、婚約するハッピーエンド。
恋人になってからは王子に溺愛され、幸せな日々を送ります。
大人向けシーンは18話からです。
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜
陽七 葵
BL
主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。
この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。
そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!
ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。
友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?
オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。
※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる