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第38話【エルガーの街の賑わい】
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食事の後、僕達は予定どおりに馬車で休み夜明けとともに移動を再開した。
「今日はエルガーの街まで進む予定になっておりますので宿泊は街の宿にてお願いする事になります」
野営地を出発する時にアルフィードが今日の予定をノエルに告げる。
その言葉にノエルが「わかりました。今日もよろしくお願いします」と笑顔で返す。
やはり美女の笑みは男にはよく効くようで昨日の僕とのやりとりに少々不機嫌そうに見えた彼の表情がやわらぐのが見て取れた。
* * *
「――エルガーの街は初めてなので楽しみです」
予定通りに出発した馬車に揺られながら僕がノエルにそう話すと「エルガーには知り合いがお店をやっているので時間がとれれば行ってみたいですね」と話してくれた。
「へえ、ノエルさんの知人がやっているお店ですか。
どんな人か聞いても良いですか?」
僕が興味本位で尋ねるとノエルは「同じ商売人でお父様がやっている商会と同等の規模のゼリアーナ商会の娘でマリアーナって言うの。
お店自体は私のお店とほとんど変わらない形態で王都の本店から品物を送ってもらいながら運営しているわ。
歳は確か私よりひとつ下だったと思うけどしっかりした娘よ。
家同士はライバルだけどお互いの境遇が似ていたせいなのか話は結構合って、用事でエルガーに来た時なんかは食事を一緒するくらいの仲ではあると思ってるわ」
ノエルが楽しそうに話すので僕もつられて口元が緩むのがわかった。
2日目の道中も特に問題は起こらないまま夕刻にはエルガーの街並みが見えるところまで馬車は進んでいた。
「あ、あれがエルガーの街なんですね。
ここから見る限りロギナスよりも大きな街に見えますけど実際のところはどうなんですか?」
「そのとおりですわ。
エルガーの街は私達が住んでいるロギナスよりも規模が大きな街ですね。
一番の特徴としてはいろいろな加工をする職人が多く住む『職人の街』のイメージが強い街です。
鉄などの金属加工から宝石などの装飾品、織物などからなる服飾品まで幅広い加工品が生産・販売されていますので経済的にも王都に次ぐ規模の街だと言われているわ」
ノエルの説明に僕はうなずいて「それは興味深いですね、楽しみが増えましたよ。時間があれば是非案内をして欲しいな」とお願いをした。
「わ、私もそれだけ詳しくはないですけど一緒に見てまわれたら嬉しいです」
ノエルはそう答えて頬を赤く染めた。
* * *
「よし!
つぎの馬車入ってもいいぞ!」
エルガーの街の入口では門兵による検査が行われていた。
「マグラーレ商会のお嬢様とその従者を王都までお連れしている馬車です。
わたしは御者のアルフィード。
横に控えているのは護衛の銀の剣のメンバー4名です」
馬車が門を通過する際にある確認作業では全員を代表して御者が報告をする義務があるらしいがいつの間にか僕はノエルの従者となっていたらしい。
「ごめんなさいね。
私は父親の関係で少しだけ名前が知れているからこういった時はこういう対応をした方がトラブルが少ないみたいなの」
どうやらノエルは僕が従者扱いされているのを快く思っていないと判断してアルフィードに悪気はないと言いたかったようだ。
「ああ、別に気にしてないから大丈夫ですよ。
何事もトラブルは回避出来るならばそれに越した事はないですからね」
僕の言葉にほっとした表情を見せたノエルは「ありがとう」と言った。
エルガーの街はまさにロギナスをひとまわり大きくしたような街でこの国の街並みの特徴である斡旋ギルドを中心とした8方向の大通りが真っすぐにのびていた。
「宿は斡旋ギルドのすぐ側にある木漏れ日の宿に予約をとっております。
エルガーでは明日一日は自由に行動されて良いですが明後日の朝食後に王都へ向けて出発を致しますので必ず宿の入口でお待ちください。
街の中ですので護衛はつけませんがお気をつけくださいませ」
アルフィードはそうノエルに告げると馬車を宿の前まで馬車を進ませ僕達を下ろすと「受付にてノエル様のお名前を出して頂ければ話が通ると思います。では、明後日の朝までごゆっくりなされてくださいませ」とお辞儀をしてから馬車を動かした。
――カランコロン。
宿のドアを開けるとドア鐘の音に気づいた係の男性が用件を聞くために側についた。
「今日と明日こちらにお世話になる予約をしているマグラーレ商会のノエルです。
こちらは連れのミナトと言います」
マグラーレ商会の名前を聞いた係の男性はすぐに姿勢を正して「ようこそ木漏れ日の宿へお部屋の準備は出来ておりますのでご案内いたします」とお辞儀をする。
「ありがとうございます。
すみませんが、この度は父の手配で予約をしたものでどういった内容かを伺いたいのですが……」
もしかしたら自分の部屋しか予約が取れていない可能性があるかもしれないとノエルが心配して係の男性に聞く。
「ノエル様が2階の角部屋でお連れ様は1階のお部屋が予約されております」
男性の説明にミナトの部屋もちゃんと予約されていた事にノエルはほっとする。
「ありがとうございます。
でも、同部屋はないでしょうけど続き部屋ではないのですね」
「それは、お部屋のグレードが違いますから……。
2階のお部屋は全室、貴族様や富豪の方向けの造りになっており、一般の方は1階のお部屋になりますのでそう予約をされたのではないかと……」
(なるほど、自分の娘には良い部屋を予約してまだ素性の分からない僕は一般部屋で十分と判断した訳だ。
まあ、当然の措置だと思うし逆に部屋の予約があった事に驚きを覚えたくらいだ。
まあノエルの手前、僕だけ部屋がないとかなった時に自分の部屋に泊めるとか言い出さないようにとの配慮からだろうけど……)
「食事は宿泊とは別になっておりますので1階の食堂にて有料提供をしております。
外食をされても問題はございませんが夜の鐘までにはお戻り頂くようにお願いします」
係の男性はそう告げて近くにいた案内係の女性にノエルを部屋まで案内するように指示をした。
「じゃあ部屋を確認したら降りてくるから受付前で待ってて貰えるかな?
その後、少し出かけるから」
ノエルはそう言って案内係の女性に連れられて2階へとあがって行った。
「今日はエルガーの街まで進む予定になっておりますので宿泊は街の宿にてお願いする事になります」
野営地を出発する時にアルフィードが今日の予定をノエルに告げる。
その言葉にノエルが「わかりました。今日もよろしくお願いします」と笑顔で返す。
やはり美女の笑みは男にはよく効くようで昨日の僕とのやりとりに少々不機嫌そうに見えた彼の表情がやわらぐのが見て取れた。
* * *
「――エルガーの街は初めてなので楽しみです」
予定通りに出発した馬車に揺られながら僕がノエルにそう話すと「エルガーには知り合いがお店をやっているので時間がとれれば行ってみたいですね」と話してくれた。
「へえ、ノエルさんの知人がやっているお店ですか。
どんな人か聞いても良いですか?」
僕が興味本位で尋ねるとノエルは「同じ商売人でお父様がやっている商会と同等の規模のゼリアーナ商会の娘でマリアーナって言うの。
お店自体は私のお店とほとんど変わらない形態で王都の本店から品物を送ってもらいながら運営しているわ。
歳は確か私よりひとつ下だったと思うけどしっかりした娘よ。
家同士はライバルだけどお互いの境遇が似ていたせいなのか話は結構合って、用事でエルガーに来た時なんかは食事を一緒するくらいの仲ではあると思ってるわ」
ノエルが楽しそうに話すので僕もつられて口元が緩むのがわかった。
2日目の道中も特に問題は起こらないまま夕刻にはエルガーの街並みが見えるところまで馬車は進んでいた。
「あ、あれがエルガーの街なんですね。
ここから見る限りロギナスよりも大きな街に見えますけど実際のところはどうなんですか?」
「そのとおりですわ。
エルガーの街は私達が住んでいるロギナスよりも規模が大きな街ですね。
一番の特徴としてはいろいろな加工をする職人が多く住む『職人の街』のイメージが強い街です。
鉄などの金属加工から宝石などの装飾品、織物などからなる服飾品まで幅広い加工品が生産・販売されていますので経済的にも王都に次ぐ規模の街だと言われているわ」
ノエルの説明に僕はうなずいて「それは興味深いですね、楽しみが増えましたよ。時間があれば是非案内をして欲しいな」とお願いをした。
「わ、私もそれだけ詳しくはないですけど一緒に見てまわれたら嬉しいです」
ノエルはそう答えて頬を赤く染めた。
* * *
「よし!
つぎの馬車入ってもいいぞ!」
エルガーの街の入口では門兵による検査が行われていた。
「マグラーレ商会のお嬢様とその従者を王都までお連れしている馬車です。
わたしは御者のアルフィード。
横に控えているのは護衛の銀の剣のメンバー4名です」
馬車が門を通過する際にある確認作業では全員を代表して御者が報告をする義務があるらしいがいつの間にか僕はノエルの従者となっていたらしい。
「ごめんなさいね。
私は父親の関係で少しだけ名前が知れているからこういった時はこういう対応をした方がトラブルが少ないみたいなの」
どうやらノエルは僕が従者扱いされているのを快く思っていないと判断してアルフィードに悪気はないと言いたかったようだ。
「ああ、別に気にしてないから大丈夫ですよ。
何事もトラブルは回避出来るならばそれに越した事はないですからね」
僕の言葉にほっとした表情を見せたノエルは「ありがとう」と言った。
エルガーの街はまさにロギナスをひとまわり大きくしたような街でこの国の街並みの特徴である斡旋ギルドを中心とした8方向の大通りが真っすぐにのびていた。
「宿は斡旋ギルドのすぐ側にある木漏れ日の宿に予約をとっております。
エルガーでは明日一日は自由に行動されて良いですが明後日の朝食後に王都へ向けて出発を致しますので必ず宿の入口でお待ちください。
街の中ですので護衛はつけませんがお気をつけくださいませ」
アルフィードはそうノエルに告げると馬車を宿の前まで馬車を進ませ僕達を下ろすと「受付にてノエル様のお名前を出して頂ければ話が通ると思います。では、明後日の朝までごゆっくりなされてくださいませ」とお辞儀をしてから馬車を動かした。
――カランコロン。
宿のドアを開けるとドア鐘の音に気づいた係の男性が用件を聞くために側についた。
「今日と明日こちらにお世話になる予約をしているマグラーレ商会のノエルです。
こちらは連れのミナトと言います」
マグラーレ商会の名前を聞いた係の男性はすぐに姿勢を正して「ようこそ木漏れ日の宿へお部屋の準備は出来ておりますのでご案内いたします」とお辞儀をする。
「ありがとうございます。
すみませんが、この度は父の手配で予約をしたものでどういった内容かを伺いたいのですが……」
もしかしたら自分の部屋しか予約が取れていない可能性があるかもしれないとノエルが心配して係の男性に聞く。
「ノエル様が2階の角部屋でお連れ様は1階のお部屋が予約されております」
男性の説明にミナトの部屋もちゃんと予約されていた事にノエルはほっとする。
「ありがとうございます。
でも、同部屋はないでしょうけど続き部屋ではないのですね」
「それは、お部屋のグレードが違いますから……。
2階のお部屋は全室、貴族様や富豪の方向けの造りになっており、一般の方は1階のお部屋になりますのでそう予約をされたのではないかと……」
(なるほど、自分の娘には良い部屋を予約してまだ素性の分からない僕は一般部屋で十分と判断した訳だ。
まあ、当然の措置だと思うし逆に部屋の予約があった事に驚きを覚えたくらいだ。
まあノエルの手前、僕だけ部屋がないとかなった時に自分の部屋に泊めるとか言い出さないようにとの配慮からだろうけど……)
「食事は宿泊とは別になっておりますので1階の食堂にて有料提供をしております。
外食をされても問題はございませんが夜の鐘までにはお戻り頂くようにお願いします」
係の男性はそう告げて近くにいた案内係の女性にノエルを部屋まで案内するように指示をした。
「じゃあ部屋を確認したら降りてくるから受付前で待ってて貰えるかな?
その後、少し出かけるから」
ノエルはそう言って案内係の女性に連れられて2階へとあがって行った。
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