“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由

文字の大きさ
40 / 504

下見でちらっと

しおりを挟む
 私のテンションはだだ下がりしていた。

 現在、私ことベアトリスは六歳になった。
 辺境伯領に行った時から、これと言って変わらないような、授業に明け暮れる毎日。

 それが、とってもつまらないわけであるが。

 だからといって、何かをしてみようという気はなかった。
 なぜなら、私の計画実行日が着々と近づいていることが全てを物語っている。

 何もしなくても、これからの人生のうちにゆっくりと学んでいくことができる。
 つまりは何もすることがない状態であったのだが………。

「ベアトリス、ちょうど今王家への謁見があるのだが、一緒に来てくれるか?」

 嫌です。

 といいたいのだが、それをいうことはできなかった。

 だってしょうがないじゃないか!?

 家出計画を私は企てている分際で前世も今世も親孝行を全くしないというのは、頭おかしいと思う。

 だから私に拒否権はないため、肯定するしかないのである。

「はい」

 私は家出して自由を得る前に、親孝行を積んでおく必要があるのだよ。
 そういうことである。

「ということで、私は下見にでもいってこようかな?」

 まあ、私って色々経験豊富な女なのです!

 誘拐はもちろん!

 闇討ちに巻き込まれたことだってあるのである!

 そういうわけで、社交の場では必ず下見をしたほうがいいという経験則を得たのだ!

「んじゃまあ、早速行きますかね」

 転移をする。

 現在の時刻。
 大体昼ごろ。

 すなわち、みんなお昼休憩をする時間帯!
 つまりは、誰もいない!

 はず

 というわけでやってきました、王城に!
 下見をするには、やはり入り口からした方がいいだろう。

 そう思ったので、転移したのだが。
 やはり、王城は素晴らしいほどに綺麗だった。

 真っ白の外装に、所々に散りばめられたキラキラ輝く物体。
 宝石を装飾に使いすぎないあたり、権力を強調していないような、品性が溢れていると相変わらずに思う。

 まあ、実際はうちの家(公爵家)よりも圧倒的にお金がかかってそうなのはいうまでもない。

「では、早速行ってみますかね!」

 私は門に向かって歩き出す。
 転移した先は、王城前の通りであったため、人通りは多い。

 だから、私は魔法を行使する。
 不可視化した私に気づくものはいない。

 ミサリー時同様に触ってしまえばバレるだろうが、幸いにも広い通りで、人通りもあるっちゃあるがまばらである。

 そして、私は誰にも気づかれずに門の前まできたのだがーー

「相変わらず寝てるのね」

 門番の男性。

 それは前世からも付き合いがあった人物だ。

 二十歳くらいで、王城の門番というのは貴族からしても凄まじい出世で、私はそれが珍しくて、話しかけてみたのだがーー

「寝ていたんだなぁこれが」

 こいつはいつもサボって寝ている。
 それは私が前世から知っていることなので、気にしない。

「今度起きてたら、話してよね」

 起きているところを見たことないので、前世では“ただの知り合い“だった。
 だから、友達になれとは言わないけど、私が家出するまでの間の暇つぶし相手の一人としたいのだ。

「ま、それは勝手すぎるよね」

 子供のお守りは嫌いそうな顔してるので、それはやめておくことにしよう。

 まあ、なんだかんだ門の奥側に転移して、なんとか侵入成功。

(やっぱり転移ってやればできるものなのね)

 前世では一人では扱うことができない儀式魔法としてカウントされていたが、一人でも余裕である。

 レイだって、探知魔法とかともろもろ併用すれば難なく起動できていたし、存外使い勝手はいいのかな?

 門を通り過ぎた後に続いているのは、長い道。
 王城までたどり着くのはかなりの時間がかかりそうだ。

 元々、馬車で通るべき場所であり、決して歩くような道のりじゃない。
 だが、そこは今世の私。

 脚力がきっもち悪い程に発達しているため、そんなに辛くはない。

(それに、ここを転移しちゃったら、わざわざ偵察に来た意味ほぼ無くなっちゃうしね)

 そういうわけで、私はゆっくりと周囲を警戒しながら進んでいく。

 道のりの中では、警備への影がちらちら見えた。

(こんなところにも………そろそろ熱源の感知魔法でも開発しようかなぁ?)

 それはまた今度にするとしよう。


 ♦︎♢♦︎♢♦︎


 まあ、いろいろありまして………。

 王城の中到着でございまーす!

 いやぁ、ここまで何分かかったと思っているんですか?
 三十分ですよ?

 なんでですか?
 なんでこんなにあるかなあかんのですか?

 まあ、私が下見をしようとか思ったのが原因なわけだけどもこれは許せない。

(まじで、転移の魔法が阻害されるとは思ってなかった)

 いや、警備が厳重なのはなんとなくわかっていたが、魔法を阻害されると思ってなかった。

 転移の魔法も万能ではないってことだな。

「まあ、とりあえず侵入できたのは良いとして」

 どの部屋が何で、どうなっているのかよくわからない。

「とりあえず、いろいろ回ってみるかな」

 私は王城の一階部分を探索する。

「ここは………訓練場」

 訓練場って一階部分にあるんだ。

 中庭の、真ん中ら辺にアリーナのような形で訓練場がある。

 中を覗くためには、入るしかないのだが、そこは侵入者の私。
 遠慮なくズカズカ入り込んでいくスタイル。

「ん?」

 一人の騎士らしき人物がこちらの方を向く。

(やっば!この距離でバレんの?)

 さすがは王城、王宮勤めの騎士というところだろう。

(ここは、もういいや。次の場所!)

 私は中庭を離れ廊下を渡っていく。

「次はどこかなぁ?」

 どこに危険があるのか、侵入可能ルートを探る上に当たって、どこの部屋を通るのか………なんで私がこんなことをしなくちゃいけないのだろうか?

 今更だが、そう思った。

「次の部屋、ここ!」

 私はドアを開ける。

「おぉ!図書室!」

 さまざまな大量の本が並べられ、本棚がいくつも並んでいる。
 その数は辺境伯領と同じくらいあり、公爵家よりも圧倒的に多かった。

「おお!これ読んだことない!」

 私は、本を開きーー

 本を閉じーー

 本を開きーー

 本を閉じーー

 本を開きーー

 本を閉じーー

 本を開きーー

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 気づけば夕方にーー

「あぁ………やらかした!」

 いや、私の持ってない本がたくさんあったからね?
 これはしょうがないからね?

 だから、私は悪くないんだからね?

 まあ、言い訳をしても無駄だろう。
 早く一階部分だけでも探索しなければ………。

 どうせ侵入するんだったら、上からとかあり得ないだろう。
 飛行魔法は、王城に張られている。

 魔法障壁で妨害されるだろう。

 というわけで、今日は一階で…………ね?

「多分これが最後の部屋かな?」

 いろいろ回ってみて、最後の部屋までやってきた。

 この部屋はなんかな?

 私はドアを開ける。

「う~ん?ここなに?」

 なんか蒸し蒸しする。
 それにーー

 何人かのメイドがドアの前で待機している。

(ドユコト?)

 まあ、ここの警備は厳重なのか?

 わからないが、一応入ってみよう!

(侵入だぁ!)

 スキップをしながら、中に入ってみるのだがーー

「!?」

 私は体を硬直させて後ろを向いて、その部屋から出ていく。

「……………」

 私は何もみていない。

 殿なんてみていない。

 っていうか、お風呂ならお風呂ってかいてくれよ!?
 やめろよ!?

 別に肌綺麗だなぁ、とか思ってないからね!?

 それに侵入しづらいだろ!?

 そういえば、夕方だったからお風呂に入っているのは当たり前か………。

 もう、なんなんだよ………。

 私は顔を熱くしながらも、転移していく。

 いや、殿下には申し訳ない………です。

 殿下なんにも悪くないのにね。

 でもまあ、所詮は子供だから!
 異性でも子供の体には興味ないから!

 ってことで………許してね、殿下。

 ーーこのことを殿下が知ることはまだまだ先である。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...