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第二章 初デートのはずなのになんでこうなった??
第二話*side陽真
僕の恋人は大変奥ゆかしい。
僕が少し近づいただけで慄き身を離す俊敏さもだが、そういうアクシデントに対してこれ幸いと不躾に僕に触れる不埒者と違い好感が持てる。
……そんなに避けなくてもいいとは思うが。
だがほんのりと耳を赤く染め視線をそらす姿から、僕が嫌がられてはいないのだろうと察しはついた。
だからいま手を繋ぎ往来を歩き、ほんの少し怯えたようにしているのは僕への嫌悪感ではないのだろう。
僕の恋人、日凪衛はなかなか謎の多い男だ。
幼い頃に家族揃って妖魔に襲われ、一人だけ生き残った。衛の退魔の力のお陰だ。
しかしその退魔の力……彼の扱う武器は誰も見たことのないものだった。
手のひらサイズの銃。
西洋で開発の進む武器だが、この国では見たこともないそれのせいで、彼自身が妖魔ではないかと疑われ、幼少期には随分酷い扱いを受けていたようだ。
人目に怯え、目立たぬように隠れようとするのはそのせいだろう。そう思うと酷く心が痛む。
武器自体はたしかに異質であるし、海外との交流もない村出身の幼い衛がどうして知り得たのかは謎だが、そんなものは僕にとっては些細なことだ。
発明などはたった一人の閃きで幾重にも広がる。それが幼い少年だっただけの話。
僕が身近にいればどんなに良かったことかと過去を後悔したところで何も変わらない。
それに幼い衛は僕などいなくとも持ち前の処世術で生き抜き、エリートと呼ばれる月光隊員として現在僕の元にいる。
つまり、なるべくして僕と衛は出会ったということだ。
多少、人事に手を回したが、まあそれはそれだ。
「活動写真は初めて見ます」
「そう、それは良かった。衛の初体験を奪えるのは全て僕がいいからね」
笑顔で言えばまたほんのりと衛が耳を染め、唇をぎゅっと引き結ぶ。
可愛い。愛おしい。
今すぐ抱きしめたいのだが、流石にすぐ手を出すのはどうかと思うし自重することにして、そっと衛の髪を撫でるだけにした。
ビクリと怯えさせてしまったが、これからもっと触れていきたいので慣れてもらうしかない。
サラサラの髪はまるで衛の性格を表すように真っ直ぐで手触りがいい。
「あの……」
「なにかな?」
「……いえ」
たぶん止めてくれと言いたいのだろう。しかし上官の僕には言い辛い、そんな表情だ。
ねぇ、衛。君は僕の恋人で、君の我儘ならいくらでも聞いてあげたいと思ってる。
だけどね、何も言わないなら僕は気付かないフリをして君の優しさにつけ込もうと思うよ。
そうしないと、君の特別には到底なれないだろうからね。
「さあ、始まるよ。楽しみだね」
「はい」
いつまでも触れていたかったが、落ち着かない衛が可哀想になったので、僕は仕方なく手触りの良い衛の髪から手を放すことにした。
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