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第七話:古書の解読と微かな光明
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セドリック様から借り受けた「古代治癒術集成」は、想像以上に難解な書物だった。
古い文字で書かれている上に、専門的な記述が多く、解読にはかなりの時間を要した。
「うーん……この部分は、どういう意味かしら……」
わたくしは連日、ランタンの灯りの下で古書と格闘していた。
アレクシス様は、そんなわたくしの様子を静かに見守ってくれている。時折、彼が淹れてくれる温かいハーブティーが、凝り固まった頭と心を解きほぐしてくれた。
「あまり、無理はするなよ」
心配そうに声をかけてくれるアレクシス様に、わたくしは笑顔で答える。
「大丈夫ですわ。少しでも、アレクシス様のお力になれるのなら」
その言葉は本心だった。
彼を苦しみから解放したい。その一心で、わたくしは古書の解読に没頭した。
そして、数日が過ぎたある夜。
ついに、わたくしはひとつの記述に辿り着いた。
「月の雫草(つきのしずくそう)……古の呪詛を浄化する力を秘めし稀有なる薬草……」
その一文を見つけた瞬間、心臓が大きく高鳴った。
月の雫草。聞いたことのない薬草だ。けれど、その説明は明らかにアレクシス様の古傷の呪いに合致する。
「これだわ……! アレクシス様!」
思わず大きな声を上げてしまう。
隣の部屋で休んでいたアレクシス様が、驚いたように顔を出した。
「どうした、リリア。何か見つかったのか?」
「はい! この本に、呪いを浄化する力を持つという薬草の記述が……!」
わたくしは興奮しながら、古書の該当箇所をアレクシス様に見せる。
彼は食い入るようにその文字を追い、やがて、深く息を吐いた。
「月の雫草……確かに、聞いたことのない名だ。だが、もし本当にそんなものが存在するのなら……」
彼の瞳に、微かな希望の光が宿るのが見えた。
それだけで、わたくしのこれまでの苦労は報われたような気がした。
「この薬草は、どこに生えているのかしら……」
わたくしはさらに記述を読み進める。
しかし、そこに記されていたのは、 निराशाを誘うような言葉だった。
「……『月の雫草は、人里離れた聖なる月の泉のほとりにのみ、満月の夜にだけ姿を現す幻の薬草なり』……ですって」
幻の薬草。しかも、特定の場所、特定の時間にしか手に入らない。
その事実に、わたくしたちはしばし言葉を失った。
「聖なる月の泉……そんな場所、聞いたことがないわ」
「俺もだ。だが、諦めるのはまだ早い」
アレクシス様は、力強い声で言った。
彼の瞳には、先ほどよりも強い決意の色が浮かんでいる。
「王立図書館になら、古い地図や地方の伝承に関する記録があるかもしれん。調べてみる価値はあるだろう」
「王立図書館……!」
そこは、王族や一部の貴族しか立ち入ることのできない場所。
わたくしのような者が、簡単に入れるはずもない。
「でも、わたくしは……」
「心配するな。俺が許可を取ろう。お前には、薬師としての知識が必要だ」
アレクシス様の言葉に、わたくしはハッとした。
そうだ、わたくしは薬師なのだ。月の雫草を見つけ出すためには、わたくしの知識が不可欠のはず。
「ありがとうございます、アレクシス様……!」
諦めかけていた心に、再び灯がともる。
アレクシス様と二人でなら、きっと道は開ける。
そう信じることができた。
「まずは、その月の泉とやらがどこにあるのかを突き止めねばな」
「はい!」
わたくしたちは顔を見合わせ、力強く頷き合った。
暗闇の中に差し込んだ、一筋の細い光。それを手繰り寄せるために、わたくしたちの新たな挑戦が始まろうとしていた。
その夜、わたくしは久しぶりに穏やかな気持ちで眠りにつくことができた。
アレクシス様の隣で、同じ目標に向かって進めることが、こんなにも心強いなんて。
古い文字で書かれている上に、専門的な記述が多く、解読にはかなりの時間を要した。
「うーん……この部分は、どういう意味かしら……」
わたくしは連日、ランタンの灯りの下で古書と格闘していた。
アレクシス様は、そんなわたくしの様子を静かに見守ってくれている。時折、彼が淹れてくれる温かいハーブティーが、凝り固まった頭と心を解きほぐしてくれた。
「あまり、無理はするなよ」
心配そうに声をかけてくれるアレクシス様に、わたくしは笑顔で答える。
「大丈夫ですわ。少しでも、アレクシス様のお力になれるのなら」
その言葉は本心だった。
彼を苦しみから解放したい。その一心で、わたくしは古書の解読に没頭した。
そして、数日が過ぎたある夜。
ついに、わたくしはひとつの記述に辿り着いた。
「月の雫草(つきのしずくそう)……古の呪詛を浄化する力を秘めし稀有なる薬草……」
その一文を見つけた瞬間、心臓が大きく高鳴った。
月の雫草。聞いたことのない薬草だ。けれど、その説明は明らかにアレクシス様の古傷の呪いに合致する。
「これだわ……! アレクシス様!」
思わず大きな声を上げてしまう。
隣の部屋で休んでいたアレクシス様が、驚いたように顔を出した。
「どうした、リリア。何か見つかったのか?」
「はい! この本に、呪いを浄化する力を持つという薬草の記述が……!」
わたくしは興奮しながら、古書の該当箇所をアレクシス様に見せる。
彼は食い入るようにその文字を追い、やがて、深く息を吐いた。
「月の雫草……確かに、聞いたことのない名だ。だが、もし本当にそんなものが存在するのなら……」
彼の瞳に、微かな希望の光が宿るのが見えた。
それだけで、わたくしのこれまでの苦労は報われたような気がした。
「この薬草は、どこに生えているのかしら……」
わたくしはさらに記述を読み進める。
しかし、そこに記されていたのは、 निराशाを誘うような言葉だった。
「……『月の雫草は、人里離れた聖なる月の泉のほとりにのみ、満月の夜にだけ姿を現す幻の薬草なり』……ですって」
幻の薬草。しかも、特定の場所、特定の時間にしか手に入らない。
その事実に、わたくしたちはしばし言葉を失った。
「聖なる月の泉……そんな場所、聞いたことがないわ」
「俺もだ。だが、諦めるのはまだ早い」
アレクシス様は、力強い声で言った。
彼の瞳には、先ほどよりも強い決意の色が浮かんでいる。
「王立図書館になら、古い地図や地方の伝承に関する記録があるかもしれん。調べてみる価値はあるだろう」
「王立図書館……!」
そこは、王族や一部の貴族しか立ち入ることのできない場所。
わたくしのような者が、簡単に入れるはずもない。
「でも、わたくしは……」
「心配するな。俺が許可を取ろう。お前には、薬師としての知識が必要だ」
アレクシス様の言葉に、わたくしはハッとした。
そうだ、わたくしは薬師なのだ。月の雫草を見つけ出すためには、わたくしの知識が不可欠のはず。
「ありがとうございます、アレクシス様……!」
諦めかけていた心に、再び灯がともる。
アレクシス様と二人でなら、きっと道は開ける。
そう信じることができた。
「まずは、その月の泉とやらがどこにあるのかを突き止めねばな」
「はい!」
わたくしたちは顔を見合わせ、力強く頷き合った。
暗闇の中に差し込んだ、一筋の細い光。それを手繰り寄せるために、わたくしたちの新たな挑戦が始まろうとしていた。
その夜、わたくしは久しぶりに穏やかな気持ちで眠りにつくことができた。
アレクシス様の隣で、同じ目標に向かって進めることが、こんなにも心強いなんて。
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