男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第三章

ハロウィン

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「ホント…エルには驚かされるばかりだわ」 

「…それは褒めてるの、ティア?」 

「ふふっ…さあ、どっちだと思う?」 

 前世では有名だったハロウィン。それをこの世界の行事に取り入れてみたんだ…。後日談にはなるんだけど、そういうイベントに飢えていたのか瞬く間にハロウィンは世界中に広まっていくことになった。 

 今回は初めてハロウィンが開催された時の話だ。初めてのハロウィンはうちの領地でだけ行われる事になった。商人の人を通じて大々的に宣伝した事もあって領地は世界中から来た人で溢れていた。 

 それにしても人多過ぎじゃない?既に宿は満室…。泊まれない人は野営すらする覚悟ってそんなに大層なもんじゃないし、そんな覚悟はいらないからね!?

 ―で、ティア達もハロウィンを見にやって来たんだ。 

「僕も居るからね、2人共?」 

「えっ…居るのは見れば分かるけど?そんな改まってどうしたのさ、ランス?」 

「エルとティアが2人だけの世界に入っていたみたいだから念の為に言っただけだよ?」 

「ふふふ、2人だけの世界なんて…しょんな事にゃいよ?ランスもたまには良いこと言うじゃない?」 

 え~と…今、ランスって何か良いこと言ったかな?不思議に思うものの俺もランスに言葉を返す。

「そうだぜ、ランス?3人で色々な場所を見て回るんだからそんな事しないぞっ?」 

「ぷくっ~(エルの馬鹿っ!!)」 

「何でフグみたいに膨れて拗ねてるんだ、ティアは?」 

「やっぱりお邪魔じゃん…。母様かおっぱいリーンと一緒に回ればよかったかな?」 

 いやいや、待て待て待て…。おっぱいリーンって何だよ!?あやうく声を出して突っ込む所だったぞ!?

「やっぱり最低ねランスは…」

 ティアよ。やっぱりって何だ?聞いても答えてくれそうにないし、何があったんだよ。






 なんやかんや言いながらも3人で色々な出店を見て回った。そういう時って楽しいからか時間が経つのがやっぱり早く感じてしまう。あっという間に時刻は夕方になっていた。でも…ハロウィンは暗くなってからが本番だよね?だよな?

 だけど、ランスはリーンさんと一緒に回るようにしたみたいだ…。二人仲良く腕を組みながら人混みの中へと消えて行った。あの二人付き合ってるのか?かなり仲良く見えたんだけど…。

「俺達も一度戻ろうか?」

「う、うん」

 まだ帰りたくなさそうな表情をするティア。でも一度帰らないと陛下が心配するだろうからな…。

「じゃあ…手をお借り出来ますか、お姫様?」

 はぐれてもマズイし、こういう時って確かエスコートしてあげればいいと本で読んだ事がある。それが良かったのか、ティアは満面の笑みで「うん」と言ってくれた後、おずおずと照れながら手を差し出してくる。その手を取ってティアが泊まっている宿へと話をしながら2人歩いていく。

ティアを宿へと送り… 

「ちょっと…待っててくれる?」 

「えっ…うん、分かった」 

 ティアが泊まってる部屋の前迄送り届けたんだけど、待つように言われた。しばらく待っていると部屋の中から「入って来て」と、ティアの声。

 入って来てって宿だけど女の子の部屋に入るのって大丈夫か!?しかも相手は殿下だよっ!?お姫様なんだけどっ!?それに陛下が居るんじゃないのっ!? 

「…エル、早くっ」 

 部屋の中から早く入って来いみたいなティアの声。仕方なく部屋の中へと入る事に…。 

「…入るよ?」

 部屋に入るとそこには包帯を直に素肌に巻き付けたミイラの仮装をしたティアの姿…。ところどころ見える白い肌がとてつもなく色っぽく見える…。

 「お、お菓子をくれなきゃ…イタズラしちゃうぞっ?」 

 その姿、その声に魅了され、イタズラされたいと思ってしまったのは仕方がない事だと思う…。

 ちなみに陛下はクララさんによって外へと連れ出されいたそうだ…。
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