偽りの断罪、真実の愛~追放悪役令嬢は隣国の冷徹公爵(実は一途な狼)に娶られ、甘く蕩けるほど愛される~

放浪人

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第10話:永遠の誓いと輝かしい未来

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アーレンスマルク王国の王宮を揺るがしたリリアナ・ブルームの陰謀は、こうして完全に白日の下に晒され、彼女は国家反逆罪という最も重い罪で裁かれることとなった。
その後の彼女の処遇について、私は詳しく知ろうとは思わなかった。
ただ、二度と誰かを不幸に陥れることのできない場所へと送られたとだけ、風の噂に聞いた。

エドワード王子は、自身の愚かさを深く悔い、王太子としての地位を正式に辞退した。
父である国王陛下も、その責任の一端を感じ、彼を王都から遠く離れた辺境の地へと蟄居させたという。
彼がいつか真に反省し、人として再生する日が来るのか、それとも歴史の闇に名もなきまま消えていくのか…。
それはもはや、私には関わりのないことだった。

父、アルブレヒト・フォン・ヴァイスハルト侯爵は、その潔白が完全に証明され、これまでの功績も改めて称えられた。
国王陛下からは謝罪と共に、以前よりも重要な役職への就任を強く打診されたが、父はそれを丁重に固辞した。
しばらくは領地の復興と、そして何よりも、私の行く末を穏やかに見守ることに専念したいと申し出たそうだ。
父らしい、実直で思慮深い決断だと思った。

全ての騒動が収束し、アーレンスマルク王国にようやく落ち着きが戻った頃。
私とアレクシス様は、父や、事件解決に尽力してくれたマーカス様たちに心からの感謝を告げ、シュヴァルツェンベルク領へと帰還した。

領境を越え、シュヴァルツェンベルクの地へと足を踏み入れた瞬間、私たちを待っていたのは、領民たちの熱烈な歓迎だった。
彼らは、敬愛する公爵様とその婚約者である私の無事の帰還を、まるで自分たちのことのように喜び、祝福してくれたのだ。
馬車の窓から見える、彼らの純粋な笑顔と歓声に、私の胸は温かいもので満たされた。

「アレクシス様、皆さんが…」
「ああ。お前も、もうこの領地の一員として、彼らに受け入れられているのだな」

アレクシス様は、私の手をそっと握り、優しい眼差しで微笑んだ。
その温もりが、私の新たな故郷への愛着を、より一層深いものにしてくれる。

シュヴァルツェンベルク公爵邸に戻ると、そこでも侍女頭のハンナさんを始め、使用人たちが総出で私たちを出迎えてくれた。
彼らの顔にもまた、安堵と喜びの色が浮かんでいる。
そして、私の左手の薬指に輝く、アレクシス様から贈られた婚約指輪に気づくと、誰もが祝福の言葉を口にしてくれた。
(そう、あの王宮での告白の後、アレクシス様は改めて、父の前で私に正式なプロポーズをしてくれたのだ。その時の彼の真摯な瞳と、力強い言葉を、私は生涯忘れないだろう)

結婚式の準備は、アレクシス様の指揮のもと、順調に進められていった。
領内でも最も美しいと評判の、湖畔に佇む古い教会で式を挙げることになった。
ウェディングドレスは、シュヴァルツェンベルク領が誇る最高の職人たちが、私のために心を込めて仕立ててくれるという。
その一つ一つが、アレクシス様の私への深い愛情の表れだと感じられ、私の心は期待と幸福感で満たされていた。

そして、ついに運命の日がやってきた。
清々しい朝の光が降り注ぐ中、私は純白のウェディングドレスに身を包んだ。
繊細なレースと、惜しげもなく使われたシルクが織りなすドレスは、まるで妖精の羽衣のように軽やかで、そして息を呑むほどに美しい。
胸元には、アレクシス様から贈られた蒼い石のブローチが、控えめながらも確かな輝きを放っている。

父と腕を組み、教会の重厚な扉が開かれるのを待つ。
扉の向こうには、私の愛する人が待っている。
そのことを思うだけで、胸が高鳴り、頬が自然と緩んだ。

「エレオノーラ。本当に、綺麗だ」
父が、感極まったような声で囁いた。
その目には、うっすらと涙が浮かんでいる。

「お父様…これまで、本当にありがとうございました。お父様の娘で、私は本当に幸せです」
「ああ…。アレクシス殿なら、必ずお前を幸せにしてくれるだろう。安心して、送り出せるよ」

やがて、荘厳なパイプオルガンの音色と共に、ゆっくりと扉が開かれた。
長いヴァージンロードの先には、漆黒の礼服を寸分の隙もなく着こなし、私を待つアレクシス様の姿があった。
いつもの冷徹な雰囲気は鳴りを潜め、その表情はどこまでも優しく、そして愛おしさに満ちている。
彼の蒼い瞳が、ただ真っ直ぐに私だけを見つめている。

一歩、また一歩と、父に導かれて彼のもとへと進む。
参列してくれた、父、マーカス様、マーサさん、カタリナ、ヨハン、そしてシュヴァルツェンベルク領の多くの人々からの温かい祝福の眼差しを感じながら。

アレクシス様の前に立ち、父の手から彼の手へと、私の手がそっと委ねられる。
アレクシス様の大きな手が、私の手を力強く、そして優しく握りしめた。
その瞬間、言葉にできないほどの安心感と幸福感が、私を包み込んだ。

神父様の厳かな声が、教会に響き渡る。

「アレクシス・フォン・シュヴァルツェンベルク。汝、エレオノーラ・フォン・ヴァイスハルトを妻とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

アレクシス様は、私の瞳をじっと見つめ返し、迷いのない、力強い声で答えた。

「誓います」

その声には、私への永遠の愛と、未来への確かな決意が満ち溢れていた。
私の胸が、熱く、高鳴る。

そして、神父様は私に問いかける。

「エレオノーラ・フォン・ヴァイスハルト。汝、アレクシス・フォン・シュヴァルツェンベルクを夫とし、健やかなる時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

私は、溢れそうになる涙をぐっと堪え、愛する人の瞳を見つめ返し、はっきりと、そして心を込めて告げた。

「はい、誓います」

指輪の交換。
アレクシス様の指に、そして私の指に、永遠の愛の証である指輪が嵌められる。
そして、誓いの口づけ。
アレクシス様の唇が、私の唇に優しく、そして情熱的に触れる。
その瞬間、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が湧き上がり、私たち二人を祝福のシャワーが包み込んだ。
私は、彼の腕の中で、この上ない幸福を噛み締めていた。
もう、何も恐れるものはない。この人の愛がある限り。

結婚式の後の祝宴は、領民たちも招かれ、和やかで心温まるものだった。
たくさんの笑顔と祝福の言葉に包まれ、私は人生で最も幸せな一日を過ごした。

◇◇◇

アレクシス様との結婚生活は、愛と喜びに満ち溢れた、夢のような日々だった。
彼は、公爵としての激務に追われる中でも、必ず私との時間を作ってくれた。
一緒に庭園を散策したり、書斎で共に書物を読んだり、時には二人で領地を視察し、領民たちの声に直接耳を傾けることもあった。

私は、シュヴァルツェンベルク公爵妃として、そして時にはアレクシス様の有能な補佐役として、彼を支えることに大きな喜びを感じていた。
かつて薬師のマーサさんの元で学んだ知識や、父から受け継いだ見識は、領内の医療制度の改善や、民生の安定に役立ち、領民たちからは「慈愛深き公爵妃様」として慕われるようになった。
かつて「悪役令嬢」と蔑まれた私が、今は多くの人々に愛され、必要とされている。
その事実が、私の心を温かく満たしてくれた。

そして何よりも、アレクシス様の私への愛情は、結婚前よりもさらに深く、そして熱烈なものになっていた。
私が少しでも体調を崩せば、彼は心配のあまり公務を放り出して駆けつけ、甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくれる。
私が何気なく「あの星が綺麗だわ」と呟けば、次の日にはその星の名を冠した新しい品種の薔薇が、庭園一面に植えられていたこともあった。
彼の溺愛ぶりは、時々侍女たちに微笑ましく見守られるほどだったけれど、私にとってはそれが何よりも嬉しく、そして愛おしかった。

「エレオノーラ、お前は私の太陽だ。お前がいるだけで、私の世界は輝きを増す」
ある穏やかな午後、庭園のベンチで寄り添いながら、アレクシス様が私の髪を優しく梳きながら囁いた。

「まあ、アレクシス様ったら、いつからそんなに詩人になられたのですか?」
私はそう言ってくすくすと笑ったけれど、心の中では、彼こそが私の闇を照らし、導いてくれた光だと、強く感じていた。

「私は、お前のためなら何でもできる。お前が望むなら、天の川だって渡ってみせよう」
「ふふ、天の川は結構ですわ。ただ、ずっと、ずっと私のそばにいてくださいませ。それだけで、私は世界で一番の幸せ者ですもの」
「ああ、約束する。永遠に、お前のそばに。そして、お前だけを愛し続けると」

私たちは、そっと手を繋いだ。
その温もりは、私たちの間に結ばれた、決して解けることのない愛の確かさを物語っているようだった。

偽りの断罪から始まった私の物語。
それは、不遇と絶望に彩られた、暗く長いトンネルのようだったかもしれない。
けれど、そのトンネルを抜けた先には、こんなにも温かく、輝かしい光に満ちた世界が待っていたのだ。

私は、エレオノーラ・フォン・シュヴァルツェンベルク。
かつて悪役令嬢と呼ばれた私は、今、世界で一番愛されている、幸せな公爵妃。

そして、この愛に満ちた物語は、まだ始まったばかり。
これからも、愛するアレクシス様と共に、たくさんの愛と喜びに満ちた、輝かしい日々を紡いでいくのだろう。
そう思うと、私の胸は優しい期待に高鳴り、自然と笑みがこぼれるのだった。

窓の外には、どこまでも青く澄み渡った空が、私たちの未来を祝福するかのように、どこまでもどこまでも、美しく広がっていた。
そして、私のお腹の中には、アレクシス様との愛の結晶である、新しい小さな命が、確かに宿り始めているのを感じていた。
この子が生まれてくる世界が、愛と平和に満ちたものでありますようにと、私は心から願った。
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