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三国緊急会議 ⑤
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「では、気を取り直して三十年ぶりくらいに三ヶ国緊急会議を実施いたします。ベルトリア共和国代表のライゼン首相並びにミルテアリア国魔法士ギルド筆頭フィヨルギュンギルド長、今回は急な要請にお答えいただきありがとうございます」
いろいろあったが体裁と言うのは大事である。気安いメンバーだけでは話が進まないのでライゼンもフィヨルギュンも部下の一人をこの場に召喚して真面目に行こうと努力中だった。
「弥生秘書官、今回の……今回の……件。経緯と結果を報告してください」
オルトリンデが手元の書類に目を落としつつ弥生に指示を出すが、なんだか煮え切らない。
そんな上司の無茶ぶりに弥生はすらすらと答え始める。
「はい、今回のベルトリア共和国で起きた『変態女装メタルメイドゾンビちょんぱ』による『人身売買で手に入れた人間を使って悪い事するぜ』事件についてですが」
「まて弥生秘書官殿、その呼称は正式採用なのか!?」
「この事件の主犯と思われる『変態女装メタルメイドゾンビちょんぱ』……長いし語呂が悪いので『ちょんぱ(略)』にしますね? 同人物はわが国で数週間前に行われた空挺騎士団の飛竜体験のイベントにおいて『死霊事件』を引き起こした犯人の青年と特徴が一致しており、また『人身売買で手に入れた人間を使って悪い事するぜ』事件の際、我が国の要人警護として同行していた佐伯洞爺の前で関与を認めたため同一人物と判断しました」
「なんか我が国とウェイランドで呼称格差があると思うのは気のせいだろうかっ!?」
つつーっとオルトリンデが弥生の手元にメモ帳をずらす。そこには『めんどいのでそのままするするするーっとスルーしてください』と記されており、弥生もまたそれを見て軽く頷く。
「よって超法規的措置によりあらかじめ避難しておられた国王陛下とライゼン首相の許可の元『汚物は消毒するに限るよね。あ、どこにいるかわかんないからとりあえず建物ごとマルっと焼いちゃお』作戦を決行」
「オルトリンデだな!? こんな悪意しかない文言絶対お前酒飲んで勢い任せに書いたに決まってるだろ!? そうだろ白状しろこらぁぁ!?」
「オルちゃんは纏めただけで、作戦は私がたてました!」
「弥生秘書官!! 今からでも遅くない、我が国に移住しようそうしよう!! 明らかに師匠に悪影響受けている!!」
ちなみにライゼンの読みは完全に当たっており、オルトリンデが晩酌に飲んだワインがおいしかったのでノリノリで書いた物そのままである。
それでも国の中枢が秘密裏に乗っ取られたとかベルトリア共和国の汚点にならない様、最大限配慮された上にライゼンの英断により被害は最小限だったと言う筋書きだ。まあ、それはそれ、これはこれなのでライゼンは大いに喚いた。
「はあ、はあ……」
「大丈夫~? ライゼン坊や」
「大丈夫かと問われて大丈夫以外の答えを返す奴がいると思うか? フィヨルギュンギルド長」
「……じゃあなんで大丈夫? って問いかけるのかしらね?」
「それどころじゃないんだが……」
ちなみにライゼンさんの部下もフィヨルギュンさんの部下もまるでコントのようなやり取りにさっきから俯いて震えている。絶対顔を上げないようにしているが誰の目から見ても笑いをこらえているのは明らかだった。
「で、今後の奴への対応として……各国の立場を確認させてください。我が国ウェイランドは本日付で奴を『死霊使い:ジョン・ドゥ』と呼称、国内のあらゆる施設への周知をして発見次第即時殲滅の立場をとります。これには弥生秘書官を指揮官として含め遊撃部隊を結成し対応に当たります」
ここまでライゼンを完全無視で通したオルトリンデが発表する。
「最初からその呼称でよかったんじゃないか!? 我が国もウェイランドと同じ対応で行く、ただし先日の戦闘を間近で見る限り我が国の騎士では対応が難しいためウェイランド、ミルテアリアに支援を求める」
「ミルテアリアも同じかな、ベルトリア共和国には私の方で見繕った第二魔法士団を防衛力として派遣するわ。期間はジョン・ドゥの死亡確認まで、物理は……オルトリンデ側から出せる?」
「はい、近衛騎士団と空挺騎士団から合計で中隊規模までは応援に出せますが半分づつ期間交代とさせてください。空挺騎士が三人も抜けているので……ライゼン首相、申し訳ありませんが」
「いや、無理を言っている自覚はある。戦力補強に冒険者ギルドと探索者ギルドにオーダーを出して早期に何とかしようと思う」
各国の対応が統一できたことで、滞りなく会議は終わると思われた。
実際弥生はオルトリンデよりそこまでの流れをあらかじめ聴いている。しかし、ライゼンから予想外の一言が漏れる。
「こんな事なら『コウ』と『ヤノカ』の移住先を聞いておけばよかった……あの二人ならきっといい案を出してくれるだろうに」
何気ない、愚痴のようなライゼンの言葉に弥生の動きが止まった。
聞けるはずのない名前……それは数年前に二度と会えることのない別れとなった両親の名前だった。
「弥生? ちょっと! 弥生!!」
随分と遠くに聞こえるオルトリンデの声は扉の外で待っている真司や文香の耳にも届く。
慌てて回復魔法を準備するライゼンとフィヨルギュンを茫然と見送って……弥生は倒れた。
いろいろあったが体裁と言うのは大事である。気安いメンバーだけでは話が進まないのでライゼンもフィヨルギュンも部下の一人をこの場に召喚して真面目に行こうと努力中だった。
「弥生秘書官、今回の……今回の……件。経緯と結果を報告してください」
オルトリンデが手元の書類に目を落としつつ弥生に指示を出すが、なんだか煮え切らない。
そんな上司の無茶ぶりに弥生はすらすらと答え始める。
「はい、今回のベルトリア共和国で起きた『変態女装メタルメイドゾンビちょんぱ』による『人身売買で手に入れた人間を使って悪い事するぜ』事件についてですが」
「まて弥生秘書官殿、その呼称は正式採用なのか!?」
「この事件の主犯と思われる『変態女装メタルメイドゾンビちょんぱ』……長いし語呂が悪いので『ちょんぱ(略)』にしますね? 同人物はわが国で数週間前に行われた空挺騎士団の飛竜体験のイベントにおいて『死霊事件』を引き起こした犯人の青年と特徴が一致しており、また『人身売買で手に入れた人間を使って悪い事するぜ』事件の際、我が国の要人警護として同行していた佐伯洞爺の前で関与を認めたため同一人物と判断しました」
「なんか我が国とウェイランドで呼称格差があると思うのは気のせいだろうかっ!?」
つつーっとオルトリンデが弥生の手元にメモ帳をずらす。そこには『めんどいのでそのままするするするーっとスルーしてください』と記されており、弥生もまたそれを見て軽く頷く。
「よって超法規的措置によりあらかじめ避難しておられた国王陛下とライゼン首相の許可の元『汚物は消毒するに限るよね。あ、どこにいるかわかんないからとりあえず建物ごとマルっと焼いちゃお』作戦を決行」
「オルトリンデだな!? こんな悪意しかない文言絶対お前酒飲んで勢い任せに書いたに決まってるだろ!? そうだろ白状しろこらぁぁ!?」
「オルちゃんは纏めただけで、作戦は私がたてました!」
「弥生秘書官!! 今からでも遅くない、我が国に移住しようそうしよう!! 明らかに師匠に悪影響受けている!!」
ちなみにライゼンの読みは完全に当たっており、オルトリンデが晩酌に飲んだワインがおいしかったのでノリノリで書いた物そのままである。
それでも国の中枢が秘密裏に乗っ取られたとかベルトリア共和国の汚点にならない様、最大限配慮された上にライゼンの英断により被害は最小限だったと言う筋書きだ。まあ、それはそれ、これはこれなのでライゼンは大いに喚いた。
「はあ、はあ……」
「大丈夫~? ライゼン坊や」
「大丈夫かと問われて大丈夫以外の答えを返す奴がいると思うか? フィヨルギュンギルド長」
「……じゃあなんで大丈夫? って問いかけるのかしらね?」
「それどころじゃないんだが……」
ちなみにライゼンさんの部下もフィヨルギュンさんの部下もまるでコントのようなやり取りにさっきから俯いて震えている。絶対顔を上げないようにしているが誰の目から見ても笑いをこらえているのは明らかだった。
「で、今後の奴への対応として……各国の立場を確認させてください。我が国ウェイランドは本日付で奴を『死霊使い:ジョン・ドゥ』と呼称、国内のあらゆる施設への周知をして発見次第即時殲滅の立場をとります。これには弥生秘書官を指揮官として含め遊撃部隊を結成し対応に当たります」
ここまでライゼンを完全無視で通したオルトリンデが発表する。
「最初からその呼称でよかったんじゃないか!? 我が国もウェイランドと同じ対応で行く、ただし先日の戦闘を間近で見る限り我が国の騎士では対応が難しいためウェイランド、ミルテアリアに支援を求める」
「ミルテアリアも同じかな、ベルトリア共和国には私の方で見繕った第二魔法士団を防衛力として派遣するわ。期間はジョン・ドゥの死亡確認まで、物理は……オルトリンデ側から出せる?」
「はい、近衛騎士団と空挺騎士団から合計で中隊規模までは応援に出せますが半分づつ期間交代とさせてください。空挺騎士が三人も抜けているので……ライゼン首相、申し訳ありませんが」
「いや、無理を言っている自覚はある。戦力補強に冒険者ギルドと探索者ギルドにオーダーを出して早期に何とかしようと思う」
各国の対応が統一できたことで、滞りなく会議は終わると思われた。
実際弥生はオルトリンデよりそこまでの流れをあらかじめ聴いている。しかし、ライゼンから予想外の一言が漏れる。
「こんな事なら『コウ』と『ヤノカ』の移住先を聞いておけばよかった……あの二人ならきっといい案を出してくれるだろうに」
何気ない、愚痴のようなライゼンの言葉に弥生の動きが止まった。
聞けるはずのない名前……それは数年前に二度と会えることのない別れとなった両親の名前だった。
「弥生? ちょっと! 弥生!!」
随分と遠くに聞こえるオルトリンデの声は扉の外で待っている真司や文香の耳にも届く。
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