少女漫画の当て馬キャラと恋人になったけどキャラ変激しすぎませんか??

和泉臨音

文字の大きさ
11 / 48
第二章 初デートのはずなのになんでこうなった??

第三話*side衛

しおりを挟む
 
 活動写真は音声のない白黒ムービーだ。スクリーンの横に弁士と呼ばれる人がいて一人で声を変え役を演じる。
 テンポよい語り口調は落語家を彷彿ほうふつとさせた。

「……あの、少、陽真様」
「ん?」
「俺でなく画面を見ませんか?」

 親切なのか俺のほうがスクリーン側に座ったのは良いが、隣に座る少尉が明らかに横向きで俺をガン見してくる。

「気にしないで、僕は初めてではないから。今日は衛を見ていたいんだ」

 いや、気にしないとか無理ですが?? と、素直に言えればよかったが、にこりと甘く微笑まれてしまえば、まぁそれくらいいいか、とか思ってしまう俺なのである。

 ぐっ、全ては一条寺少尉がかっこいいのがいけない。

 少女漫画の中でも当て馬ながらその見た目と立ち居振る舞いで常に人気のあったキャラだ。
 所詮雑魚モブキャラの俺が勝てるわけがないのである。

 精神統一して活動写真に意識を向けようとした時、なにか違和感を感じた。

「衛?」
「少尉……なにか、変です」
「……っ! 妖魔か?」
「来ます!」

 弁士の声がプツッと途切れたかと思えば、視界がグニャリと歪み薄暗かったホールの中は蛍光色でデタラメに塗りたくられた空間へと変化した。

 妖魔により作られた異空間である。彼らはここに閉じ込めた人間を餌としてほふる。
 それに対抗できる力が退魔の力だ。

 突然のことに観客たちの悲鳴があちこちから聞こえる。結構な人数が囚われてしまったようだ。

 状況を確認しようと視線を走らせれば、スクリーンだったものがもぞりと動き一斉に飛び立つのが見えた。
 カラスのように見えるが鳥の形をした無数の妖魔だ。

 とっさに俺は退魔武器である拳銃を宙空から取り出し発砲する。

「飛行型か、数が多いな。抑えられるか?」

 一条寺少尉の問いかけに鳥型妖魔を撃ち落としつつ、自分の実力や敵の状況を確認する。

「これ以上数が増えなければ俺だけで抑えられます」

 甘く見積もってしまえば全員を危険に晒すことになる。
 俺の銃は実物とは違い、弾の充填は地面に一発空打ちするというゲームセンターのシューティングゲームのような作りだ。しかも二丁使いのため基本的に連射し放題で弾切れがない。
 一気に襲いかかられると撃ち落としきれないが、今いる数なら対応可能と判断した。

「分かった。一般人の強制送還は僕が行う。妖魔の方は任せたよ」
「承知いたしました」

 俺の隣りにいた少尉が離れていくのを感じながら、視線は妖魔の群れから離すことなく狙いを定める。

 一条寺少尉の退魔武器はサーベルだ。状況的に見ても俺が妖魔に対応し、少尉は囚われてしまった非戦闘員を異空間から逃がす方が効率的である。

「……せっかくの、デートだったのに!」

 積極的すぎる一条寺少尉の態度に戸惑っていたのは確かだが、これでも今日を楽しみにしていたのだ。

 モブキャラでなんの取り柄もない俺が、イケメンキャラの一条寺少尉と仕事以外でご一緒するなどありえないと思っていたのに、恋人になり、任務以外でも一緒にいることを許された。

 その記念すべき日なのである。

 俺は待ち受けるだけでなく、鳥型妖魔へ近寄りつつ一体、また一体と的確に撃ち落とし数を減らしていった。
 あと数匹、というところでカラスのような妖魔が突然水のようなモノを吐き出した。

「……なっ!」

 とっさに顔を庇ったが、攻撃を受けた服が蒸気を発しつつ溶けていく。その一瞬の隙を妖魔たちは見逃さず、四方から囲まれ水のようなモノを浴びせられた。

 皮膚がただれたら動けなくなる! 染み込む前に終わらせなければ!
 
 水を吐くときは止まっている妖魔たちを端から狙い撃つ。

 あと、三匹。
 
 狙いを定めてトドメを刺そうとした俺の両手首が、背後から突然誰かに掴まれた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ぼくが風になるまえに――

まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」 学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。 ――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。 精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。 「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」 異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。 切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。 ダレン×フロル どうぞよろしくお願いいたします。

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

邪神の嫁として勝手に異世界召喚されたけど、邪神がもろタイプだったので満更でもないです

我利我利亡者
BL
椎葉 譲(しいば ゆずる)は突然異世界に召喚された。折角就活頑張って内定もらえてこれからって時に、冗談じゃない! しかも、召喚理由は邪神とやらの神子……という名の嫁にする為だとか。こっちの世界の人間が皆嫌がるから、異世界から神子を召喚した? ふざけんな! そんなの俺も嫌だわ! 怒り狂って元の世界に戻すよう主張する譲だったが、騒ぎを聞き付けて現れた邪神を一目見て、おもわず大声で叫ぶ。「きゃわいい!」。なんと邪神は猫の獣人で、何を隠そう譲は重度のケモナーだった。邪神は周囲からあまりいい扱いを受けていないせいかすっかり性格が捻くれていたが、そんな事は一切気にせず熱烈にラブコールする譲。「大好き! 結婚しよ!」「早く元の世界に帰れ!」。今日もそんな遣り取りが繰り返される。果たして譲は、邪神とフォーリンラブできるのか!? 孤独な邪神でもある黒猫獣人×重度のケモナーでもあるおチャラけ根明

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

悪役を幸せにしたいのになんか上手くいかない ~推しは間もなく退場予定~

はかまる
BL
ぼっちオタク高校生が転生したのはなんと大大大好きな恋愛小説。 …の、モブになっていた。しかも気づいた時点で既にストーリーはド終盤。 今まさに悪役のシルヴァ・ヴェントスが追放されそうになっている。 推しであるシルヴァの追放を阻止したい前世の記憶がゴリゴリあるオタク、アルス・チェルディは追放イベントを失敗に終わらせ強制的に悪役に学園生活を続行させる。 その後、悪役が幸せに学園を卒業できるようオタ活をしながら見守っていくはずが、なんだか悪役シルヴァの自分への態度が段々とおかしくなってきて……? 【CP】ヤンデレ?攻め×オタク包容力受け 短い話になりますがお付き合い頂けると嬉しいです。1日2回更新。 かっこいい攻めはいない不器用な青い恋。 (元となるSSから加筆した作品になります)

魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子
BL
これは魔法とバース性のある異世界でのおはなし――。 15歳の魔力&バース判定で、神官から「魔力のほとんどないオメガ」と言い渡されたエリス・ラムズデール。 その途端、それまで可愛がってくれた両親や兄弟から「無能」「家の恥」と罵られて使用人のように扱われ、虐げられる生活を送ることに。 そんな中、エリスが21歳を迎える年に隣国の軍事大国ベリンガム帝国のヴァンダービルト公爵家の令息とアイルズベリー王国のラムズデール家の婚姻の話が持ち上がる。 だがヴァンダービルト公爵家の令息レヴィはベリンガム帝国の軍事のトップにしてその冷酷さと恐ろしいほどの頭脳から常勝の氷の狼と恐れられる騎士団長。しかもレヴィは戦場や公的な場でも常に顔をマスクで覆っているため、「傷で顔が崩れている」「二目と見ることができないほど醜い」という恐ろしい噂の持ち主だった。 そんな恐ろしい相手に子どもを嫁がせるわけにはいかない。ラムズデール公爵夫妻は無能のオメガであるエリスを差し出すことに決める。 「自分の使い道があるなら嬉しい」と考え、婚姻を大人しく受け入れたエリスだが、ベリンガム帝国へ嫁ぐ1週間前に階段から転げ落ち、前世――23年前に大陸の大戦で命を落とした帝国の第五王子、アラン・ベリンガムとしての記憶――を取り戻す。 前世では戦いに明け暮れ、今世では虐げられて生きてきたエリスは前世の祖国で平和でのんびりした幸せな人生を手に入れることを目標にする。 だが結婚相手のレヴィには驚きの秘密があった――!? 「きみとの結婚は数年で解消する。俺には心に決めた人がいるから」 初めて顔を合わせた日にレヴィにそう言い渡されたエリスは彼の「心に決めた人」を知り、自分の正体を知られてはいけないと誓うのだが……!? 銀髪×碧眼(33歳)の超絶美形の執着騎士団長に気が強いけど鈍感なピンク髪×蜂蜜色の目(20歳)が執着されて溺愛されるお話です。

婚約破棄されるなり5秒で王子にプロポーズされて溺愛されてます!?

野良猫のらん
BL
侯爵家次男のヴァン・ミストラルは貴族界で出来損ない扱いされている。 なぜならば精霊の国エスプリヒ王国では、貴族は多くの精霊からの加護を得ているのが普通だからだ。 ところが、ヴァンは風の精霊の加護しか持っていない。 とうとうそれを理由にヴァンは婚約破棄されてしまった。 だがその場で王太子ギュスターヴが現れ、なんとヴァンに婚約を申し出たのだった。 なんで!? 初対面なんですけど!?!?

処理中です...