懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣

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第184話 バスターミナル

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「本日はよろしくお願いします!」

 社員旅行の初日早朝。
 休日客で賑わいを見せる出発のバスターミナルにてリンカは参加する面々に挨拶をしていた。
 ケンゴはリムジンバスへ自分とリンカの荷物を積み込んでいる。

「こうして顔を会わせるのは久しぶりね、リンカさん。こちらこそよろしく」
「花が増えたな! 鳳のヤツも少しは役に立つじゃねーか」

 話をしていた私服姿の鬼灯と七海はリンカを快く受け入れていた。おかげで彼女の緊張も少し和らいだ様子である。

「鮫島ちゃんも楽しんでいってくれよな」
「七海さん。リンカで良いです」
「お? そうか。じゃあ俺の事も下の名前で良いぞ」
「はい」
「二人ともー!」

 と、手を振りながら轟もその場にやってくる。

「わ、女の子! えっと……誰の連れ子さん?」
「彼女は鳳君の身内よ、甘奈」

 リンカを見た轟はニコっと笑った。

轟甘奈とどろきかんなです」
鮫島凛香さめじまりんかと言います。今回はよろしくお願いします」
「よろしくね。えっと……リンカさんでいい?」
「はい。あたしは……轟さんと?」
「甘奈でいいよー」

 丁寧に頭を下げるリンカに轟は、しっかりしてるねー、と微笑ましく笑う。

「お前よりもしっかりしてるぞ」
「えー? ケイちゃんそれは……いや……前もコーヒー溢しちゃったし……うぅ……そうかも」
「ふふ。甘奈、今回はしっかり歳上としての威厳を保たないとね」
「が、がんばるよ! シオリちゃん!」

 なんだか可愛い人だなぁ、と言う視線でリンカは轟を見る。





 一般人でさえ一度は足を止めて視線を向ける程に神々しい光を放つ四人の花園。
 それを遠目から見るオレはリンカと自分の荷物に番号のタグを着けてリムジンバスに入れ込んだ。

「来たな、鳳」
「おう、加賀」

 今回の旅行人数は最低定員ギリギリで実施された。その為、参加者は全て知った顔だ。

「沖縄の時は参加出来なかったからな。今回は逃さなかったぜ」
「お前は絶対来ると思ったよ」
「お二方ともお早いですな」

 そこへヨシ君こと吉澤善明《よしざわよしあき》氏が現れる。

「ヨシ君」
「それにしても相変わらず女性陣のレベルは高いですなぁ」
「俺も……神々し過ぎてあの輪に入れねぇもん」

 楽しそうに談話する四人。全員が美女、美少女だ。あ、姫さんとカズ先輩も入った。更に領域がレベルアップ。
 そこへ到着した泉も、いの一番に、詩織先輩ー、と駆け寄るが小動物程度では領域レベルは上がらんよ。

「ヨシ」

 オレらの所には真鍋課長が現れる。偏見だが、この人が集団の旅行に来るイメージはなかった。

「お疲れ様です。課長」

 ヨシ君がそそくさと荷物を受け取り、手際よく番号のタグを着けてリムジンバスへ積む。その間にオレと加賀も真鍋課長に、おはようございます、と挨拶した。

「リストは?」
「ここに」

 手際よく、ボードに挟んだリストとペンをヨシ君は取り出す。

「まだ全員は来てないが、居る人数だけでも出席者の確認を始める。二人も手伝ってくれるか?」
「はい」
「任せてください」

 リストには社の人間の名前を先頭に、その横には参加する身内の関係性を書く様になっている。
 これから誰が誰を連れて来ているのかを確認するのだ。





 七海課長の場合。
「あん? 俺は一人だよ。ノリト? なんだ、お前。アイツと仲良かったのか? あのアホは父さんに学校サボったのバレて1ヶ月間、休みの日は塾に叩き込まれる事になった。今回の旅行にはシオリが参加するってんで来たがってたけどな。身から出たサビだ」

 鬼灯先輩の場合。
「私は一人よ。そうね……妹は受験の年頃だと思うし父も……都合は合わないと思うわ。ふふ。気にしなくて良いわよ。今回はリンカさんも居るから、もう楽しんでるわ」

 轟先輩の場合。
「身内……誘えない。お父さん顔怖いし、せい――社長と顔を会わせると間違いなくトラブルになるから。一応、旅行に行く事は伝えてあるけど、関係ないから気にしなくていいよ」

 姫さんの場合。
「うーん。私は地元に知り合いがいるから呼ばなかったなぁ。中止になったら仕方ないってスタンスだったし。でもこうして開催出来た事には感謝しなきゃね」

 カズ先輩の場合。
「そうだねぇ。呼んでも良かったけど、アタシの家って泥臭い道場一家だからさ。茨木槍術ってヤツ。マイナーだよマイナー。しかも門下生も三人の弟も皆、女に対する免疫ないし。鬼灯さんとか見たら昇天するよ多分。アタシ? まぁ、昔から出入りしてるし、セーフなんじゃない?」

 泉(小動物)の場合。
「私は一人よ。なに? 探ってんの? 気持ち悪っ。一応、妹は居るけど今年受験なの。知らない人の輪に馴染む気遣いは精神的にも受験に影響が出るかもしれないからね。あんたもリンカちゃんが受験の時は気を使いなさいよ」





 五人の神とおまけの小動物一匹から参加者の情報は取れた。
 おっと、箕輪さんも来たみたい。隣には奥さんがいる。嫁自慢か、それとも奥さんの方が旦那の職場事情を確認しに来たのか。加賀が対応している。
 真鍋課長とヨシ君は別の――ん? あれって佐藤と田中?

 オレがいるハズのない人物達に歩み寄ろうとした時、朝日を遮る影が背後にかかる。ゾクッと寒気。おのれ! 何奴――

「おや。君は説明会の青年じやないか! そうか、君もマサの会社の社員だったね! 見るからにモブみたいな顔だったので、来ないかと思ってたよ! おっと、少しテンションが上がっていてね! 不快な事を言ってしまった! すまない! 私の改善する点だな! 今後は改めよう! はっはっはっ!」
「ほっほっほう! おはよう! 鳳!」

 背後を振り向くと、そのには朝日を遮る巨漢の国尾さんと少女体型のお姉さん――国尾樹くにおいつきさんがティ○カーベルみたいに肩に乗ってる!

「……おはようございます」

 なんとなく来ると思ってましたよ。
 ヤべーのとヤバいヤツ、の複合はどう考えてもヤバい事にしかならない。しかも、これプラスじゃなくて、かけ算だと思うし。

 どうにかしてこの合体は解除させねばなるまい。
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