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第三章 新隊員の選抜条件おかしくないですか??
第十話*side衛
しおりを挟む「百園は日本刀を武器に使う前衛担当だ。これで衛の負担も減るだろう」
「お気遣いありがとうございます。あ、そういえば月代たちはどうなったんですか? まさか俺が話したから……」
そうだ。百園曹長が来たということはおとめたちが移動してくることはないだろう。
俺の問いに少尉の笑顔は苦笑になった。
「それは違うよ。もともと新人は衛一人しか取るつもりはなかったから、彼女たちがここに来る予定はなかった」
「でも……」
「彼女が聞いたのはだいぶ前の話なんじゃないかな。月読館の頃なら衛を含めて彼女や二階堂も選抜対象だったからね」
「そうです……か」
いつの間にか俯いてしまった俺の顎に少尉の綺麗な指が添えられ、くいっと上向けられた。
「喜んでくれると思ったんだけど。薫子なら男を相手にしないし、僕たちの邪魔にならない」
「?! そんな私情を挟んだんですか?」
少尉の言葉に俺が思わず聞き返せば、少尉がふわりと微笑んだ。
「僕にとっては大事なことだからね」
あまりにも堂々と言われてしまって俺は金魚のように思わず口をパクパクさせてしまった。
「あ、その、なんか……俺、もしかして月代たちの未来を奪ってしまったんじゃ…」
もしかしてではない。
これは少女漫画の展開を俺が丸っと奪ってしまったことにならないか? モブの俺がそんなことして許されるのだろうか。
俺の言葉に少尉が一瞬目を見開くと、くすくすと肩を震わせて笑う。
「衛は本当に優しいね。大丈夫。才能あるものはどこででものし上がってくるさ。今の君が僕の元で活躍しているみたいに、ね」
たしかにあの二人ならどこの部隊でも活躍できるだろう。人気俳優がどの舞台でも主役になれるのと同じだ。
俺なんかはたまたま一条寺少尉の目に止まり、引き上げてもらっただけだけど。
気付けばスルリと少尉の親指が俺の唇をなぞる。
みんなが近くにいると判っているのに、俺は誘惑に負けて思わず少尉の指を甘咬みした。ただそれだけでご褒美の……いやお仕置きの記憶が蘇りお腹がゾワゾワしてしまう。
こんな浮かれている場合じゃないのに。俺もちゃんと活躍しなくちゃと思うのに。
「みんながいる前で、いけない子だ。またお仕置きしなくちゃね」
「……はぃ、よろしくお願いします」
俺の回答が意外だったのか、一条寺少尉がそれはもう驚いた顔をしたので、思わず笑ってしまった。
だって、少尉はお仕置きのつもりだったかもしれないけど、俺には本当にご褒美だったんだ。
俺の代わりはいないなんて、モブにはありえない賛辞までもらったあの幸福な時間は忘れられない。
これからも、もっともっと頑張ろう。
さすがあの一条寺陽真の想い人だって、みんなから言ってもらえるように。
□ 新隊員の選抜条件おかしくないですか??(完)□
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