【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(りょうが)今年は7冊!

文字の大きさ
44 / 82

44.人間は嫌な生き物だな

しおりを挟む
 人間がいっぱいで攻めてきた! 一万は多い数だと思う。僕達が普段使わない数字だった。ベル様によれば、百が百個……うわぁ、そんなに人間がいるんだね。

 お祖父ちゃんがすぐに駆けつけて、お父さんが少し遅れて到着した。二人とも戦うつもりで、今回はお母さんも一緒に行くみたい。

「危なくないの?」

「敵の数が多い時はこちらも数を増やすのよ」

 お母さんの説明によれば、いっぱいが攻撃してきたら、こっちもいっぱい並んでやり返す。一人で十人倒すより、一人で一人の方が簡単でしょ、だって。魔族は強いから十人でも倒せると思うけど。

 たくさん味方がいれば、負ける心配も減る。周りの人を助けたり、助けてもらったりできるから。なるほどと僕は大きく頷いた。そのままベル様の服をきゅっと掴む。

「どうした」

「僕もいく」

「当たり前だろう。置いていくわけがない」

 そうなの? 危ないからここで待ってなさい、と言われる気がしていた。ベル様は絶対に勝つし、吸血鬼のおじさん達も強い。

 ベル様は他の種族にも声掛けをした。幼子も戦場近くまで連れて参加するよう、命令を出すの。嫌な予感がするみたい。ベル様によれば、こういう大規模な作戦を人間が行うときは、何かある。裏でこっそり子どもを人質に取ったり、巣を破壊したり。後ろで悪さされるくらいなら、全員集まる方が安全だ。

 人間はそんなに悪い考えをするんだね。嫌な生き物だな。僕だって五年経って強くなったと思う。ブレスもいっぱい練習して、すぐに出せるようになった。

「行くぞ」

 お祖父ちゃんの背中に乗って移動し、人間の群れを上から眺める。すごく高いところで、ぐるりと回ったお祖父ちゃんに向けて棒が飛んできた。あれは人間の武器で、矢なんだ。先端が尖ってて、チクチクするらしい。

 お祖父ちゃんの説明を聞きながら、落ちていく矢を眺めた。真っ直ぐ飛んでくるけど、お祖父ちゃんまで届かない。途中で落ちてしまった。飛ばす力が足りないのかな。

 何周か回ったら、近くにある小さな山の上に降りた。木がない丘みたいな山だよ。耳長のおねえさん達はもちろん、小人のおじいさんや巨人のおにいさんも集まっていた。吸血鬼のおじさんは、森の木の陰にいる。

「ここを基地とし、防衛ラインをあの川にする。線を越えた人間は、全員殺せ。一切の容赦は不要!」

 口々に皆が返事をする。僕も分かったフリで頷いた。えっと、基地と防衛ライン、容赦は不要を後で教えてもらおう。

 ベル様は僕を抱っこしたまま、降りろと言わない。だから首に手を回して抱きついた。僕は奥さんだから、ベル様と一緒に戦うよ。

 魔法を使うベル様が、見てきた光景を地面に映し出す。山や川の位置もそっくり。その絵に皆があれこれ書き足した。手直しして、決まったみたいだ。

「作戦の決行は夕刻、それまでに配置につけ」

 大急ぎで移動する魔族は、連れてきた子どもをお母さんの周りに置いた。お祖母ちゃんも来ていて、他にもメスのドラゴンが子どもを守る係を担当する。僕も手招きされたけど、首を横に振った。

「悪いが、今回は経験を積ませる。連れていくぞ」

 お母さんにそう宣言し、ベル様は僕を連れてお祖父ちゃんの背にもう一度飛び乗った。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

僕を惑わせるのは素直な君

秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。 なんの不自由もない。 5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が 全てやって居た。 そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。 「俺、再婚しようと思うんだけど……」 この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。 だが、好きになってしまったになら仕方がない。 反対する事なく母親になる人と会う事に……。 そこには兄になる青年がついていて…。 いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。 だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。 自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて いってしまうが……。 それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。 何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

a life of mine ~この道を歩む~

野々乃ぞみ
BL
 ≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫  第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ  主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック 【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~  エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。  転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。  エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。  死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~  必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。  異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。  二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。 全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 閑話休題以外は主人公視点です。 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者

みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】 リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。 ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。 そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。 「君とは対等な友人だと思っていた」 素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。 【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】 * * * 2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

処理中です...