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第二十二話:法廷の激震と暴かれる真実
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数日後、アレクシス様の査問会が開かれる日がやってきた。
場所は、王宮内の大広間。そこには、国王陛下をはじめ、多くの貴族や騎士団の幹部たちが顔を揃えていた。
オルコット侯爵は、まるで勝利を確信したかのように、不遜な態度で玉座の近くに座っている。
その隣には、不安げな表情を浮かべるイザベラ様の姿もあった。
アレクシス様は、囚人服のような簡素な服を着せられ、兵士に囲まれて法廷の中央に立たされていた。
しかし、その瞳には一切の怯えはなく、むしろ挑戦的な光さえ宿っている。
「アレクシス・フォン・ヴァルツ。国境紛争における任務放棄、及び王命への背反の罪、認めるか」
厳粛な雰囲気の中、査問官長が罪状を読み上げた。
アレクシス様は、静かに首を横に振った。
「俺は、断じてそのような罪を犯してはいない」
「ほう、しらを切るつもりか。お前が任務を離れ、素性の知れぬ女と私的な時間を過ごしていたことは、多くの者が証言しているぞ」
オルコット侯爵が、嘲るような口調で言った。
アレクシス様は、冷ややかに彼を一瞥する。
「俺が任務を離れたのは、古傷の治療のためだ。そして、その治療にあたってくれたのは、リリア・アシュベリー嬢。彼女は、俺の命を救ってくれた恩人であり、心から信頼している女性だ。その彼女を『素性の知れぬ女』と侮辱することは、断じて許さん!」
アレクシス様の力強い声が、静まり返った法廷に響き渡った。
その場にいた誰もが、彼の気迫に息を呑む。わたくしは、傍聴席の隅で、彼の言葉を固唾を飲んで見守っていた。
オルコット侯爵は、一瞬顔色を変えたが、すぐに嘲るような笑みを浮かべた。
「ほう、命の恩人、か。騎士たる者が、女の色香に迷い、任務を放棄した言い訳としては上出来だな! その女が、お前にどんな魔法を使ったのかは知らぬが、お前の失態は明らかだ!」
侯爵の言葉は、さらにアレクシス様を貶めようとする悪意に満ちていた。
法廷内も、ざわめきが大きくなる。アレクシス様に不利な空気が、ますます濃くなっていく。
(そんな……! アレクシス様は、決してそのような方ではないのに……!)
わたくしは唇を噛み締め、無力感に打ち震えた。
このままでは、アレクシス様は……!
その時だった。
「――静粛に!!」
凛とした声が響き渡り、法廷の扉が大きく開かれた。
そこに立っていたのは、国王陛下の側近であり、王国でも屈指の実力者と名高い、グレンフォード公爵その人だった。
彼の後ろには、セドリック・アシュフォード様の姿もある。
「グレンフォード公爵……! なぜ、あなたがここに……?」
オルコット侯爵が、驚愕の表情で声を上げた。
グレンフォード公爵は、オルコット侯爵を冷徹な目で見据えると、国王陛下の前へと進み出て、深々と一礼した。
「陛下、この度の査問会、少々お待ちいただきたく存じます。アレクシス・ヴァルツ副団長の嫌疑に関して、新たなる証拠が提出されましたゆえ」
「新たなる証拠、だと……?」
国王陛下が、訝しげに眉をひそめる。
法廷内は、再び大きなざわめきに包まれた。
グレンフォード公爵は、手にしていた羊皮紙の束を高々と掲げた。
それは、わたくしがセドリック様に託した、オルコット侯爵の不正の証拠だった。
「ここにございますのは、オルコット侯爵が長年にわたり行ってきた、軍事物資の横流し、及び敵国との密通に関する動かぬ証拠。ヴァルツ副団長は、この不正を独自に調査しており、そのために命を狙われ、今回の紛争の責任を不当に負わされようとしていたのでございます!」
グレンフォード公爵の言葉は、法廷に激震を走らせた。
オルコット侯爵の顔からは血の気が引き、その体はわなわなと震えている。
「ば、馬鹿な……! でっち上げだ! そのようなもの、証拠になどなるものか!」
オルコット侯爵は必死に叫ぶが、その声は上ずり、狼狽を隠せない。
イザベラ様も、信じられないといった表情で父親とグレンフォード公爵を交互に見ている。
グレンフォード公爵は、冷静に証拠書類の内容を読み上げ始めた。
そこには、オルコット侯爵の署名が入った取引記録、密使との間で交わされた手紙の写しなど、言い逃れのできない証拠が次々と示されていく。
法廷内は、水を打ったように静まり返った。
誰もが、暴かれた真実に言葉を失っている。
全ての証拠が読み上げられた後、グレンフォード公爵は厳粛な声で言った。
「陛下。オルコット侯爵の罪は明白。国を裏切り、私腹を肥やし、さらには忠義の騎士を陥れようとした大罪人。厳正なる裁きを求めます」
国王陛下は、しばらくの間、目を閉じて何かを考えていたが、やがてゆっくりと目を開き、威厳に満ちた声で命じた。
「……オルコット侯爵、及びその一派の者を捕らえよ。徹底的に調査し、罪状を明らかにするのだ。そして、アレクシス・フォン・ヴァルツ。そなたの嫌疑は晴れた。騎士としての忠誠、見事であった」
その言葉と共に、法廷内は大きな歓声と拍手に包まれた。
オルコット侯爵は、兵士たちに取り押さえられ、なすすべもなく連行されていく。その顔には、絶望の色が浮かんでいた。
アレクシス様は、静かに国王陛下に一礼すると、傍聴席の隅にいるわたくしに向かって、穏やかな笑みを浮かべた。
その笑顔を見て、わたくしの目からは、安堵の涙がとめどなく溢れ出した。
――正義は、成されたのだ。
長かった戦いが、ようやく終わった瞬間だった。
場所は、王宮内の大広間。そこには、国王陛下をはじめ、多くの貴族や騎士団の幹部たちが顔を揃えていた。
オルコット侯爵は、まるで勝利を確信したかのように、不遜な態度で玉座の近くに座っている。
その隣には、不安げな表情を浮かべるイザベラ様の姿もあった。
アレクシス様は、囚人服のような簡素な服を着せられ、兵士に囲まれて法廷の中央に立たされていた。
しかし、その瞳には一切の怯えはなく、むしろ挑戦的な光さえ宿っている。
「アレクシス・フォン・ヴァルツ。国境紛争における任務放棄、及び王命への背反の罪、認めるか」
厳粛な雰囲気の中、査問官長が罪状を読み上げた。
アレクシス様は、静かに首を横に振った。
「俺は、断じてそのような罪を犯してはいない」
「ほう、しらを切るつもりか。お前が任務を離れ、素性の知れぬ女と私的な時間を過ごしていたことは、多くの者が証言しているぞ」
オルコット侯爵が、嘲るような口調で言った。
アレクシス様は、冷ややかに彼を一瞥する。
「俺が任務を離れたのは、古傷の治療のためだ。そして、その治療にあたってくれたのは、リリア・アシュベリー嬢。彼女は、俺の命を救ってくれた恩人であり、心から信頼している女性だ。その彼女を『素性の知れぬ女』と侮辱することは、断じて許さん!」
アレクシス様の力強い声が、静まり返った法廷に響き渡った。
その場にいた誰もが、彼の気迫に息を呑む。わたくしは、傍聴席の隅で、彼の言葉を固唾を飲んで見守っていた。
オルコット侯爵は、一瞬顔色を変えたが、すぐに嘲るような笑みを浮かべた。
「ほう、命の恩人、か。騎士たる者が、女の色香に迷い、任務を放棄した言い訳としては上出来だな! その女が、お前にどんな魔法を使ったのかは知らぬが、お前の失態は明らかだ!」
侯爵の言葉は、さらにアレクシス様を貶めようとする悪意に満ちていた。
法廷内も、ざわめきが大きくなる。アレクシス様に不利な空気が、ますます濃くなっていく。
(そんな……! アレクシス様は、決してそのような方ではないのに……!)
わたくしは唇を噛み締め、無力感に打ち震えた。
このままでは、アレクシス様は……!
その時だった。
「――静粛に!!」
凛とした声が響き渡り、法廷の扉が大きく開かれた。
そこに立っていたのは、国王陛下の側近であり、王国でも屈指の実力者と名高い、グレンフォード公爵その人だった。
彼の後ろには、セドリック・アシュフォード様の姿もある。
「グレンフォード公爵……! なぜ、あなたがここに……?」
オルコット侯爵が、驚愕の表情で声を上げた。
グレンフォード公爵は、オルコット侯爵を冷徹な目で見据えると、国王陛下の前へと進み出て、深々と一礼した。
「陛下、この度の査問会、少々お待ちいただきたく存じます。アレクシス・ヴァルツ副団長の嫌疑に関して、新たなる証拠が提出されましたゆえ」
「新たなる証拠、だと……?」
国王陛下が、訝しげに眉をひそめる。
法廷内は、再び大きなざわめきに包まれた。
グレンフォード公爵は、手にしていた羊皮紙の束を高々と掲げた。
それは、わたくしがセドリック様に託した、オルコット侯爵の不正の証拠だった。
「ここにございますのは、オルコット侯爵が長年にわたり行ってきた、軍事物資の横流し、及び敵国との密通に関する動かぬ証拠。ヴァルツ副団長は、この不正を独自に調査しており、そのために命を狙われ、今回の紛争の責任を不当に負わされようとしていたのでございます!」
グレンフォード公爵の言葉は、法廷に激震を走らせた。
オルコット侯爵の顔からは血の気が引き、その体はわなわなと震えている。
「ば、馬鹿な……! でっち上げだ! そのようなもの、証拠になどなるものか!」
オルコット侯爵は必死に叫ぶが、その声は上ずり、狼狽を隠せない。
イザベラ様も、信じられないといった表情で父親とグレンフォード公爵を交互に見ている。
グレンフォード公爵は、冷静に証拠書類の内容を読み上げ始めた。
そこには、オルコット侯爵の署名が入った取引記録、密使との間で交わされた手紙の写しなど、言い逃れのできない証拠が次々と示されていく。
法廷内は、水を打ったように静まり返った。
誰もが、暴かれた真実に言葉を失っている。
全ての証拠が読み上げられた後、グレンフォード公爵は厳粛な声で言った。
「陛下。オルコット侯爵の罪は明白。国を裏切り、私腹を肥やし、さらには忠義の騎士を陥れようとした大罪人。厳正なる裁きを求めます」
国王陛下は、しばらくの間、目を閉じて何かを考えていたが、やがてゆっくりと目を開き、威厳に満ちた声で命じた。
「……オルコット侯爵、及びその一派の者を捕らえよ。徹底的に調査し、罪状を明らかにするのだ。そして、アレクシス・フォン・ヴァルツ。そなたの嫌疑は晴れた。騎士としての忠誠、見事であった」
その言葉と共に、法廷内は大きな歓声と拍手に包まれた。
オルコット侯爵は、兵士たちに取り押さえられ、なすすべもなく連行されていく。その顔には、絶望の色が浮かんでいた。
アレクシス様は、静かに国王陛下に一礼すると、傍聴席の隅にいるわたくしに向かって、穏やかな笑みを浮かべた。
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