63 / 82
63.僕はお兄ちゃんになるから
しおりを挟む
朝になって、日差しが顔に降り注ぐ。眩しいからベル様に抱き着いて、胸に顔を埋めた。これなら眩しくないかも。
「ウェパル、凄く可愛いが……オリアスが睨んでるぞ」
「う、ん?」
オリアスはお父さんの名前だ。火竜の長をしてるの。将来はドラゴンの長であるお祖父ちゃんの跡を継ぎたいって言ってた。もそもそと顔を覗かせるも、眩しくてまた目を閉じる。無理……両手で目を覆って、隙間からちらっと確認した。
大きな体を盾にして日差しを防ぐお父さんは、赤い鱗をしている。眩しさが薄れて、ぱちぱちと瞬きした。お父さんだ! 後ろにお母さんも来ている。
「おはよう、お父さん、お母さん」
挨拶してから、待っているベル様の口に僕の口を寄せる。ちゅっと軽く触れた。
「ベル様もおはよう」
「ああ、おはよう。顔を洗っておいで」
ベル様に下ろしてもらい、ぺたぺたと歩いて湖を覗き込む。僕は水竜のお母さんの子だから、冷たいのは平気。もちろんお父さんが火竜だから、熱いのもヘッチャラだった。お水に手を浸して、濡れた手で顔を拭く。それからお水を顔に掛けた。いきなり冷たいのは良くないと聞いた。
何度も顔を洗って、振り返った僕をベル様が布で拭いてくれる。びっしょり濡れた手や顎も、全部だよ。優しい手に目を閉じて、いいと許可が出るまで我慢だった。顔も拭いてもらって、ようやく眩しいのも慣れた。
「ウェパル、こちらへ来て」
お母さんに呼ばれて、歩いて近づく。ぺたりとお腹に張り付くと、ひんやりした。お父さんだとぽかぽかする。どっちも好きだ。すりすりと青い鱗に頬をすり寄せて、ご挨拶をする。ドラゴンの愛情表現で、頬を鱗に当てる。これは家族とか、親しい人だけだって。
僕はお母さんの子どもだから、頬をすり寄せても構わない。お父さんがそわそわしながら待っているので、お母さんへの挨拶が終わってから抱き着いた。やっぱり大きい。鱗に頬をすり寄せたら、僕の背中でお父さんとお母さんがぶつかった。
二人一緒に頬を寄せるのは無理だと思う。僕はまだ小さくて、すりすりする面積がないから。お母さんに睨まれて、お母さんが先に挨拶してくれた。お父さんは僕のご挨拶が終わった頃、ようやく頬を当てる順番がくる。ここにお祖父ちゃん達がいると、さらにケンカになるんだ。
「ウェパル、大事なお話よ。あなたに弟か妹が出来たわ」
「……僕の、弟? 妹……どっち?」
弟と妹、両方じゃないよね。首を傾げる僕に、お母さんは丁寧に教えてくれた。卵がお腹にいて、もうすぐ出てくる。それを温めて孵せば、中にドラゴンの赤ちゃんがいる。女の子なら妹、男の子なら弟だった。
「よかったな」
「うん!」
ベル様に頷いて、なぜか照れているお父さんに首を傾げる。嬉しそうだからいいか。卵を孵す場所は、僕がお母さんと暮らしていた洞窟だ。僕、お兄ちゃんになるから干し草をいっぱい運ぶよ。柔らかくて細くて温かい干し草がいいな。
「絨毯も贈ろうか」
「いいの? ありがとう」
ベル様からのお祝いということで、絨毯も貰えた。お母さんと赤ちゃん、温かく過ごせるといいな。
「ウェパル、凄く可愛いが……オリアスが睨んでるぞ」
「う、ん?」
オリアスはお父さんの名前だ。火竜の長をしてるの。将来はドラゴンの長であるお祖父ちゃんの跡を継ぎたいって言ってた。もそもそと顔を覗かせるも、眩しくてまた目を閉じる。無理……両手で目を覆って、隙間からちらっと確認した。
大きな体を盾にして日差しを防ぐお父さんは、赤い鱗をしている。眩しさが薄れて、ぱちぱちと瞬きした。お父さんだ! 後ろにお母さんも来ている。
「おはよう、お父さん、お母さん」
挨拶してから、待っているベル様の口に僕の口を寄せる。ちゅっと軽く触れた。
「ベル様もおはよう」
「ああ、おはよう。顔を洗っておいで」
ベル様に下ろしてもらい、ぺたぺたと歩いて湖を覗き込む。僕は水竜のお母さんの子だから、冷たいのは平気。もちろんお父さんが火竜だから、熱いのもヘッチャラだった。お水に手を浸して、濡れた手で顔を拭く。それからお水を顔に掛けた。いきなり冷たいのは良くないと聞いた。
何度も顔を洗って、振り返った僕をベル様が布で拭いてくれる。びっしょり濡れた手や顎も、全部だよ。優しい手に目を閉じて、いいと許可が出るまで我慢だった。顔も拭いてもらって、ようやく眩しいのも慣れた。
「ウェパル、こちらへ来て」
お母さんに呼ばれて、歩いて近づく。ぺたりとお腹に張り付くと、ひんやりした。お父さんだとぽかぽかする。どっちも好きだ。すりすりと青い鱗に頬をすり寄せて、ご挨拶をする。ドラゴンの愛情表現で、頬を鱗に当てる。これは家族とか、親しい人だけだって。
僕はお母さんの子どもだから、頬をすり寄せても構わない。お父さんがそわそわしながら待っているので、お母さんへの挨拶が終わってから抱き着いた。やっぱり大きい。鱗に頬をすり寄せたら、僕の背中でお父さんとお母さんがぶつかった。
二人一緒に頬を寄せるのは無理だと思う。僕はまだ小さくて、すりすりする面積がないから。お母さんに睨まれて、お母さんが先に挨拶してくれた。お父さんは僕のご挨拶が終わった頃、ようやく頬を当てる順番がくる。ここにお祖父ちゃん達がいると、さらにケンカになるんだ。
「ウェパル、大事なお話よ。あなたに弟か妹が出来たわ」
「……僕の、弟? 妹……どっち?」
弟と妹、両方じゃないよね。首を傾げる僕に、お母さんは丁寧に教えてくれた。卵がお腹にいて、もうすぐ出てくる。それを温めて孵せば、中にドラゴンの赤ちゃんがいる。女の子なら妹、男の子なら弟だった。
「よかったな」
「うん!」
ベル様に頷いて、なぜか照れているお父さんに首を傾げる。嬉しそうだからいいか。卵を孵す場所は、僕がお母さんと暮らしていた洞窟だ。僕、お兄ちゃんになるから干し草をいっぱい運ぶよ。柔らかくて細くて温かい干し草がいいな。
「絨毯も贈ろうか」
「いいの? ありがとう」
ベル様からのお祝いということで、絨毯も貰えた。お母さんと赤ちゃん、温かく過ごせるといいな。
117
あなたにおすすめの小説
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
a life of mine ~この道を歩む~
野々乃ぞみ
BL
≪腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者≫
第二王子:ブライトル・モルダー・ヴァルマ
主人公の転生者:エドマンド・フィッツパトリック
【第一部】この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
【第二部】この道を歩む~異文化と感情と、逃げられない運命のようなものと~
必死に手繰り寄せた運命の糸によって、愛や友愛を知り、友人たちなどとの共闘により、見事死亡フラグを折ったエドマンドは、原作とは違いブライトルの母国であるトーカシア国へ行く。
異文化に触れ、余り歓迎されない中、ブライトルの婚約者として過ごす毎日。そして、また新たな敵の陰が現れる。
二部は戦争描写なし。戦闘描写少な目(当社比)です。
全体的にかなりシリアスです。二部以降は、死亡表現やキャラの退場が予想されます。グロではないですが、お気を付け下さい。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったりします。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 閑話休題以外は主人公視点です。
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる