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第2話:キノッサの大博打
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しおりを挟む皇国暦1561年12月20日、『ナグァルラワン暗黒星団域』外縁部
カルミー星系第12惑星付近、ジュオンジョ小惑星帯―――
暗黒星団域の青と赤紫の星間ガスが、小惑星も間を縫うように僅かに漂い伸びて来る光景は、どこかしらウモルヴェ星系と似た印象がある。
そこに起こる真っ白な閃光。宇宙艦が爆散する断末魔の光だ。
「軽巡『ファンカウリ』、爆発!」
「味方はあと、何隻残っている?」
オペレーターの報告を聞き、顔の右半分を治癒パッドで応急処置した、ヴァルマス=ウォーダは参謀に尋ねる。彼の指揮する第18宙雷戦隊は第22宙雷戦隊と共に、このジュオンジョ小惑星帯に身を潜め、接近中のイースキー艦隊に足止め攻撃を行っていた。
「我が18宙戦は、軽巡が本艦と合わせて2隻、駆逐艦は5隻。第22宙戦は軽巡が4隻、駆逐艦は7隻です!」
「わかった―――」
そう応じたヴァルマスは、戦術状況ホログラムに眼を遣る。突如発生した強力な磁気嵐を突いて『スノン・マーダー泊地』を出撃した、増援であるノヴァルナ直卒のウォーダ軍第1艦隊は、すでにこのカルミー星系へ到着。だが布陣を終えるには今少し時間が必要のようだ。
「敵はリーンテーツ殿の艦隊だからな」
接近中のイースキー艦隊の司令官は“ミノネリラ三連星”の一人、猛将と呼ばれるリーンテーツ=イナルヴァである。勢いづかせると、まだ展開中のノヴァルナの本陣にまで、一気に押し寄せるだろう。ヴァルマスはしばし瞑目し、不敵な笑みを浮かべた自分の主君を思い浮かべた。
“ノヴァルナ様…”
裏切り者ヴァルキス=ウォーダの弟でありながら、自分を信頼し、宙雷戦隊司令官の座に据え続けてくれたノヴァルナ様。その恩に報いるためにもここは、もうひと働きしておかねばなるまい…
「これより18宙雷戦隊は敵艦隊に突撃する。第22宙雷戦隊に連絡、“我等を援護されたし”。ただしこちらは数が少ない。一直線には進むな! 敵の攻撃を回避しつつ、全魚雷を発射ののち離脱する!」
ヴァルマスの命令で、盾代わりにしていた小惑星の陰から飛び出した、軽巡と駆逐艦がイースキー艦隊へ向かう。だがイナルヴァは猛将であっても、周到さを兼ね備えた将であった。
「敵艦載機急速接近。二個中隊相当!」
このタイミングで艦載機か…と、自らの不覚を悟ったヴァルマスは、ホログラムスクリーンに映る、敵の親衛隊仕様『ライカSS』の姿を見詰めながら、苦笑い交じりに呟いた。
「こりゃあ、死ぬな………」
▶#01につづく
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