“元“悪役令嬢は二度目の人生で無双します(“元“悪役令嬢は自由な生活を夢見てます)

翡翠由

文字の大きさ
353 / 504

女神の真実

しおりを挟む
 この剣と魔法の世界は、とある一人の神によって作り上げられた。神に作られたその惑星は意思を有し、己を創り上げた神のために豊かな生命を誕生させていった。

 代表例で言えば、人類である。世界が作り上げたその生命体は、神と似通った姿に作ったがために神に気に入られ、『スキル』や『権能』といった、身の丈に合わない力を与えられた。

 だが、そのせいで人類の歴史は狂っていった。曰く、戦争を繰り返す。曰く、他の生物を絶滅させるなどの暴挙。

 挙句の果てには魔族と戦争を起こし、魔法の力まで手に入れた。そのあまりの強欲っぷりに神はこの世界を見捨てた。

 世界は意思を持っている。だが、己に出来るのは自然や生態系を崩さずに、可能な限り維持するだけ。それもいつかままならなくなり、世界は終わってしまう。

 そう思われた矢先のことだった。

「なら、私がこの世界を貰い受けよう」

 どこからともなく現れた純白のドレスに身を包んだ黒髪の女神が、世界に手を差し伸べた。

「ただし、あなたを生かす代わりに、私はあなたを飽きるまで使い潰すわ」

 その意味を理解するのに、世界は何千年という時間を要した。

 女神による統治によって、歴史は以前よりさらに歪められた。

 異世界人の存在、魔王と勇者の戦い、おもしろ半分に特別なスキルを一般人に分け与えたり……。

 その結果どうだろう?定期的に戦争を繰り返し、天使と悪魔の間には憎しみが残り続けた。

 悪魔を収容するための、新たな亜空間が天使によって作り出された際も放置。そして、天使は女神の部下となり天界で暮らすことになる。

 天使と悪魔が世界から消えた結果、少しの間だけ平穏な世界が続いた。

「つまらないわ」

 女神はそんな世界に飽き始めていた。

「何か面白くなる方法はあるかしら?」

 自分の手中に収めた世界を眺めながら、そう思案する。

「そうだ♪」

 女神は、何を思ったか亜空間の封印を解除したのだ。その結果、亜空間の厳しい環境の中で生き残った上位個体は統率の取れた行動で、世界に侵攻を始めた。

「あなたがつまらない『自分』を望むのならそれでいいけど、その時は『おもちゃ』が一つ減るだけよ」

 世界はその時になって気づいたのだ。

『自分は弄ばれていた』のだと。

 最初から救ってくれる気などなかった。世界が破滅するまで遊ばれて終わる運命だったのだと。

 だったら、女神に対してどうにか対抗するしかない。

 この世界に生きる選ばれた強者、女神に対抗しうる可能性がある者に自分の言葉を届けたい。

 世界は『言葉を紡ぐ者』を創り、『世界の言葉』というスキルを世に取り入れた。

 選ばれたのはたった数人。

 それでも、希望はまだある。

 女神に悟られないためにも、悪魔の侵攻を阻害するわけには行かない。

 どうか選ばれた者たちよ……死なないでくれ。


 ♦️


 《レベル1の権限で話せるのはここまでです》

「うん、話飛躍しすぎじゃない?」

 世界が意思を持って、悪い女神を倒そう!そのためにはこの世に生きる強い人を集めないと!ってことだよね。

 《その通りです》

「待って?今の話通りで行くと、私その一人に選ばれてない?」

 《その通りです》

「マジかよ!?って、ちょっと待って?」

 確か世界がどうって似たような話をどっかで聞いたことがある気がする……。

『あなたが世界を救えるかどうか』

 そのセリフを聞かされたのはつい最近だ。森の中で出会った変態魔術師……いや、自称賢者がそんなことを言っていた。

「ねえ、ちょっと聞きたいのだけど……奇抜な格好をした女魔術師を知らない?」

 《検索範囲が広すぎます》

「じゃあ、もしかしたらだけど……私と同じ『世界の言葉』を持っている女魔術師はいる?」

 と、聞いてみる。まあ、何となく予想はついていたが……。

 《大賢者マレスティーナがそれに該当します》

「いたー!しかも私が愛読していた作者じゃんかー!」

 私が幼い頃愛読していた本の製作者。

 時には勇者と一緒に戦ったりもしたらしいが……現在では行方不明になっている神出鬼没の人。

「あの人がそうだったのか……」

 《個体名マレスティーナの年齢は924歳。得意魔法は時空間魔法と結界魔法。『物理攻撃無効』と『魔法攻撃無効』の結界による防御と、時空間魔法による時空間の歪みを利用して戦う戦闘スタイルです》

「あー……何それ無敵?」

 防御完璧やん……しかも年齢幾つって言った?924?

 聖戦が起きたあたりから生きてるやん……。何ならエルフの森であった王よりも長生きやん……。

「それで、もしかして私も世界のために戦わないといけない感じ?」

 《その通りです》

「もちろんマレスティーナの他にもいるんだよね、仲間?」

 《おりました》

 ん?待って嫌な予感がするぞ?

 《他に二名ほどおりましたが、一人は死亡。もう一人は狂ってしまいました》

「ってことは、実質的には私とマレスティーナだけ?」

 《いいえ、封印が解除されれば強力な味方になるであろう人物や、改心すればかなりの戦闘力を期待できる人物などがおります。個体名マレスティーナは現在『世界の言葉』をもつにふさわしいものを探して彷徨っています》

 何らかの事情によって味方になれていない人物が他にもいる……そして、マレスティーナがそういう人たちを探しているってことは……

「マレスティーナは自分じゃ女神に勝てないと判断したってわけね?」

 《個体名マレスティーナは確かに神に近しい力を持っていますが、所詮はそれだけです。本物の神の前においては、大きいも小さいも変わらない。女神に並ばない限り、全てが等しく同じ価値です》

 ごみってか?

「私はこれからどうすればいいの?」

 《新たな候補を探して、心の闇を取り払ってください。その時、その人物は強力な味方になるでしょう》

「私が生きている間に終わるかなー?」

 あと、私半世紀くらいしか生きれないと思うけど……。

 《半世紀?何かの冗談でしょうか?》

「え?」

 《個体名ベアトリスの寿命はおおよそ数百年先です》

「は?」

 《長寿である吸血鬼、魔族の加護……そして、不老不死の大精霊の加護を得ているのです。命に関わる重症ですら自然治癒が可能、病気も罹らない身体へと変化済みです》

 何だよその化け物!

 確かに思い当たる節しかないけどさあ!

 《個体名マレスティーナのように長い時を修行すれば、半神の域に達するでしょう》

「なりたくないわ!」

 一人で虚空に向かって叫ぶのも疲れてきた……。

 だが、一つ忘れていた重要なことがある。

「はあ……私が……操られていたって本当?」
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。 タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。 小説家になろうでも公開しています。 https://ncode.syosetu.com/n5715cb/ カクヨムでも公開してします。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500 ●現状あれこれ ・2021/02/21 完結 ・2020/12/16 累計1000000ポイント達成 ・2020/12/15 300話達成 ・2020/10/05 お気に入り700達成 ・2020/09/02 累計ポイント900000達成 ・2020/04/26 累計ポイント800000達成 ・2019/11/16 累計ポイント700000達成 ・2019/10/12 200話達成 ・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成 ・2019/06/08 累計ポイント600000達成 ・2019/04/20 累計ポイント550000達成 ・2019/02/14 累計ポイント500000達成 ・2019/02/04 ブックマーク500達成

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...