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59 真実を知る
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テオドールから“協力するなら報酬を弾む”と言われたカサンドラは、嬉々としてその話に乗り、フェリチアーノに会わせろと言う事もなく、そしてセザールの遺体を引き取るとも言い出さずに離宮を去って行った。
静まり返る部屋の中、テオドールは頭を抱えながら考え込んでいた。フェリチアーノのデュシャン家での扱いがどの様であったか、想像するのと実際そう扱って来た人物から話を聞くのでは訳が違う。
王族であれば確かに毒に晒される機会はある。しかし言ってしまえばデュシャン家はただの伯爵家だ。そんな家でまさか命を狙われようとは。そして実際に家令であるセザールは命を落としている。
フェリチアーノはそんな強欲な者達の中でそんな危機に晒され、どれだけ心細かっただろうか。
そこでふと、フェリチアーノは毒に侵されていることを知っているのかと疑問が浮かぶ。アレだけ体調を崩しているのだし、医者にかかることもあっただろう。カサンドラが言うように、本当に死期が近いと言うのならば、嫌でも体の不調に気がつく筈だ。
「……なぁロイズ、フェリは毒の事を知っていたと思うか?」
突然の問いかけに僅かに反応してしまったロイズを、テオドールは見逃さなかった。
「何か知ってるな?」
「殿下、私は……」
「ロイズ!!」
珍しく言い淀むロイズを、テオドールは睨みつけ言い募った。その様子に驚いたように目を見開いたロイズであったがそれも一瞬の事で漸く真実をテオドールに伝えられると、やっと一つ肩の荷が降りる安堵に、ロイズは口を開いた。
「先程の夫人の話は真実でしょう。事実毒の事をフェリチアーノ様は、最初から知っておりました」
「最初から……」
「……陛下と王太子殿下もご存じです」
「なんだって?」
「そのお陰でごっこ遊びを承諾されたのです」
ロイズはテオドールに見せられた誓約の内容は真実では無く、実際にフェリチアーノと国王サライアスとの間に交わされた誓約は別の物であるのだと言う。
その事実にテオドールは愕然とする。最初からフェリチアーノが自身の死期を悟っていた事もそれを隠されていた事もショックだが、それとは別にテオドール以外が真実を知り隠されていた事に苛立ちを覚える。
テオドールだけは何も知らず、のうのうと恋に溺れ楽しんでいたのだ。それはどれだけ滑稽な姿であろうか。
最も苛立たしさを覚えるのは自分自身ではあるのだが、それと同じ位に父と兄に対して怒りを覚える。生きた教材にフェリチアーノを使おうなどととんでもない事だ。
ギリギリと拳を握り締め、己の能天気さと不甲斐なさに怒りが募る。
考えろ、考えろと怒りに飲み込まれそうな理性を必死に止め、テオドールは歯を食いしばった。
カサンドラが密告してきた事、フェリチアーノの置かれている状況と、それに紐付いてテオドール自身の置かれている状況を知る事が出来た。
これは幸運な事だ。もし知らずにいればフェリチアーノを王家の道具にしたままみすみす見殺しにしてしまう所だったのだ。
大切で愛おしいと心から思うフェリチアーノを、そんな風に失うなど考えただけでも寒気がする。既にテオドールの中でフェリチアーノが隣に居ない未来など考えられなかった。
フェリチアーノが何を思い、テオドールにその事実を隠していたかは知らないが、例えフェリチアーノが離れて行こうとも手放す気など更々無い。
その未来を掴む為に何より先に、フェリチアーノの体から毒を出し切り体を丈夫にして死期を遠ざけねばならない。その為に必要なのは優秀な医者だろう。それ以外に何が出来るだろうかと考え、そこで留学していた時に出会った優秀な魔術師の友人を思い出す。
数々の魔道具を作り出す優秀過ぎる彼ならば、フェリチアーノの体の負担を減らせる魔道具を造れるのではないだろうか。
テオドールは魔道具の事は何もわからないが、何か少しでも光があるのなら掴んでいたかったのだ。使える物は何でも使わなければ、フェリチアーノとの幸せの未来は待ってはいない。
「ロイズ、夜には城に戻る。急いで準備しろ」
未だ体調が優れないフェリチアーノを移動させる事は躊躇われたが、ここに居るより王宮に居る方が何かと便利だ。
ロイズの的確な指示により夕方には離宮を出発したテオドールは、未だ眠るフェリチアーノを大事そうに抱えながら、絶対に助けるのだと自身に言い続けた。
静まり返る部屋の中、テオドールは頭を抱えながら考え込んでいた。フェリチアーノのデュシャン家での扱いがどの様であったか、想像するのと実際そう扱って来た人物から話を聞くのでは訳が違う。
王族であれば確かに毒に晒される機会はある。しかし言ってしまえばデュシャン家はただの伯爵家だ。そんな家でまさか命を狙われようとは。そして実際に家令であるセザールは命を落としている。
フェリチアーノはそんな強欲な者達の中でそんな危機に晒され、どれだけ心細かっただろうか。
そこでふと、フェリチアーノは毒に侵されていることを知っているのかと疑問が浮かぶ。アレだけ体調を崩しているのだし、医者にかかることもあっただろう。カサンドラが言うように、本当に死期が近いと言うのならば、嫌でも体の不調に気がつく筈だ。
「……なぁロイズ、フェリは毒の事を知っていたと思うか?」
突然の問いかけに僅かに反応してしまったロイズを、テオドールは見逃さなかった。
「何か知ってるな?」
「殿下、私は……」
「ロイズ!!」
珍しく言い淀むロイズを、テオドールは睨みつけ言い募った。その様子に驚いたように目を見開いたロイズであったがそれも一瞬の事で漸く真実をテオドールに伝えられると、やっと一つ肩の荷が降りる安堵に、ロイズは口を開いた。
「先程の夫人の話は真実でしょう。事実毒の事をフェリチアーノ様は、最初から知っておりました」
「最初から……」
「……陛下と王太子殿下もご存じです」
「なんだって?」
「そのお陰でごっこ遊びを承諾されたのです」
ロイズはテオドールに見せられた誓約の内容は真実では無く、実際にフェリチアーノと国王サライアスとの間に交わされた誓約は別の物であるのだと言う。
その事実にテオドールは愕然とする。最初からフェリチアーノが自身の死期を悟っていた事もそれを隠されていた事もショックだが、それとは別にテオドール以外が真実を知り隠されていた事に苛立ちを覚える。
テオドールだけは何も知らず、のうのうと恋に溺れ楽しんでいたのだ。それはどれだけ滑稽な姿であろうか。
最も苛立たしさを覚えるのは自分自身ではあるのだが、それと同じ位に父と兄に対して怒りを覚える。生きた教材にフェリチアーノを使おうなどととんでもない事だ。
ギリギリと拳を握り締め、己の能天気さと不甲斐なさに怒りが募る。
考えろ、考えろと怒りに飲み込まれそうな理性を必死に止め、テオドールは歯を食いしばった。
カサンドラが密告してきた事、フェリチアーノの置かれている状況と、それに紐付いてテオドール自身の置かれている状況を知る事が出来た。
これは幸運な事だ。もし知らずにいればフェリチアーノを王家の道具にしたままみすみす見殺しにしてしまう所だったのだ。
大切で愛おしいと心から思うフェリチアーノを、そんな風に失うなど考えただけでも寒気がする。既にテオドールの中でフェリチアーノが隣に居ない未来など考えられなかった。
フェリチアーノが何を思い、テオドールにその事実を隠していたかは知らないが、例えフェリチアーノが離れて行こうとも手放す気など更々無い。
その未来を掴む為に何より先に、フェリチアーノの体から毒を出し切り体を丈夫にして死期を遠ざけねばならない。その為に必要なのは優秀な医者だろう。それ以外に何が出来るだろうかと考え、そこで留学していた時に出会った優秀な魔術師の友人を思い出す。
数々の魔道具を作り出す優秀過ぎる彼ならば、フェリチアーノの体の負担を減らせる魔道具を造れるのではないだろうか。
テオドールは魔道具の事は何もわからないが、何か少しでも光があるのなら掴んでいたかったのだ。使える物は何でも使わなければ、フェリチアーノとの幸せの未来は待ってはいない。
「ロイズ、夜には城に戻る。急いで準備しろ」
未だ体調が優れないフェリチアーノを移動させる事は躊躇われたが、ここに居るより王宮に居る方が何かと便利だ。
ロイズの的確な指示により夕方には離宮を出発したテオドールは、未だ眠るフェリチアーノを大事そうに抱えながら、絶対に助けるのだと自身に言い続けた。
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