男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第一章

レインローズのお城へ

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 王都へは俺の村から約一週間程で到着。途中にある小さな町や村をいくつか経由してようやく到着したというわけだ。 

 その際、立ち寄った村の一つにこの世界で初めての男性に出会う事が出来た。かなり年配の男性だったんだけどその村の領主様兼、男性なので公爵と同じ位の爵位も持っているとの事だった。そしてなによりも心を惹かれた事は権力を振りかざすタイプとは程遠く、とても優しくて気さくな人だった事。 王城から僕達の村に帰る時にまたその村には立ち寄る事になるのでその時にでもまたゆっくり話をしたいなと思っている。

 行きはなにしろ時間が無かったしね…。





 城門を潜り、ふと見上げる感じに視線を向けると王城が俺達を見下ろす様にそびえ建っているのが見える。でかっ!?映画とかに出てくる城そのものだ。感動すら覚えてしまう。

 視線を元に戻すと城門から伸びる道が幅広くとられており、石やレンガ等を用いて綺麗に舗装されているのも見て取れる。道に沿うような形で大きめの家もズラ~っと建ち並んでいる。行き交う人の量も田舎とは比べ物にならないな…。相変わらず女性しか見当たらないけど。

「王都は凄いでしょ、エル?」 

「うん、凄いよね。それにあれがお城なんだよね?」 

「そうよ、大きくて立派でしょう?」 

「本当に凄いね…」 

「では…まずは先に宿へとご案内させてもらいますね」 

 城下町に着いた俺達はエリンさんの案内で宿へとまず向かう事になった。俺達が泊まる宿の見た目も内装も豪華なのは言うまでもない事だろう。部屋に入ると同時に母さんは備え付きのベットにダイブ…。ベッドの見た目も映画等でよく目にする豪華な装飾が施されたものになっている。

 それにしても母さんはする事が可愛いね…。

「ふぅ~…王都迄の道のりはやっぱり遠いわね…」 

「来るだけで一週間だもんね…」
 (車があったら便利なのに…前世は本当に便利な世界だったんだな…) 

「奥様は普段から運動が足りないからでは?」 

「ちょっと、ミーニャ!?そこは賛同するところじゃないの!?」 

「そこで賛同してしまっては余計に奥様は運動しなくなると思いますので、私は絶対に賛同しません」 

「ぶぅ~ぶぅ~!」 

「さて。ぶぅ~ぶぅ~ と、言ってる奥様は放って置いて…エル様?」 

「な~に、ミーニャ?」 

「宜しければ城下町を見に行かれませんか?」

「良いのっ!?良いんだったら是非行きたい!!」 

「かしこまりました…。レーティとリンリンは奥様のお世話をお願いね?」 

「ん、了解…です」 
「任せるアル!」 

「気を付けて行くのよ?まあ、ミーニャが付いてるからその辺の心配はいらないでしょうけど…」

 レーティとリンリンの2人はどうやら母さんのお世話をするみたいだ。母さんがバテてるみたいだしね…。それにしてもミーニャが付いてるなら心配ないという事はどういう事なのだろう。戦闘はメイドの嗜みですとか定番のセリフをもしかして聞けるのか!?まあ、おいおいその辺も分かるかな?



 ♢

 俺とミーニャは宿を出ると宿に面している大通りを東へ向かった。メインストリートという事もあり、果物や野菜を売ってる店や武器を売ってる店等様々な店が建ち並んでいる。ちょっとだけ武器屋を覗いてみたくなる。武器屋なんてゲームでしか見た事ないからな。それに武器は漢のロマン…だろ?へへっ。

「ミーニャ」 

「どうされました?」 

「武器屋を覗いてみてもいい?」 

「ふふっ…ええ、構いませんよ」

 ミーニャと一緒に武器屋の中へ。店内は装飾された剣やら槍、斧等が所狭しと並んでいる。マジカッコいい…!見るだけでもワクワクしてきて何時間でも見ていたい。 

「いらっしゃい…って、もしかして…男の子…かい?」 
 
 声を掛けてくれたのは三十代位の女性。この店の店主だろう。俺がミーニャの顔に視線を向けるとミーニャはコクンと縦に首を振る。言っていいという合図だ。 

「うん、そうだよ」 

「も、もしかして…噂の公爵家のご子息様…であらせられますか!?」 

「本日は一般の客として店内を見せてもらいたいのですが宜しいでしょうか?」 

「ももももも、勿論ですっ!あっ…いえ、勿論」 

 なるほど…。今のミーニャみたいな言い方をすれば店側は一般の人として扱ってくれるのか…。勉強になるな…。

「も、もし良かったら…子供用の護身の為の剣でもお見せしましょうか?」 

「是非!」 




 武器屋に居る間、ついついはしゃぎすぎてしまった。でもそんな俺の様子を微笑ましいものを見たかの様にミーニャは終始ご機嫌だった。何故かは分からないが…。勿論見るだけではなく護身用に1本買うことになったんだ。
 実戦で使う機会なんかは流石にないだろうし、そんな機会は来なければいいとは思う。フリじゃないぜ?ホントにそう思ってるんだ。

 でも腰の後ろに剣を装着するだけで気分はゲームの主人公になったみたいに思える。俺のテンションハイテンション。だだ上がり真っ最中である。

 そんなハイテンションマックスな俺とミーニャは武器屋を出た後、色々な場所をまた見て回った。

 そして、その最中に俺と同じ位の歳の女の子が一人でグスングスン泣いているのを見掛けたんだ…。
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