56 / 100
高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
046 GW 1日目 4
しおりを挟む**健太視点**
颯と京夜を部屋に送ってリビングに戻ると、親父たちが何とも言えない微妙な顔で待っていた。
「健太と颯が番になると思ってたんだけどな~」
親父が溜息混じりに呟いた。
「それだけは無い。」
苦笑しながら否定する。
「前世の記憶があるのも善し悪しねぇ」
少し残念そうに祖母も呟いた。
成人したら颯は京夜の籍に入ることになっているから淋しいのだろう。
産まれた時、正確には母親の胎の中にいた頃から前世の記憶を持っていた俺は、発達が飛び抜けて早く、言葉も早かった。
大人びた子供らしくない乳幼児を嫌がらず、好奇心旺盛に俺の前世の記憶を聞き出したのは両親と祖父母達だった。
だから颯が前世の俺の子供の生まれ変わりだと家族全員が知っている。
臨月で里帰り出産をするために帰省した叔母夫婦が同居を決めたのも、俺と颯が離れられなかったからだった。
颯は乳幼児の頃から人見知りで警戒心が強かった。
特に叔母と俺にべったりで、目が醒めた時に叔母か俺が側にいないとひきつけを起こすほど泣いて大変だった。
叔母は仕事やヒートで一緒にいられない日もあり、颯が初等部に入るまでは家族全員で一緒の部屋で寝起きしていた。
学年は一つ違いだが、俺が四月生まれで颯が三月生まれなので、実年齢は二歳近く離れている。
前世の知識と見様見真似でミルクを飲ませたり、オムツ交換、離乳食、トイレトレ、あらゆる世話を手伝った。
俺は前世で出来なかった育児に夢中になった。
颯が前世の我が子の生まれ変わりだから出来たし、したかった。
俺の一番は颯。
颯を愛してる。
出来ればもう一度産みたかった。
今世は男でαで従兄弟で、叶わなかったけれど。
「健太、颯は京夜君に任せて自分の幸せも考えなよ?」
俺と颯が作ったチュロスを片手に姉貴が言った。
「自分の幸せ?」
俺の幸せは颯が幸せでいること。
「・・・颯のこと以外で!」
姉貴の低い声に思わず目を逸らした。
「子離れしなよ?」
「子離れ?しなきゃダメなのか?」
「第三者視点だと、あんたブラコン拗らせたウザイ小舅か横取り狙ってるヤバイαに見えなくもないのよ?」
「うそっ・・・」
俺が姉貴のダメ出しに項垂れていると、
「運命の番、捜してみないか?」
と、叔父さんが言った。
叔父さん──颯の父親は病理医で遺伝子の研究をしている。
αとΩの相性というか運命度とかを遺伝子データを基に数値化してマッチングするアプリの開発チームにも関わっているらしい。
「健太、モニターになってくれ。」
1
あなたにおすすめの小説
世話焼き風紀委員長は自分に無頓着
二藤ぽっきぃ
BL
非王道学園BL/美形受け/攻めは1人
都心から離れた山中にある御曹司や権力者の子息が通う全寮制の中高一貫校『都塚学園』
高等部から入学した仲神蛍(なかがみ けい)は高校最後の年に風紀委員長を務める。
生徒会長の京本誠一郎(きょうもと せいいちろう)とは、業務連絡の合間に嫌味を言う仲。
5月の連休明けに怪しい転入生が現れた。
問題ばかりの転入生に関わりたくないと思っていたが、慕ってくれる後輩、風紀書記の蜂須賀流星(はちすか りゅうせい)が巻き込まれる______
「学園で終わる恋愛なんて、してたまるか。どうせ政略結婚が待っているのに……」
______________
「俺は1年の頃にお前に一目惚れした、長期戦のつもりが邪魔が入ったからな。結婚を前提に恋人になれ。」
「俺がするんで、蛍様は身を任せてくれたらいいんすよ。これからもずっと一緒っすよ♡」
♢♦︎ ♢♦︎ ♢♦︎ ♢♦︎ ♢♦︎ ♢♦︎ ♢
初投稿作品です。
誤字脱字の報告や、アドバイス、感想などお待ちしております。
毎日20時と23時に投稿予定です。
どうしてそうなるんだよ!!!
藤沢茉莉
BL
俺様な会長、腹黒な副会長、無口な書記、双子の庶務……不本意ながら生徒会役員に選ばれてしまった見た目不良なお人好し主人公が、バラバラな生徒会をなんとかまとめようと奮闘する話。
多忙のため少々お休み中。
誤字脱字ほか、気になる箇所があれば随時修正していきます。
αの共喰いを高みの見物してきた男子校の姫だった俺(α)がイケメン番(Ω)を得るまで。
Q矢(Q.➽)
BL
αしか入学を許可されないその学園の中は、常に弱肉強食マウントの取り合いだった。
そんな 微王道学園出身者達の、卒業してからの話。
笠井 忠相 (かさい ただすけ) 25 Ω
×
弓月 斗和 (ゆづき とわ) 20 α
派生CPも出ます。
※ 1月8日完結しました。
後日談はその内書くと思います。
ご閲覧ありがとうございました!
王道学園の書記には過保護な彼氏がいるようで
春於
BL
「王道学園の副会長には愛しの彼氏がいるようで」のつづき
(https://www.alphapolis.co.jp/novel/987002062/624877237)
王道学園に王道転校生がやってきた
だけど、生徒会のメンバーは王道ではないようで…
【月見里学園】
生徒会
〈会長〉御宮司 忍 (おんぐうじ しのぶ)
〈副会長〉香月 絢人 (かづき あやと)
〈書記〉相園 莉央 (あいぞの りお)
〈会計〉柊 悠雅 (ひいらぎ ゆうが)
〈庶務〉一色 彩葉/日彩 (いっしき いろは/ひいろ)
風紀委員
〈風紀委員長〉伊武 征太郎 (いぶ せいたろう)
相園莉央親衛隊
〈親衛隊長〉早乙女 楓真 (さおとめ ふうま)
王道転校生
浅見翔大 (あさみ しょうた)
※他サイトにも掲載しています
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
ひろいひろわれ こいこわれ【完結済み】
九條 連
BL
母を突然の事故で喪い、天涯孤独となった莉音は、ある夜、道端で暴漢に襲われかけたところをひとりの男に助けられる。
莉音を庇って頭を殴られ、救急搬送された男は青い瞳が印象的な外国人で、一時的な記憶喪失に陥っていた。
身元が判明するまでのあいだ、莉音がその身柄を引き受けることになったが、男の記憶はほどなく回復する。男は、不動産関連の事業を世界的に展開させる、やり手の実業家だった。
この出逢いをきっかけに、身のまわりで起こりはじめる不穏な出来事……。
道端で拾ったのは、超ハイスペックなイケメン社長でした――
※2024.10 投稿時の内容に加筆・修正を加えたものと差し替え済みです。
無自覚オメガとオメガ嫌いの上司
蒼井梨音
BL
ベータとして生きてきた無自覚オメガの小国直樹は、オメガ嫌いの白鷹課長のいる部署に異動になった。
ビクビクしながら、なるべく関わらないように仕事をしてたのに、
ペアを組んでいた先輩が倒れてしまい、課長がサポートすることに。
そして、なぜか課長にキスされてしまい…??
無自覚オメガ→小国直樹(24)
オメガ嫌いの上司→白鷹迅(28)アルファ
第一部・完
お読みいただき、ありがとうございました。
第二部
白鷹課長と一緒に住むことになった直樹。
プロジェクトのこととか、新しくできた友だちの啓さんのこととか。
相変わらず、直樹は無自覚に迅さんに甘えています。
第三部
入籍した直樹は、今度は結婚式がしたくなりました。
第四部
入籍したものの、まだ番になってない直樹と迅さん。
直樹が取引先のアルファに目をつけられて……
※続きもいずれ更新します。お待ちください。
直樹のイラスト、描いてもらいました。
和を以て貴しと為す
雨宿り
BL
"山奥に閉ざされた男子校"に入学した平凡な高校生の蓮水和は、周囲の異質さと距離を保ちながらもそれなりの日々を送っていた。
しかし、ひとつの事件に巻き込まれたことを境にその環境は一変する。
問題児の"転校生"と同室になり、クラスの"学級委員"に世話を焼かれ、"生徒会役員"と関わりができ、挙句"風紀委員"に目をつけられてしまう。
乗り越えたい過去と、目まぐるしい今に向き合いながら、和は様々な愛情を向けられるようになり...?
・
非王道学園を目指しながらも、数多の美形たちに振り回されたり振り回したりするひとりの平凡によってお送りするぐちゃぐちゃとした群像劇をお楽しみいただけたらな、という感じのお話。
長くなる予定ですがのんびり更新して行きますので、気に入って頂けたら嬉しいです。
初投稿の為、なにか不備がありましたら申し訳ございません。
2026.01.15▶9話を更新。気がついたら3ヶ月も止まっていて大反省。寒中お見舞い申し上げます。続きもまだプロット未満みたいな状態ですが、2章までは駆け抜けたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる