少女漫画の当て馬キャラと恋人になったけどキャラ変激しすぎませんか??

和泉臨音

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第三章 新隊員の選抜条件おかしくないですか??

第二話*side陽真

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まもるが負傷しただと!」
「さっきの戦闘で乱闘になって、接近戦して左腕をザクっとな」

 夜蝶部隊の待機場所兼事務室で隊長決裁の書類を片付けていれば、衛と見回りに出ていた三枝さえぐさが言い放った。

「それで衛は……」
「大したことなさそうだったけど医務室に寄らせてる。終わり次第もどってくるだろ」
「ところで三枝、まさかとは思うが衛を盾にしたのではあるまいな?」
「あ? 新人盾にするほどおれは落ちぶれちゃいねえ。仕方ないだろ、おれの武器は接近戦には向かないんだから」

 不貞腐れたように応接ソファに座る三枝の様子からは反省の色が見て取れる。
 責任感の強い男だ。衛を負傷させたのは本意ではないのだろう。それは解るが、どうにも苛立って仕方ない。

「そこの木偶坊の言うとおりだ。そもそも日凪の銃は遠距離でも殺傷力が損なわれないところに利点があるのに、私や三枝と組むとなると前衛になるしかない」

 苛立つ僕に追い打ちをかけるように五木いつきが会話に参入してきた。

 槍使いの三枝と、護符使いの五木。五木など子どもに押されても倒れそうなくらい貧弱でとても前衛など任せられない。かといって、衛が前衛で良いかといえばそんなはずはない。
 つまり衛が前衛にならなくてよい組み合わせは一つだ。

「だから衛は僕とだけ組めばいい」
「貴様はあほか隊長殿。私と三枝ではそれこそ接近戦になったら対処出来ないだろ。それに貴様にはここでの仕事がある。常に前線には出られない。その間、日凪に茶汲みでもさせるつもりなのか?」
「それは……いい案だな」

 五木の嫌味に思わず頷けば三枝が呆れたようにため息をついた。

「冗談はさておき。日凪が大事なのはわかるが、そのためにも増員は急務だと思うぞ」
「それは判っている」

 もともと夜蝶部隊には前衛ができる者を入れる予定だった。
 退魔用の武器として日本刀を使う者は多い。日本刀が最強の武器だと認識する者が多いからなのだろう。

 だからむしろ三枝や五木のような中遠距離武器を使う者は貴重だ。そして衛の武器に至っては特殊すぎる。
 残念ながらそのことを理解できる上層部の人間は少ない。故に彼らは異端扱いをされてしまう。彼らこそ貴重な才能の持ち主だというのに。

「候補は一応絞ってはある」
「ならばさっさと寄越してくれ。愚鈍な上官など要らないからな、ちゃんと働いてくれ隊長殿」
「善処するよ」

 僕は五木の嫌味を聞き流しつつ、衛を迎えに出ることにした。

 僕にはいくつか伝手があり、衛を夜蝶部隊へ引き入れたのもそのルートの一つを使った。
 本来であれば衛と同期の新人をもう一人入れるつもりでいたのだが、気が進まなかったので止めた。

 それはなぜか?
 答えは簡単だ。衛と親しくなりうる人間を極力そばに置きたくなかったからだ。
 同期となれば上下関係はなく、衛はそいつと仲良くなってしまうだろう。それは到底許可できない。
 衛の一番は常に僕であるべきだ。

 そんなことを考えつつ廊下を少し歩けば人の声が聞こえてきた。
 一人は僕が聞き間違えることはない聞き慣れた声、衛だ。
 もう一人は女のようだが……どうにも馴れ馴れしい。

 思わず柱の陰から様子を伺えば、衛と話す人物の姿が見えた。
 あの二人には見覚えがある。
 月代つきしろ流師範の娘、月代おとめと、同門下生の二階堂あきら。二階堂は元華族の血筋でもある。
 夜蝶部隊に呼ぼうかと思える程度にはどちらも実力のある人物だ。だから素性も知っている。

 だが、あの二人は無しだ。
 なにせ月読館の頃から衛との接触が多い。だから衛と会う機会が少なくなるよう、さり気なく遠方勤務に回したというのになぜ本部基地にいる?

「ごめん!」

 会話は聞き取ることは出来なかったが、突然放たれた衛の謝罪は聞き取ることができた。

「月代おとめ……衛に謝らせるとは何事だ…」

 思わずギリリと歯ぎしりをしてしまう。
 衛は幼少期のトラウマからか自己肯定感がとてつもなく低い時がある。
 だが、むやみやたらとへりくだることはない。
 その姿は儚くも凛と咲く百合のように気高く美しいのだ。
 そんな花のような衛が踏み荒らされないよう守るのが僕の務めである。

 慌てたように二人の元から衛は足早に歩き出し僕の方へ向かってきた。
 僕に気付いた訳ではなく、単に夜蝶部隊の事務室へ向かってのことだろう。

 だが当たり前のように僕の元へ向かってくる。これはもう傷ついた衛が僕に助けを求めに来たのと同意だ。
 もしくは傷心の衛を慰めよという神の啓示に違いない。

 僕たちは運命にも祝福される関係なのだろう。

「衛」
「っ!? 一条寺少尉っ」

 こちらにやってきた衛に声をかければ、ビクリと大袈裟に肩を揺らして驚く。
 その瞳は揺れ、今にも泣き出しそうだった。

 いつもは神経質なくらい周りの様子を気遣い、張り詰めている衛からすれば珍しい反応だ。

 正直、気に食わない。
 あの女、いったい衛に何をした?
 ……これはきちんと確かめておくべきだろう。

「衛、おいで」
「え? あの……」

 僕は手近な資料室に衛を連れ込むと、後ろ手に扉の鍵をかけた。

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