“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由

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迷宮攻略で勝負

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 ついにこの日がやってきた。
 なんの日かって?

 勇者との勝負の日だよ。
 一応、私が依頼していた武器も完成した。

 まだ、誰にも見せていないが……。
 めちゃ強そうな感じに仕上がっております。

 だが、そんなことは関係ない。
 今重要なのは負けないためにはどうするかという問題である。

 もうすでに、訓練場に集まって、準備が着々と進んでいる。

 そんな中で、どうすれば良いのか思案する。
 理想を言えば、そもそも試合をしない、ということになるがおそらくそれはできない。

 立場上、お互いにそれはできないからだ。
 だったら、どうするか。

 負けない方法……。
 私が負けたら、自分の家名に泥を塗ることになるのはわかっている。

 だから、ここは慎重に考えなくては……!

「では、これより勇者トーヤとベアトリスの試合を——」

「ちょっと待ってください!」

「ん?どうしたベアトリス?」

 慎重に考えると言ったが、特に良い案は思いつかなかったため、私は賭けにであることにする。

「一対一だと面白味がなくありませんか?」

「なに?」

「勇者一人が強くてもダメだということです。重要なのは、全員の実力とチームワークだと思うんです」

「まあ、そうだな」

 頼む!
 なんとかなってくれ!

「だから、一対一で戦うより、こうしませんか?」

 成り行きを見ていた勇者一向にも聞こえるように告げる。

「私は迷宮攻略で試合を行いたく存じます!」

「「「は?」」」

 でも、他に方法はないんだよね。
 そもそも、負けることが決まった試合に出る方が馬鹿げているということに気がついたのだよ。

 そんな私ができることがあると言えば、試合内容にの変更を進言すること。
 その中でも一番不自然に思われず、一番私にも勝機があるもの。

 迷宮攻略だ。
 迷宮攻略の速度で競い合う。

 もちろん私は四人対一人となるため、圧倒的に不利ではあるが、ルールを先にボスを倒した方が勝ちとかにしてしまえば問題はなくなる。

 不可視化の魔法で一気に突っ切って行けばいいだけ。
 これなら私にも未来が見えてくるというものだ。

 そして、勇者たちを納得させるために、私は一言言い放つ。

「あっれ~?もしかして、勇者様ご一行ともあろうものが、できないんですかぁ~?」

 ちょっと煽ってやればこの通り!

「良いでしょう!受けて立ちます!」

「ちょっと!?なに言っちゃってんの!?」

 まあ、一人だけだけど、やる気になったみたいだし良いとしよう。

「ふむ、では全員で移動だ。場所は、“不屈の迷宮“だ。各自準備は怠らないように!」


 ♦︎♢♦︎♢♦︎


 やってきました、不屈の迷宮!

 なんでそんな名前になったのかはわからないけど!

 森の中にある、ゴツい岩肌が丸見えになっている。
 その真ん中あたりに、入り口あるようだ。

 大きさ的には高さ三十メートルと言った具合だ。

「それで、簡単なルールですけど、先にボスを倒した方が勝ちってことで良いですね」

「良いでしょう、受けて立ちます!(二回目)」

 ミレーヌさんだけめっちゃ燃えに燃え上がっているんだけど。
 まあ、それで私の作戦がうまくいくんだから良いってもんだよね。

「それで、いつになったら始めます?」

「もう始めても構わないでしょ?」

 父様の反応は!?

「良いだろう、では……はじめ!」

 まあ、合図とかしなくても問題ないんだけどね。
 私はさっさと不可視化して速攻で中に潜れば良いだけだし……!

「おっと、先にいかせたりしないわよ、ベアトリス様?」

「あ」

 ミレーヌが私の服を掴んでくる。

「でも、これ勝負……」

「子供は一人では危ないからね、私たちと一緒に行くのよ?」

 目の奥がギラギラと輝いている。

「あ、はい」

 眼力に屈した私は、そのまま一緒に行くこととなった。

(くっそ!眼力なら自信があったのに!)

 目が鋭い程度では、本気で怒った人の目つきには勝てないということか……。

 そして、五人で迷宮の中に入っていく。

 迷宮の中はこれと言って変わった部分はなく、普通の迷宮になっていた。
 石で囲まれた通路からは時々魔物が出てくるぐらいだ。

「今度はオーガだな」

「あ、私がやりますね」

 とりあえず、なにもしてなくて暇だったので、私が倒すことにする。

 だが、相手はBランクの魔物なので、強い魔法は使わなくて良いだろう。

「『火球ファイアーボール』」

 ファイヤーボールって下級の魔法ではあるものの、威力としてはまあまあだ。
 一応火力重視の火魔法だからね。

 魔法が構築され、それを放つ。

「グガッ!?」

 直撃したオーガが悲鳴を上げる。
 魔法がデカすぎて、通路ギリギリになったのは内緒である。

「ふふ、まあまあやるじゃない」

「そうですか、ありがとうございます」

 まだ、この人怒ってんのか?
 怒ってるというよりか、純粋に勝負を楽しんでいる節もありそうだけれど……。

「次は私がやります!」

 ミレーヌさんが声を上げる。
 見ると、またなにかしら魔物が湧いていた。

「消えてなくなれ!『地場粉砕クラッシュアース』」

 通路がうごめき、地面が割れる。
 そして、何匹かいた魔物が全員奈落へと落ちていく。

「ふふん!どうよ!」

「すごいですね」

 なぜか、私のことを敵視しまくりのミレーヌさん。

 煽りすぎたかな?
 そんなことを考えながら、私たち一行は迷宮の奥に進んでいくのだった。
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