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令嬢
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圧倒的理不尽に見舞われた気がする。いや、気のせいではないだろう。壇上から降りて席に戻ったレインにはこれでもかという視線を向けられていた。そこにあったのは嫉妬、敵意、懐疑、羨望……良くも悪くも学校長にフォローされたのが悪かった。
特級魔術師という肩書きを背負っていた学校長から認められた「天才」と言われて仕舞えば、それは認めざるおえない事実となる。その結果に生まれたのは前者三つが八割以上だ。
一部尊敬的な念を感じなくもないが、それはごく一部……というよりも隣にいるリシルからの圧がそのほとんどを占めていた。
「主席がレイン君だったなんて!……でも、納得かも。実技試験での教師の反応とかもおかしかったし、私的にはやっぱりねって感じだったわ」
「あ、そうなの?そうなら早く言ってよぉ。スピーチの仕方を聞こうと思ったのに」
何も考えていなかったレインは余計なことまで口走って敵をたくさん作ってしまった。もっと上手くやれたはずだ。敵は少ないにこしたことはないのだから。運が良ければ、面白い研究とかを見せてもらえたかもしれないのに。
「ま、まあ貴族は貴族至上主義の思想の人たちばかりだしね……」
「あ……」
レインはリシルに平民なのか聞こうと思ったところでリシルに阻まれた。
「でも、レイン君の周りが敵だらけになっても、私が守ってあげるわ」
「え?」
自分自身を高く評価するわけではないものの、レインは少なからずリシルよりも魔術の知識が深く実力もあると思っていたが……守る?
小首を傾げていると、次第に余裕綽々なリシルの笑みが徐々に赤くなっていく。
「あの、何か言ってよ」
「あ、うん。嬉しいありがとう」
「んもう、言うのが遅いのよ」
「ごめん……共通語って難しいから」
「共通語が難しいって?あはは、おかしいこと言うね。物心つく頃から喋ってる言語でしょう?」
「あ」
そうだった。レインはすっかり失念していたが、この国のみならず他国でも共通語と言う言語が用いられている。レインは猫であるから、一から『師匠』から学ぶ必要があったからとても大変だったのだ。
「でも、そういえばレイン君ってたまにイントネーションが独特だよね?」
「え、そうなの?」
「気づいてなかった?私は、そのイントネーションかわいいと思うんだけど、聞く人が聞いたら田舎民だと馬鹿にしてくるかもしれないから気をつけてね」
そんな会話をしていた頃に、入学式が閉会した。
♦️
そこからの流れとしては新入生たちは敷地内を案内される前に、自分が学ぶ教室というものに案内された。
帝都魔術学校にはDからSのクラスに分類される。一番上がSクラスである。これは、成績トップ者が属することになるのだが、このクラスに分類されるいちばんの魅力はなんと言っても必修授業が他のクラスよりも圧倒的に少ないことだ。
これが何を意味するかといえば、自分自身の学びたいことを学ぶ時間が大いに増えると言うことを意味する。魔術の基礎となるものは完璧に理解しているSクラスの学生に基礎的なことを教え直してもしょうがないからね。
レインを例に挙げるとすれば、自分の学びたい水の魔術の知識を深めること。あと、レインだけではあるものの無属性魔術と部下から呼称されている魔術についても……。
無論、レインの名前はSクラスの入り口にあった。主席入学なのだから当然ではあるが……教室の中に入ると、先に案内された生徒たちがすでに席に座っていた。
「あ!」
そこにはリシルの姿もあった。最初は隣にいたはずの彼女だが、レインがあちこちフラフラと勝手に見学して回っていたせいで、結果的に先に行ってしまうことになったようだ。
階段を登り、リシルの元へと向かう。
だが、その途中でレインはいきなり飛び出してきた足に転けそうになった。
「おっと……」
猫の反射神経があったからこそ、危険な階段でも避けることができた。
「ちっ、引っかかんかったか」
「何するんですか?」
足を出してきた生徒にそう疑問を投げかける。まあ、聞かずともわかるが。
「あ?あんだけ学校長に煽てられて調子乗ってんのか?お前が主席なんて誰も認めてないからな?」
目つき鋭く他方から睨まれてしまう。
……こうなったら実力行使をするしかないか。実力がわかれば納得してくれるかもしれない。そう思って、レインが研究中の無属性魔術を発動しようとしたところで……
「ちょっと!あなたたち何やってるの!」
レインに気づいたリシルがこちらへと降りてきてレインをかばった。
「げっ!?ルートリヒ公爵令嬢!?」
「公爵、令嬢?」
思わず我が耳を疑った。
レインとて貴族の序列くらいは教わった。上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵……その中でも最上位、実質的な王族の次に当たる貴族トップの権力家系。
しかもルートリヒ公爵?
何代にもわたって皇妃を輩出してきた公爵家系の中でも有力の家系じゃないか!
あれ?もしかして、やばい人にタメ語で話してた?
特級魔術師という肩書きを背負っていた学校長から認められた「天才」と言われて仕舞えば、それは認めざるおえない事実となる。その結果に生まれたのは前者三つが八割以上だ。
一部尊敬的な念を感じなくもないが、それはごく一部……というよりも隣にいるリシルからの圧がそのほとんどを占めていた。
「主席がレイン君だったなんて!……でも、納得かも。実技試験での教師の反応とかもおかしかったし、私的にはやっぱりねって感じだったわ」
「あ、そうなの?そうなら早く言ってよぉ。スピーチの仕方を聞こうと思ったのに」
何も考えていなかったレインは余計なことまで口走って敵をたくさん作ってしまった。もっと上手くやれたはずだ。敵は少ないにこしたことはないのだから。運が良ければ、面白い研究とかを見せてもらえたかもしれないのに。
「ま、まあ貴族は貴族至上主義の思想の人たちばかりだしね……」
「あ……」
レインはリシルに平民なのか聞こうと思ったところでリシルに阻まれた。
「でも、レイン君の周りが敵だらけになっても、私が守ってあげるわ」
「え?」
自分自身を高く評価するわけではないものの、レインは少なからずリシルよりも魔術の知識が深く実力もあると思っていたが……守る?
小首を傾げていると、次第に余裕綽々なリシルの笑みが徐々に赤くなっていく。
「あの、何か言ってよ」
「あ、うん。嬉しいありがとう」
「んもう、言うのが遅いのよ」
「ごめん……共通語って難しいから」
「共通語が難しいって?あはは、おかしいこと言うね。物心つく頃から喋ってる言語でしょう?」
「あ」
そうだった。レインはすっかり失念していたが、この国のみならず他国でも共通語と言う言語が用いられている。レインは猫であるから、一から『師匠』から学ぶ必要があったからとても大変だったのだ。
「でも、そういえばレイン君ってたまにイントネーションが独特だよね?」
「え、そうなの?」
「気づいてなかった?私は、そのイントネーションかわいいと思うんだけど、聞く人が聞いたら田舎民だと馬鹿にしてくるかもしれないから気をつけてね」
そんな会話をしていた頃に、入学式が閉会した。
♦️
そこからの流れとしては新入生たちは敷地内を案内される前に、自分が学ぶ教室というものに案内された。
帝都魔術学校にはDからSのクラスに分類される。一番上がSクラスである。これは、成績トップ者が属することになるのだが、このクラスに分類されるいちばんの魅力はなんと言っても必修授業が他のクラスよりも圧倒的に少ないことだ。
これが何を意味するかといえば、自分自身の学びたいことを学ぶ時間が大いに増えると言うことを意味する。魔術の基礎となるものは完璧に理解しているSクラスの学生に基礎的なことを教え直してもしょうがないからね。
レインを例に挙げるとすれば、自分の学びたい水の魔術の知識を深めること。あと、レインだけではあるものの無属性魔術と部下から呼称されている魔術についても……。
無論、レインの名前はSクラスの入り口にあった。主席入学なのだから当然ではあるが……教室の中に入ると、先に案内された生徒たちがすでに席に座っていた。
「あ!」
そこにはリシルの姿もあった。最初は隣にいたはずの彼女だが、レインがあちこちフラフラと勝手に見学して回っていたせいで、結果的に先に行ってしまうことになったようだ。
階段を登り、リシルの元へと向かう。
だが、その途中でレインはいきなり飛び出してきた足に転けそうになった。
「おっと……」
猫の反射神経があったからこそ、危険な階段でも避けることができた。
「ちっ、引っかかんかったか」
「何するんですか?」
足を出してきた生徒にそう疑問を投げかける。まあ、聞かずともわかるが。
「あ?あんだけ学校長に煽てられて調子乗ってんのか?お前が主席なんて誰も認めてないからな?」
目つき鋭く他方から睨まれてしまう。
……こうなったら実力行使をするしかないか。実力がわかれば納得してくれるかもしれない。そう思って、レインが研究中の無属性魔術を発動しようとしたところで……
「ちょっと!あなたたち何やってるの!」
レインに気づいたリシルがこちらへと降りてきてレインをかばった。
「げっ!?ルートリヒ公爵令嬢!?」
「公爵、令嬢?」
思わず我が耳を疑った。
レインとて貴族の序列くらいは教わった。上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵……その中でも最上位、実質的な王族の次に当たる貴族トップの権力家系。
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