51 / 95
51 幸せな朝
しおりを挟む
フェリチアーノとテオドールは満ち足りた朝を二人で迎えた。ベッドの上で幸せを噛み締めながらじゃれついていれば、コンコンと扉を叩かれロイズが呆れた様子で部屋へと入ってくる。
フェリチアーノから離れたがらないテオドールを何とか引っぺがし、準備へと追いやるとロイズはフェリチアーノの様子を伺った。
「色々と……大丈夫ですか?」
言葉を濁しながらも体調を気遣ってきたロイズに思わず目を見開けば、それにロイズは眉を顰めた。
「すみません、苦言を言われる物とばかり思っていたので」
「私はそこまで鬼畜ではありませんよ……」
「ふふふ、すみません。今日はいつもより気分が良いです。まぁそう言う意味での怠さはありますけど」
「殿下……」
「あぁ、殿下はだいぶ気遣ってくれましたよ。決して無理矢理とかでは、ないので」
「……そうですか。はぁ、ではこちらに朝食を運ばせますので、時間までゆっくりしてください」
準備を終えたテオドールに続きフェリチアーノも着替え運ばれた朝食を取るが、その雰囲気は今までよりも遥かに甘ったるい物だった。
テオドールの膝の上に乗せられ、給餌されるフェリチアーノには今までの少し遠慮したような素振りはなく、安心しきってテオドールに身を任せていた。
そんなフェリチアーノをテオドールも今まで以上に甘やかな表情で世話をし、暖かな朝日が差し込む部屋に穏やかな空気が漂っていた。
帰宅する為にミリアに挨拶へ行けばニヤニヤとした顔を隠される事も無く、根掘り葉掘りと敢えて聞かれない事にフェリチアーノは安堵しながらも、ロイズ以外のしかも会ったばかりのテオドールの身内にそう言う事情を知られていると言うのも気恥ずかしさがあった。
それはテオドールも同じの様で、顔を真っ赤に染めながらミリアに「何も言わないからな!」とフェリチアーノを抱き込みながら吠えている事にフェリチアーノはクスクスと笑ってしまうのだった。
家まで送るというテオドールの言葉に甘え、いつもよりゆっくりと走らせる馬車の中で二人は余韻に浸りながらも離れ難さを今まで以上に感じていた。
すっかりと定位置になってしまった様にテオドールの膝の上に座らされているフェリチアーノは、こてんと頭をテオドールの胸に預けながら寂しさを紛らわせるように鼓動を聞いていた。
テオドールもまたフェリチアーノの肩口から垂れている髪を指先で遊びながらどうしたら一緒に居られる時間を増やせるかと考える。
「そうだ、フェリチアーノ。今度一緒に湖畔の近くにある離宮に避暑に行こう。丁度向こうに用事もあるから、フェリも連れて行ければある程度一緒に居られるんだけどどうだ?」
「良いんですか?」
「フェリは俺と一緒に居たく無いのか?」
途端にむすっとしたように言い返してきたテオドールにクスクスと笑いながら、フェリチアーノは了承した。
いくら馬車をゆっくり走らせたとしても屋敷には着いてしまう。あぁ戻って来てしまったと、暗い気持ちになりながらも縋るようにテオドールに抱きつけばポンポンと背中をあやす様に叩かれた。
「すぐに会えるだろう?」
スルリと手を取られ、刺青の部分に口を付けられる。本来は忌むべき刺青だが、今の二人にはそれはお互いの物であると象徴する物になっていた。
くすぐったさと欲が入り混じり、二人はどちらともなく笑い合う。
「色々と必要な物があれば渡したやつで好きなだけ買って貰って構わないからな? こっちでも一通りは揃えるけど、フェリには快適に過ごしてもらいたいし」
とんでもない金額をポンと、たかが短期間の避暑へ行く為にフェリチアーノ渡してきたテオドールに、王族だと言う事を改めて思い出させれ、受け取りを拒否したもののそれは許されなかった。
ロイズにすら受け取れと言われればそうするしかなく、そこでサライアスに‘’王族の隣に立つ為にそれなりに金をかけろ‘‘と言われていた事も改めて思い出し有り難く受け取る事になった。
どう転んでもデュシャン家には入念に準備するだけの予算は無い。サライアスから給金として貰っている物もあるのだが、この場合はテオドールからちゃんと受け取りそれを使った方がテオドールを立てられるのだ。
「じゃあまたなフェリ」
名残惜しそうに軽い口付けを落とすとテオドールは城へと戻っていった。その馬車の姿をフェリチアーノは見えなくなるまで見送ってから屋敷の中へと戻ったのだった。
フェリチアーノから離れたがらないテオドールを何とか引っぺがし、準備へと追いやるとロイズはフェリチアーノの様子を伺った。
「色々と……大丈夫ですか?」
言葉を濁しながらも体調を気遣ってきたロイズに思わず目を見開けば、それにロイズは眉を顰めた。
「すみません、苦言を言われる物とばかり思っていたので」
「私はそこまで鬼畜ではありませんよ……」
「ふふふ、すみません。今日はいつもより気分が良いです。まぁそう言う意味での怠さはありますけど」
「殿下……」
「あぁ、殿下はだいぶ気遣ってくれましたよ。決して無理矢理とかでは、ないので」
「……そうですか。はぁ、ではこちらに朝食を運ばせますので、時間までゆっくりしてください」
準備を終えたテオドールに続きフェリチアーノも着替え運ばれた朝食を取るが、その雰囲気は今までよりも遥かに甘ったるい物だった。
テオドールの膝の上に乗せられ、給餌されるフェリチアーノには今までの少し遠慮したような素振りはなく、安心しきってテオドールに身を任せていた。
そんなフェリチアーノをテオドールも今まで以上に甘やかな表情で世話をし、暖かな朝日が差し込む部屋に穏やかな空気が漂っていた。
帰宅する為にミリアに挨拶へ行けばニヤニヤとした顔を隠される事も無く、根掘り葉掘りと敢えて聞かれない事にフェリチアーノは安堵しながらも、ロイズ以外のしかも会ったばかりのテオドールの身内にそう言う事情を知られていると言うのも気恥ずかしさがあった。
それはテオドールも同じの様で、顔を真っ赤に染めながらミリアに「何も言わないからな!」とフェリチアーノを抱き込みながら吠えている事にフェリチアーノはクスクスと笑ってしまうのだった。
家まで送るというテオドールの言葉に甘え、いつもよりゆっくりと走らせる馬車の中で二人は余韻に浸りながらも離れ難さを今まで以上に感じていた。
すっかりと定位置になってしまった様にテオドールの膝の上に座らされているフェリチアーノは、こてんと頭をテオドールの胸に預けながら寂しさを紛らわせるように鼓動を聞いていた。
テオドールもまたフェリチアーノの肩口から垂れている髪を指先で遊びながらどうしたら一緒に居られる時間を増やせるかと考える。
「そうだ、フェリチアーノ。今度一緒に湖畔の近くにある離宮に避暑に行こう。丁度向こうに用事もあるから、フェリも連れて行ければある程度一緒に居られるんだけどどうだ?」
「良いんですか?」
「フェリは俺と一緒に居たく無いのか?」
途端にむすっとしたように言い返してきたテオドールにクスクスと笑いながら、フェリチアーノは了承した。
いくら馬車をゆっくり走らせたとしても屋敷には着いてしまう。あぁ戻って来てしまったと、暗い気持ちになりながらも縋るようにテオドールに抱きつけばポンポンと背中をあやす様に叩かれた。
「すぐに会えるだろう?」
スルリと手を取られ、刺青の部分に口を付けられる。本来は忌むべき刺青だが、今の二人にはそれはお互いの物であると象徴する物になっていた。
くすぐったさと欲が入り混じり、二人はどちらともなく笑い合う。
「色々と必要な物があれば渡したやつで好きなだけ買って貰って構わないからな? こっちでも一通りは揃えるけど、フェリには快適に過ごしてもらいたいし」
とんでもない金額をポンと、たかが短期間の避暑へ行く為にフェリチアーノ渡してきたテオドールに、王族だと言う事を改めて思い出させれ、受け取りを拒否したもののそれは許されなかった。
ロイズにすら受け取れと言われればそうするしかなく、そこでサライアスに‘’王族の隣に立つ為にそれなりに金をかけろ‘‘と言われていた事も改めて思い出し有り難く受け取る事になった。
どう転んでもデュシャン家には入念に準備するだけの予算は無い。サライアスから給金として貰っている物もあるのだが、この場合はテオドールからちゃんと受け取りそれを使った方がテオドールを立てられるのだ。
「じゃあまたなフェリ」
名残惜しそうに軽い口付けを落とすとテオドールは城へと戻っていった。その馬車の姿をフェリチアーノは見えなくなるまで見送ってから屋敷の中へと戻ったのだった。
29
あなたにおすすめの小説
恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています
水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」
王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。
一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……?
勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!
僕を惑わせるのは素直な君
秋元智也
BL
父と妹、そして兄の家族3人で暮らして来た。
なんの不自由もない。
5年前に病気で母親を亡くしてから家事一切は兄の歩夢が
全てやって居た。
そこへいきなり父親からも唐突なカミングアウト。
「俺、再婚しようと思うんだけど……」
この言葉に驚きと迷い、そして一縷の不安が過ぎる。
だが、好きになってしまったになら仕方がない。
反対する事なく母親になる人と会う事に……。
そこには兄になる青年がついていて…。
いきなりの兄の存在に戸惑いながらも興味もあった。
だが、兄の心の声がどうにもおかしくて。
自然と聞こえて来てしまう本音に戸惑うながら惹かれて
いってしまうが……。
それは兄弟で、そして家族で……同性な訳で……。
何もかも不幸にする恋愛などお互い苦しみしかなく……。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
【完結】幼馴染に告白されたけれど、実は俺の方がずっと前から好きだったんです 〜初恋のあわい~
上杉
BL
ずっとお前のことが好きだったんだ。
ある日、突然告白された西脇新汰(にしわきあらた)は驚いた。何故ならその相手は幼馴染の清宮理久(きよみやりく)だったから。思わずパニックになり新汰が返答できずにいると、理久はこう続ける。
「驚いていると思う。だけど少しずつ意識してほしい」
そう言って普段から次々とアプローチを繰り返してくるようになったが、実は新汰の方が昔から理久のことが好きで、それは今も続いている初恋だった。
完全に返答のタイミングを失ってしまった新汰が、気持ちを伝え完全な両想いになる日はやって来るのか?
初めから好き同士の高校生が送る青春小説です!お楽しみ下さい。
契約結婚の裏側で
riiko
BL
潤は付き合って十年の恋人から、ある日「俺、結婚する」と言われた。
順調に愛を育てたはずなのに、彼は会社のために結婚することを一人で決めた。「契約結婚」の裏側で自分を愛し続けようとする恋人がわからない。心の底から愛する人の愛人になるという選択肢は絶対になかった。
だが、彼の決断の裏にはとんでもない事情があった。それを知ったとき、潤は……
大人の男の十年愛を振り返りながら綴ります。
性描写の入るシーンには
タイトルに※マークを入れているので、背後にはご注意くださいませ。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる