氷の騎士と陽だまりの薬師令嬢 ~呪われた最強騎士様を、没落貴族の私がこっそり全力で癒します!~

放浪人

文字の大きさ
23 / 25

第二十三話:解放と再会、そして新たな誓い

しおりを挟む
オルコット侯爵の陰謀が白日の下に晒され、アレクシス様の無実が証明された法廷は、興奮と安堵の空気に包まれていた。
国王陛下の裁定により、アレクシス様は即刻解放され、騎士としての名誉も回復された。

「副団長! ご無事で何よりです!」

法廷を後にしたアレクシス様を、カイン殿をはじめとする忠義な騎士たちが、感涙にむせびながら出迎えた。彼らの顔には、心からの喜びが浮かんでいる。

「皆、心配をかけたな。だが、もう大丈夫だ」

アレクシス様は、部下たちの肩を力強く叩き、その労をねぎらった。
そして、彼の視線が、少し離れた場所で涙を拭うわたくしを捉える。

「リリア」

優しい声で呼ばれ、わたくしは彼のもとへと駆け寄った。
言葉にならない想いが込み上げ、ただ彼の胸に顔をうずめることしかできない。

「ありがとう、リリア。お前がいなければ、俺は……」
「いいえ、アレクシス様。わたくしは、何も……ただ、信じておりましたわ」

アレクシス様は、わたくしの体をそっと離すと、その頬に優しく触れた。

「お前のその信頼が、俺に力をくれたんだ」

見つめ合う瞳には、深い愛情と感謝の想いが溢れている。
わたくしたちは、周囲の喧騒も忘れて、しばし互いの存在を確かめ合うように見つめ合った。

オルコット侯爵家は、その日のうちに全ての爵位と財産を剥奪され、一族は王都から追放されることになったと聞く。イザベラ様もまた、父親の罪に連座する形で、厳しい監視下に置かれることになったらしい。彼女の傲慢な態度の裏にあったであろう孤独を思うと、少しだけ胸が痛んだ。

数日後、アレクシス様は正式に国王陛下に呼ばれ、わたくしとの結婚の許しを請うた。
オルコット侯爵という最大の障害が取り除かれた今、陛下は快く二人の結婚を祝福してくださったという。

「リリア。陛下が、我々の結婚を認めてくださったぞ」

その報告を受けた時のわたくしの喜びは、言葉では言い尽くせないものだった。
アレクシス様は、わたくしの手を取り、その甲に再び誓いの口づけを落とす。

「これからは、どんな困難も二人で乗り越えていこう。俺の生涯をかけて、お前を幸せにすると誓う」
「アレクシス様……わたくしも、あなた様と共に歩めるなら、何も恐ろしくありませんわ」

わたくしたちは、王都の小さな教会で、ささやかながらも心温まる婚約式を執り行った。
式には、カイン殿や騎士団の仲間たち、そして、わたくしたちの窮地を救ってくれたセドリック様も駆けつけてくれた。

「アレクシス殿、リリア嬢、本当におめでとう。君たちの幸せを、心から願っているよ」

セドリック様の祝福の言葉に、わたくしは深々と頭を下げた。
彼の協力がなければ、今のわたくしたちはなかったかもしれないのだから。

白いドレスに身を包んだわたくしと、騎士の正装に身を包んだアレクシス様。
祭壇の前で、わたくしたちは永遠の愛を誓い合った。

氷の騎士とまで呼ばれた彼が見せる、陽だまりのような笑顔。
その笑顔を、これからはずっと隣で見守っていける。
それだけで、わたくしの心は幸福感で満たされるのだった。

この日、わたくしたちは新たな人生の第一歩を踏み出した。
それは、光り輝く未来への、希望に満ちた始まりだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

冷徹公爵閣下は、書庫の片隅で私に求婚なさった ~理由不明の政略結婚のはずが、なぜか溺愛されています~

白桃
恋愛
「お前を私の妻にする」――王宮書庫で働く地味な子爵令嬢エレノアは、ある日突然、<氷龍公爵>と恐れられる冷徹なヴァレリウス公爵から理由も告げられず求婚された。政略結婚だと割り切り、孤独と不安を抱えて嫁いだ先は、まるで氷の城のような公爵邸。しかし、彼女が唯一安らぎを見出したのは、埃まみれの広大な書庫だった。ひたすら書物と向き合う彼女の姿が、感情がないはずの公爵の心を少しずつ溶かし始め…? 全7話です。

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました

有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。 魔力が弱い私には、価値がないという現実。 泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。 そこで目覚めた彼は、私を見て言った。 「やっと見つけた。私の番よ」 彼の前でだけ、私の魔力は輝く。 奪われた尊厳、歪められた運命。 すべてを取り戻した先にあるのは……

【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される

えとう蜜夏
恋愛
 リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。  お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。  少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。  22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

処理中です...