塩対応の婚約者に婚約解消を提案したらおかしなことになりました

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侯爵令嬢のリリアナ・ミラーには幼い頃からの婚約者がいる。

エルメンキア王国の王太子であるウィリアム・エルメンキアである。

ふわりと揺れる金髪に輝くような蒼い瞳。

スッと通った鼻筋に薄い唇が美しくキラキラしい笑顔が似合うイケメン。

なのだが。

婚約して十年このウィリアムの笑った顔をほとんど見たことがない。

今日も今日とて無表情でリリアナとのお茶会を過ごしている。

会話も勿論リリアナが一方的にするばかり。

ウィリアムは相槌をうつだけ。

たまに何かを話したかと思えば笑えない話ばかり。

夜会のエスコートはしてくれても褒めるどころかニコリともしない。

こんな塩対応が十年も続けば流石のリリアナもこの婚約を考えてしまう。

だが国の決めた婚約な上に長い時間をかけて頑張った王太子妃教育を思えば簡単に婚約解消など言えなかった。

今までは。

勿論家の立場もあるのだから。

だけどそれでも人の我慢には限界がある。

そこでリリアナは考えた。

婚約解消を申し出るのではなく提案してみてはどうかと。

それでもし傷ものになったとしても家が揺らがなければ問題ない。

このまま結婚してもきっといい関係は築けないのだから。

しかも既にウィリアムに嫌われていると噂されている為これ以上の噂が立ったとしても今更だ。

そのくらいリリアナは追い詰められていた。

だから思い切って口を開いた。

「ウィリアム殿下、一つ提案なのですが、私たちの婚約を解消しませんか？」