せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連

文字の大きさ
5 / 43

5 叫んだ私は悪くない

しおりを挟む
お義母様が涙ぐんで仰いました。

「ルシアちゃん・・・本当にごめんね・・・ごめんね・・・あのバカには私からきつく言っておくから」

「お義父様・・・そしてお義母様。私は本当に大丈夫ですから。お会いしたいのはやまやまですが、父の見舞いや弟の世話などに時間をとることができるので・・・私たちはこれからとても長い時間を夫婦として過ごすのですから・・・ゆっくりで良いと思っています」

「ああ!ルシアちゃん!君はなんという優しい子だ!あいつには勿体ない淑女だよ!なあノバリス」

お義母様が涙ぐみながら何度も頷かれます。

「本当に・・・本当に優しい子。こんなに美人な上に心も美しいわ。素晴らしいパートナーを得たというのに・・・ごめんなさいねルシアちゃん・・・でもあなたの言う通り、あの子も頑張っているのだと思うの。王宮に出仕してまだ五年なのに、文官の中でも三番目に高い地位にまで昇っているのだもの・・・もう少し我慢してくれる?」

「はい!もちろんです。心からルイス様のことを応援しております!」

私は満面の笑みで力強く応えました。
でもたった五年でナンバースリーになれるって、どれだけ王宮ってちょろいのかと思いませんか?それとも何かカラクリがあるのでしょうか?
まあ、結論から言いますととんでもないカラクリがあったのですが、その時の私は知る由もございません。

お義父様とお義母様は、一週間ほど滞在されて領地に戻られました。
どうも王都でお仕事があったようです。
どんなお仕事かは、アレンに聞いて勉強しておきなさいと仰いました。

「いずれあなたたちに引き継ぐのだから、知っておくのは大事なことよ?ふふふ」

お母様は私の頬を指先でぷにぷにと優しくつついて仰いました。
お母様・・・もう少し爪を切った方が良いかもしれません。
それにしても、お掃除以外にできることが増えました!
根っからの貧乏性で、ニア守銭奴と自覚しております私としては喜ばしいことです。

お義父様とお義母様は王城に日参され、ルイス様と面会しようとなさいましたが、会議だとか出張だとか、いろいろな理由をつけられ秘書の方に会うのがやっとだったそうです。
ご両親でさえそうなら、顔も知らない婚約者などが行っても、ユスリタカリの類と思われるのが関の山でしょう。
まあ行く気もございませんが。

そんな感じで私は、午前中はお掃除、ランチの後でエルランド家の歴史と領地経営のお勉強
をして、みんなで楽しい夕食という規則正しい毎日を過ごしておりました。
返事がないことにも慣れましたが、字のお勉強だと思って週に一度はルイス様に近況報告のお手紙をお送りすることは続けております。
この屋敷で半メイド的な暮らしをして、もう三か月が過ぎました。
父の容態は低値安定というところでしょうか。
弟のジュリアは王宮の文官試験に合格したと言っていましたので、細々とではございますが実家も継続できるでしょう。

これもすべてエルランド家のお陰です。
私は一生をかけてこの御恩に報いると決意を新たにいたしました。
それなのに・・・なぜ?というほどの大金が義両親から送られてきました。
もしや手切れ金?と思ってしまいましたが違いました。
私たちの結婚式の衣装代だったのです。
そうです、結婚式です。
あと三か月しかありません。
すっかり忘れておりましたわ、私としたことが。ほほほほほ

早速ルイス様にお手紙を出しました。
今まで出したお手紙のテーマは「儚くも美しい気弱な女性」だったので、今回もその路線を貫きます。

『ルイス様

今朝も小鳥たちの囀りで目覚めました。お屋敷の庭の花たちも徐々に蕾を膨らませ、季節の移ろいを感じます。うんぬんかんぬん

本日お手紙をしたためましたのは、あなた様と私の結婚式についてです。エルランド伯爵ご夫妻より衣装の準備金をお預かりいたしました。ルイス様はどのようなデザインがお好みでしょうか?お色は何になさいますか?うんぬんかんぬん

私はルイス様のお好みに合わせたいと思っておりますので、ご要望だけでもお聞かせ願えないでしょうか。仕立てには約一か月はかかるそうですので。うんぬんかんぬん

結婚指輪はどうされますか?こちらで適当にということでしたら、指のサイズだけでもお知らせください。
季節の変わり目でございます。どうぞご自愛なさって下さいませね。毎日あなた様のご健康とご活躍をお祈りしております。    ルシア』

毎回アレンさんに添削してもらいますが、絶妙な会いたい感を演出するのは難しいです。
それにしてもアレンさんは凄いです。

「これで返事が来ないなら、坊ちゃんは人を辞めたのかもしれません」

毎回そう仰いますが、毎回返事はありません。
私の旦那様は人ではないみたいです。コワイ・・・

しかし!今回は返事が来たのです!
自筆ではなく代筆でしたが。
便箋ではなく王宮の業務連絡用紙でしたが。
プレゼントも花も栞も何もありませんでした。
しかもその内容が、なんとも寒々しいものでした。

『好みは無い。色も任せる。指輪は不要。以上』

「なんじゃこりゃ~~~~~!!!!!」

私ったら絶叫してしまいましたわ。
しおりを挟む
感想 78

あなたにおすすめの小説

このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。

若松だんご
恋愛
 「リリー。アナタ、結婚なさい」  それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。  まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。  お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。  わたしのあこがれの騎士さま。  だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!  「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」  そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。  「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」  なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。  あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!  わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。

完菜
恋愛
 王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。 そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。  ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。  その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。  しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...