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本編
第27話 竜帝陛下に忠誠を(2)
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頬が紅潮した私の手をしっかり握り、テユ様は柔らかく微笑みました。オレンジに近い蜂蜜色の瞳が細められ、優しく指先に唇を押し当てられます。
「人はこのようなことに感動するのか」
竜にとって当たり前でも、初めて見る光景に人は見入るもの。テラスに身を乗り出す貴族や、庭先に立つ侍女たちも驚いて固まっていました。これが答えですわ。
竜の存在は伝えられていますが、複数いるとは知りませんでした。他の貴族が伝えた話も、民がもつ絵本も、竜は単体で描かれていました。しかし敵を退け、大地を豊かにし、天候を操る能力が、1匹の竜によってすべて齎される説より現実味がありました。
きっと多くの竜が集まって、この国を守ってくださったのでしょう。
風を操る竜が穏やかな天候を保ち、水を操る竜が豊富な水資源を作り、炎を操る竜は敵を吹き飛ばした。そうやって重ねられた厚意の上に、私たちの幸せな暮らしはあったのですね。そう実感できます。
「これは魔法ですか?」
「我々がもつ能力のひとつだ。人と同じ形を取らねば、日常が不便で仕方ない」
確かに竜の大きさでは小さな仕事は出来ませんし、生活に必要な物や場所の確保も大変です。竜の住処が明かされない理由が不明でしたが、人型で暮らして来られたなら残っていないのも納得しました。彼らは人に紛れて生活し、人として姿を消したのでしょう。
「ステファニー、こちらへ」
テユ様の声が少し遠いです。赤い竜が舞い降りて、真っ赤な髪の青年になりました。水色の竜が同色のドレスを纏った女性に変わる。様々な色を持つ竜が舞い降り、小さな黄色い竜が少年姿を取ったところで一段落したようです。
私の手を引いたテユ様が、テラスの縁に手を置いて身を乗り出しました。12名の老若男女に、彼は声を張り上げます。
「皆、ご苦労であった」
「「「我らが竜帝陛下に忠誠を」」」
ざっと足を引いて膝をつき、貴族の挨拶に似た優雅な仕草で返答がありました。どちらかというと騎士の敬礼に近いかしら。
顔をあげた彼らは、じっと私に視線を集めます。
どうしましょう、もしかして竜帝陛下の隣に人間如きが立つなんて! と不快に思われたのではありませんか?
困惑して顔を向けた先で、テユ様が耳元に唇を寄せました。小声で囁かれたのは……。息がかかって擽ったいので、首を竦めながら聞きました。
「そなたの挨拶を待っておるのだ。何か声をかけてくれ」
「え、あ、その……竜の皆様、ようこそお越しくださいました」
「「「竜妃様にご多幸を」」」
「あ、ありがとうございます?」
揃ってのご挨拶に、どうしたらいいのか。お礼が疑問形になるくらい混乱しました。竜の皆様は庭に膝をついておいでですけど、これは拙いと思いますの。
国を守護してくださった方を中に招くのは当然ですわよね?
「人はこのようなことに感動するのか」
竜にとって当たり前でも、初めて見る光景に人は見入るもの。テラスに身を乗り出す貴族や、庭先に立つ侍女たちも驚いて固まっていました。これが答えですわ。
竜の存在は伝えられていますが、複数いるとは知りませんでした。他の貴族が伝えた話も、民がもつ絵本も、竜は単体で描かれていました。しかし敵を退け、大地を豊かにし、天候を操る能力が、1匹の竜によってすべて齎される説より現実味がありました。
きっと多くの竜が集まって、この国を守ってくださったのでしょう。
風を操る竜が穏やかな天候を保ち、水を操る竜が豊富な水資源を作り、炎を操る竜は敵を吹き飛ばした。そうやって重ねられた厚意の上に、私たちの幸せな暮らしはあったのですね。そう実感できます。
「これは魔法ですか?」
「我々がもつ能力のひとつだ。人と同じ形を取らねば、日常が不便で仕方ない」
確かに竜の大きさでは小さな仕事は出来ませんし、生活に必要な物や場所の確保も大変です。竜の住処が明かされない理由が不明でしたが、人型で暮らして来られたなら残っていないのも納得しました。彼らは人に紛れて生活し、人として姿を消したのでしょう。
「ステファニー、こちらへ」
テユ様の声が少し遠いです。赤い竜が舞い降りて、真っ赤な髪の青年になりました。水色の竜が同色のドレスを纏った女性に変わる。様々な色を持つ竜が舞い降り、小さな黄色い竜が少年姿を取ったところで一段落したようです。
私の手を引いたテユ様が、テラスの縁に手を置いて身を乗り出しました。12名の老若男女に、彼は声を張り上げます。
「皆、ご苦労であった」
「「「我らが竜帝陛下に忠誠を」」」
ざっと足を引いて膝をつき、貴族の挨拶に似た優雅な仕草で返答がありました。どちらかというと騎士の敬礼に近いかしら。
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どうしましょう、もしかして竜帝陛下の隣に人間如きが立つなんて! と不快に思われたのではありませんか?
困惑して顔を向けた先で、テユ様が耳元に唇を寄せました。小声で囁かれたのは……。息がかかって擽ったいので、首を竦めながら聞きました。
「そなたの挨拶を待っておるのだ。何か声をかけてくれ」
「え、あ、その……竜の皆様、ようこそお越しくださいました」
「「「竜妃様にご多幸を」」」
「あ、ありがとうございます?」
揃ってのご挨拶に、どうしたらいいのか。お礼が疑問形になるくらい混乱しました。竜の皆様は庭に膝をついておいでですけど、これは拙いと思いますの。
国を守護してくださった方を中に招くのは当然ですわよね?
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