54 / 82
54.ベル様と特別な景色を楽しむ
しおりを挟む
お肉は真っ赤で鮮やかな色をしていた。馬という生き物なんだって。この生き物、よく見たら人間が乗っている姿を見たかも? あの時は色のついた布や変なコブが背中にあった。口も紐が出ていたっけ。思い出しながら説明したら、ベル様が「同じ生き物だ」と頷く。
よく覚えていたなと褒められ、なぜすぐ気づかなかったのかな? と首を傾ける。理由は大きさだった。人間が乗っていた馬より、こっちの馬の方が大きい。それに首も足も太かった。人間が飼っていた馬は細くてお腹もシュッとしている。
残ったお肉をベル様は消してしまった。前にも同じ魔法を使ったけど、どこへ消えちゃったんだろう? 不思議できょろきょろしていたら、教えてもらえた。見えないけれど、すぐ近くにある場所だって。その魔法は特別だから、誰かに知られたらいけないの。
「わかった、僕はちゃんと黙っているよ」
誰かに聞かれても答えない。嘘はいけないから、知らないフリで黙っているの。そう伝えたら、それでいいと頭を撫でられた。お腹がいっぱいになった僕を抱いて、ベル様はすごい速さで移動する。寒い地域を抜けて、すぐに暖かい森に入った。
大きな木の根元にベル様が座り、僕がお膝に座る。食べた後に温かいと眠くなっちゃう。ベル様にしっかり抱き着いて、あふぅと欠伸をした。ベル様は僕の背中の棘を撫でながら、黄金の畑に向かわなかった理由を教えてくれた。
今の時期はまだ黄金色じゃないんだって。青い普通の草みたいな色で、月が三回か四回消えた後に金色に変わる。人間が育てている草で、先端に小さな実が付くこと。それまで時間があるから、いろいろ見て歩こうと思ったこと。
ベル様はこの世界じゃない場所で魔王様をしていた。だからこの世界をよく知らないと言う。案内できたらいいけれど、僕もよく知らない。ベル様は二人で新しい景色をいっぱい見ようと笑った。凄く幸せそうに見えて、僕もへらりと笑う。
嬉しいな。ベル様は僕と一緒に見たいと思ってくれたんだ。特別だよって言われた気分だった。
「火の海は火山にあるから、ウェパルは見慣れているかもしれないぞ」
「お父さんのところ?」
「違うが、似た景色だろう」
ふーん。でもベル様と見たら全然違うよ。特別な景色だもん。伝えてぎゅっと抱き着いた。お父さんやお母さんは好き。もちろん、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも同じだ。全部集めても、ベル様への好きには足りない気がした。
大きさが目に見えないから測れない。僕の中の大好きを全部足したくらいある。両手を広げて説明する間に、知らない山に移動していた。魔法で移動したのかな? お父さんが住んでいる山も、この匂いがする。
くんくんと鼻をひくつかせた。何かが腐ったような匂いなのに、僕は嫌いじゃない。山の途中で、匂いが強くなった。
「あ、お風呂」
湯気が出ている大きな水たまりを見つけた。指差した先に、大きなお風呂がある。ベル様が作ったお風呂が三つくらい。折角だから入っていくことにした。縁に黄色い飾りがついたお風呂は、濁った色をしていた。
ベル様が先に入り、僕を抱っこして肩まで沈む。深くないみたいで、座るとちょうどいいとベル様は言った。……残念だけど、僕は沈んじゃうみたい。ベル様にしっかりしがみ付いて、温まった。
よく覚えていたなと褒められ、なぜすぐ気づかなかったのかな? と首を傾ける。理由は大きさだった。人間が乗っていた馬より、こっちの馬の方が大きい。それに首も足も太かった。人間が飼っていた馬は細くてお腹もシュッとしている。
残ったお肉をベル様は消してしまった。前にも同じ魔法を使ったけど、どこへ消えちゃったんだろう? 不思議できょろきょろしていたら、教えてもらえた。見えないけれど、すぐ近くにある場所だって。その魔法は特別だから、誰かに知られたらいけないの。
「わかった、僕はちゃんと黙っているよ」
誰かに聞かれても答えない。嘘はいけないから、知らないフリで黙っているの。そう伝えたら、それでいいと頭を撫でられた。お腹がいっぱいになった僕を抱いて、ベル様はすごい速さで移動する。寒い地域を抜けて、すぐに暖かい森に入った。
大きな木の根元にベル様が座り、僕がお膝に座る。食べた後に温かいと眠くなっちゃう。ベル様にしっかり抱き着いて、あふぅと欠伸をした。ベル様は僕の背中の棘を撫でながら、黄金の畑に向かわなかった理由を教えてくれた。
今の時期はまだ黄金色じゃないんだって。青い普通の草みたいな色で、月が三回か四回消えた後に金色に変わる。人間が育てている草で、先端に小さな実が付くこと。それまで時間があるから、いろいろ見て歩こうと思ったこと。
ベル様はこの世界じゃない場所で魔王様をしていた。だからこの世界をよく知らないと言う。案内できたらいいけれど、僕もよく知らない。ベル様は二人で新しい景色をいっぱい見ようと笑った。凄く幸せそうに見えて、僕もへらりと笑う。
嬉しいな。ベル様は僕と一緒に見たいと思ってくれたんだ。特別だよって言われた気分だった。
「火の海は火山にあるから、ウェパルは見慣れているかもしれないぞ」
「お父さんのところ?」
「違うが、似た景色だろう」
ふーん。でもベル様と見たら全然違うよ。特別な景色だもん。伝えてぎゅっと抱き着いた。お父さんやお母さんは好き。もちろん、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも同じだ。全部集めても、ベル様への好きには足りない気がした。
大きさが目に見えないから測れない。僕の中の大好きを全部足したくらいある。両手を広げて説明する間に、知らない山に移動していた。魔法で移動したのかな? お父さんが住んでいる山も、この匂いがする。
くんくんと鼻をひくつかせた。何かが腐ったような匂いなのに、僕は嫌いじゃない。山の途中で、匂いが強くなった。
「あ、お風呂」
湯気が出ている大きな水たまりを見つけた。指差した先に、大きなお風呂がある。ベル様が作ったお風呂が三つくらい。折角だから入っていくことにした。縁に黄色い飾りがついたお風呂は、濁った色をしていた。
ベル様が先に入り、僕を抱っこして肩まで沈む。深くないみたいで、座るとちょうどいいとベル様は言った。……残念だけど、僕は沈んじゃうみたい。ベル様にしっかりしがみ付いて、温まった。
128
あなたにおすすめの小説
オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。
黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の
(本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である)
異世界ファンタジーラブコメ。
魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、
「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」
そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。
魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。
ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。
彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、
そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』
と書かれていたので、うっかり
「この先輩、人間嫌いとは思えないな」
と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!?
この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、
同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、
「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」
「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」
とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑)
キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、
そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。
全年齢対象です。
BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・
ぜひよろしくお願いします!
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
僕を惑わせるのは素直な君
秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。
なんの不自由もない。
5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が
全てやって居た。
そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。
「俺、再婚しようと思うんだけど……」
この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。
だが、好きになってしまったになら仕方がない。
反対する事なく母親になる人と会う事に……。
そこには兄になる青年がついていて…。
いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。
だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。
自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて
いってしまうが……。
それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。
何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
御堂あゆこ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
【完結】僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
【2025/01/24 完結、ファンタジーBL】
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる