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第八話 元婚約者、遅い。あなたは“愛さない誓約”に署名済みです
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「……ほう。随分と情熱的なラブレターだな」
翌朝、宰相府の執務室。 アシュ様は、私が渡したレオンハルト殿下からの手紙を読み終えると、氷点下の声で感想を述べた。 その手にある紙が、心なしかパリパリと凍りついているように見えるのは気のせいだろうか。
「『身体が痛い』『解呪してくれ』『元に戻りたい』……。これらはすべて、法的定義における『未練』および『復縁要請』に該当する。そして何より、私の妻(契約上)に対する不適切な接触だ」
アシュ様は無表情のまま、手紙を青白い炎の魔法で燃やし尽くした。 灰がサラサラと床に落ちる。
「リディア。君はこの男に返信をする必要はない。これは精神汚染攻撃の一種だ。私が処理する」
「頼もしいですわ、閣下。……でも、殿下は諦めの悪い方です。きっと直接接触を図ってくるでしょうね」
「想定内だ。だから今日は、君の護衛レベルを引き上げる」
アシュ様は立ち上がり、私の隣に来ると、自然な動作で私の腰に手を回した。
「!?」
「外出時は常に私の半径一メートル以内を維持しろ。これは命令だ」
嘘がつけない契約のせいで、彼の行動には『下心』がないことがわかってしまう。 これは純粋な『護衛任務の効率化』なのだ。 わかってはいるけれど、この密着度は心臓に悪い。宰相閣下、いい匂いがしますし。
◇
その日の午後。 私たちは夜会に向けた衣装合わせのため、王都の目抜き通りにある高級ブティックを訪れていた。 もちろん、アシュ様がべったりと護衛についたままで。
店を出て、馬車に乗り込もうとしたその時だった。
「リディア! 待て!」
路地裏から飛び出してきたのは、見る影もなくやつれたレオンハルト殿下だった。 いつも完璧に整えられていた金髪はボサボサで、目の下には濃い隈ができている。 後ろには、彼を止めようとする側近たちの姿もあった。
「殿下……。このような場所で待ち伏せとは、王族にあるまじき行為ですわ」
私が冷ややかに告げると、殿下は縋るような目で私を見た。
「うるさい! なりふり構っていられるか! リディア、お前、私に何をした!? あれからミレイユを抱こうとすると吐き気がして、優しくしようとすると舌が痺れるんだ! これはお前の呪いだろう!」
街中の人々が足を止め、何事かとこちらを見ている。 元婚約者の醜態を晒すには、絶好のロケーションだ。
私はため息をつき、扇子を開いた。
「呪い? いいえ、違います。それは『誓約の反動』です」
「な、なんだと?」
「殿下、ご自身でおっしゃったではありませんか。あの舞踏会で、大勢の貴族の前で。『私は、君を愛することはない』と」
私はあの日と同じように、優雅に微笑んでみせた。
「この国において、公的な場での宣言は強力な誓約魔法となります。あなたは『リディアを愛さない』という誓いを世界に立ててしまった。そして同時に、『ミレイユこそが真実の愛』だとも宣言なさいましたね?」
「あ、ああ。それがどうした!」
「簡単な論理ですわ。もし今、あなたが私に対して『惜しい』とか『戻りたい』という感情……つまり愛に近い執着を抱いているなら、それは『愛さない誓約』への違反となります。だから苦痛が走るのです」
殿下の顔が引きつる。
「そして、ミレイユ様に対しても同様です。もしあなたが、彼女を『真実の愛』ではなく、単なる『政治利用の道具』や『一時的な気まぐれ』として扱っているなら……それもまた、あなたの宣言した『真実の愛』という言葉に対する嘘になります」
嘘をつけば、誓約魔法が牙を剥く。 殿下の今の苦しみは、彼自身の心が『嘘』と『矛盾』で満たされている証拠なのだ。
「そ、そんな……。じゃあ私は、一生ミレイユを愛さなければならないのか!? あんな、すぐに泣くだけの女を!? それに、お前へのこの気持ちは……!」
殿下は錯乱したように叫び、私の方へ手を伸ばしてきた。
「リディア! やり直そう! 私が間違っていた! やはりお前が必要なんだ! 愛しているのはお前だ!」
その瞬間だった。
バチィッ!
殿下の口から、赤黒い火花が散った。 彼は「ぐああっ!」と悲鳴を上げ、喉を押さえてその場にうずくまった。
「……あーあ。言わなければよかったのに」
私は憐れみの視線を向けた。 『君を愛することはない』という絶対の誓約がある以上、彼が私に愛を囁くことは物理的に不可能なのだ。 その言葉は『嘘(契約違反)』として処理され、彼自身を焼く。
「おわかりいただけましたか? 私たちはもう、二度と結ばれることはありません。あなたの言葉が、あなた自身を拒絶しているのですから」
うずくまる殿下の周りに、側近たちが慌てて駆け寄る。 「で、殿下! 大丈夫ですか!」 「くそっ、リディア! 貴様、殿下に何をした!」
側近の一人が私に剣を向けようとした。 しかし、その剣が抜かれることはなかった。
「……私の妻に、その薄汚い鉄屑を向けるな」
絶対零度の声と共に、強烈な魔圧が場を支配した。 アシュ様だ。 彼が片手を軽く振ると、側近たちの剣が鞘の中で凍りつき、抜けなくなった。
「な、なんだ!? 剣が……!」 「ひいっ、ヴァレンシュタイン宰相!?」
アシュ様は私を背に庇い、冷徹な瞳で殿下たちを見下ろした。
「レオンハルト殿下。貴殿の発言は、我が妻リディアに対する重大な侮辱であり、セクシャルハラスメントだ。これ以上つきまとうなら、接近禁止命令(リストレーニング・オーダー)を法的かつ魔術的に発動する」
「つ、妻……? まさか、本当に……?」
殿下は喉の痛みに耐えながら、信じられないものを見る目で私たちを見た。
「そうだ。我々は契約結婚をした。リディアは私の管理下にある。貴殿のような、自分の言葉に責任も持てない愚か者が触れていい相手ではない」
アシュ様は私の肩を抱き寄せ、わざとらしく――いいえ、『嘘がつけない』から本心で――こう言った。
「彼女は、私が認めた唯一無二のパートナーだ。その価値を理解できず、自らの言葉で手放した貴殿に、今さら彼女を求める資格など一ミリもない」
ぐうの音も出ない正論。 そして、アシュ様からの(法的な)愛の告白(?)。 私は胸が高鳴るのを感じながら、殿下に最後の一撃を見舞った。
「そういうことですわ、殿下。アシュ様との契約は、あなたの口約束とは違って強固ですの。……さようなら。どうぞ、ご自身の吐いた嘘に溺れてくださいませ」
私たちは呆然とする殿下たちを残し、馬車へと乗り込んだ。 馬車が動き出すと、アシュ様がふと、私の顔を覗き込んだ。
「……顔色が悪い。あの男の瘴気に当てられたか?」
「いえ、少しスカッとしすぎて、興奮しただけです」
「そうか。……ならいい」
彼は安心したように息をつき、それからボソッと言った。
「君が『戻りたい』と言わなくてよかった」
え? 私は驚いて彼を見た。 アシュ様は窓の外を向いていて表情が見えない。 でも、耳が少しだけ赤い。
『嘘がつけない契約』。 今の言葉も、本音。 もしかしてこの氷の宰相様、ちょっとだけ嫉妬してくれた……?
いいえ、きっと『有能な手駒を失わなくてよかった』という意味に違いない。 私は必死に自分に言い聞かせた。そうしないと、勘違いしてしまいそうだから。
だが、私たちの勝利の余韻も束の間だった。 翌日、王宮から衝撃的な布告が出されたのだ。
『聖女ミレイユとレオンハルト王太子の婚姻の儀、来週の夜会にて執り行う』
教会が動いた。 殿下の醜聞を揉み消し、既成事実を作るために、強引に結婚を早めたのだ。 もちろん、ミレイユ様の意思など無視して。
「……やってくれますわね、あのおっさんたち」
私は布告書を握りつぶした。 売られた喧嘩だ。 来週の夜会、私たちの『結婚発表』と、彼らの『強制結婚』がぶつかることになる。
「アシュ様。作戦会議です。あの結婚式、派手にぶっ潰しますわよ!」
「同意する。私の監査対象(ミレイユ)を勝手に処分することは許されない」
私たちは顔を見合わせ、凶悪な(そして最高に合理的な)笑みを浮かべた。
翌朝、宰相府の執務室。 アシュ様は、私が渡したレオンハルト殿下からの手紙を読み終えると、氷点下の声で感想を述べた。 その手にある紙が、心なしかパリパリと凍りついているように見えるのは気のせいだろうか。
「『身体が痛い』『解呪してくれ』『元に戻りたい』……。これらはすべて、法的定義における『未練』および『復縁要請』に該当する。そして何より、私の妻(契約上)に対する不適切な接触だ」
アシュ様は無表情のまま、手紙を青白い炎の魔法で燃やし尽くした。 灰がサラサラと床に落ちる。
「リディア。君はこの男に返信をする必要はない。これは精神汚染攻撃の一種だ。私が処理する」
「頼もしいですわ、閣下。……でも、殿下は諦めの悪い方です。きっと直接接触を図ってくるでしょうね」
「想定内だ。だから今日は、君の護衛レベルを引き上げる」
アシュ様は立ち上がり、私の隣に来ると、自然な動作で私の腰に手を回した。
「!?」
「外出時は常に私の半径一メートル以内を維持しろ。これは命令だ」
嘘がつけない契約のせいで、彼の行動には『下心』がないことがわかってしまう。 これは純粋な『護衛任務の効率化』なのだ。 わかってはいるけれど、この密着度は心臓に悪い。宰相閣下、いい匂いがしますし。
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その日の午後。 私たちは夜会に向けた衣装合わせのため、王都の目抜き通りにある高級ブティックを訪れていた。 もちろん、アシュ様がべったりと護衛についたままで。
店を出て、馬車に乗り込もうとしたその時だった。
「リディア! 待て!」
路地裏から飛び出してきたのは、見る影もなくやつれたレオンハルト殿下だった。 いつも完璧に整えられていた金髪はボサボサで、目の下には濃い隈ができている。 後ろには、彼を止めようとする側近たちの姿もあった。
「殿下……。このような場所で待ち伏せとは、王族にあるまじき行為ですわ」
私が冷ややかに告げると、殿下は縋るような目で私を見た。
「うるさい! なりふり構っていられるか! リディア、お前、私に何をした!? あれからミレイユを抱こうとすると吐き気がして、優しくしようとすると舌が痺れるんだ! これはお前の呪いだろう!」
街中の人々が足を止め、何事かとこちらを見ている。 元婚約者の醜態を晒すには、絶好のロケーションだ。
私はため息をつき、扇子を開いた。
「呪い? いいえ、違います。それは『誓約の反動』です」
「な、なんだと?」
「殿下、ご自身でおっしゃったではありませんか。あの舞踏会で、大勢の貴族の前で。『私は、君を愛することはない』と」
私はあの日と同じように、優雅に微笑んでみせた。
「この国において、公的な場での宣言は強力な誓約魔法となります。あなたは『リディアを愛さない』という誓いを世界に立ててしまった。そして同時に、『ミレイユこそが真実の愛』だとも宣言なさいましたね?」
「あ、ああ。それがどうした!」
「簡単な論理ですわ。もし今、あなたが私に対して『惜しい』とか『戻りたい』という感情……つまり愛に近い執着を抱いているなら、それは『愛さない誓約』への違反となります。だから苦痛が走るのです」
殿下の顔が引きつる。
「そして、ミレイユ様に対しても同様です。もしあなたが、彼女を『真実の愛』ではなく、単なる『政治利用の道具』や『一時的な気まぐれ』として扱っているなら……それもまた、あなたの宣言した『真実の愛』という言葉に対する嘘になります」
嘘をつけば、誓約魔法が牙を剥く。 殿下の今の苦しみは、彼自身の心が『嘘』と『矛盾』で満たされている証拠なのだ。
「そ、そんな……。じゃあ私は、一生ミレイユを愛さなければならないのか!? あんな、すぐに泣くだけの女を!? それに、お前へのこの気持ちは……!」
殿下は錯乱したように叫び、私の方へ手を伸ばしてきた。
「リディア! やり直そう! 私が間違っていた! やはりお前が必要なんだ! 愛しているのはお前だ!」
その瞬間だった。
バチィッ!
殿下の口から、赤黒い火花が散った。 彼は「ぐああっ!」と悲鳴を上げ、喉を押さえてその場にうずくまった。
「……あーあ。言わなければよかったのに」
私は憐れみの視線を向けた。 『君を愛することはない』という絶対の誓約がある以上、彼が私に愛を囁くことは物理的に不可能なのだ。 その言葉は『嘘(契約違反)』として処理され、彼自身を焼く。
「おわかりいただけましたか? 私たちはもう、二度と結ばれることはありません。あなたの言葉が、あなた自身を拒絶しているのですから」
うずくまる殿下の周りに、側近たちが慌てて駆け寄る。 「で、殿下! 大丈夫ですか!」 「くそっ、リディア! 貴様、殿下に何をした!」
側近の一人が私に剣を向けようとした。 しかし、その剣が抜かれることはなかった。
「……私の妻に、その薄汚い鉄屑を向けるな」
絶対零度の声と共に、強烈な魔圧が場を支配した。 アシュ様だ。 彼が片手を軽く振ると、側近たちの剣が鞘の中で凍りつき、抜けなくなった。
「な、なんだ!? 剣が……!」 「ひいっ、ヴァレンシュタイン宰相!?」
アシュ様は私を背に庇い、冷徹な瞳で殿下たちを見下ろした。
「レオンハルト殿下。貴殿の発言は、我が妻リディアに対する重大な侮辱であり、セクシャルハラスメントだ。これ以上つきまとうなら、接近禁止命令(リストレーニング・オーダー)を法的かつ魔術的に発動する」
「つ、妻……? まさか、本当に……?」
殿下は喉の痛みに耐えながら、信じられないものを見る目で私たちを見た。
「そうだ。我々は契約結婚をした。リディアは私の管理下にある。貴殿のような、自分の言葉に責任も持てない愚か者が触れていい相手ではない」
アシュ様は私の肩を抱き寄せ、わざとらしく――いいえ、『嘘がつけない』から本心で――こう言った。
「彼女は、私が認めた唯一無二のパートナーだ。その価値を理解できず、自らの言葉で手放した貴殿に、今さら彼女を求める資格など一ミリもない」
ぐうの音も出ない正論。 そして、アシュ様からの(法的な)愛の告白(?)。 私は胸が高鳴るのを感じながら、殿下に最後の一撃を見舞った。
「そういうことですわ、殿下。アシュ様との契約は、あなたの口約束とは違って強固ですの。……さようなら。どうぞ、ご自身の吐いた嘘に溺れてくださいませ」
私たちは呆然とする殿下たちを残し、馬車へと乗り込んだ。 馬車が動き出すと、アシュ様がふと、私の顔を覗き込んだ。
「……顔色が悪い。あの男の瘴気に当てられたか?」
「いえ、少しスカッとしすぎて、興奮しただけです」
「そうか。……ならいい」
彼は安心したように息をつき、それからボソッと言った。
「君が『戻りたい』と言わなくてよかった」
え? 私は驚いて彼を見た。 アシュ様は窓の外を向いていて表情が見えない。 でも、耳が少しだけ赤い。
『嘘がつけない契約』。 今の言葉も、本音。 もしかしてこの氷の宰相様、ちょっとだけ嫉妬してくれた……?
いいえ、きっと『有能な手駒を失わなくてよかった』という意味に違いない。 私は必死に自分に言い聞かせた。そうしないと、勘違いしてしまいそうだから。
だが、私たちの勝利の余韻も束の間だった。 翌日、王宮から衝撃的な布告が出されたのだ。
『聖女ミレイユとレオンハルト王太子の婚姻の儀、来週の夜会にて執り行う』
教会が動いた。 殿下の醜聞を揉み消し、既成事実を作るために、強引に結婚を早めたのだ。 もちろん、ミレイユ様の意思など無視して。
「……やってくれますわね、あのおっさんたち」
私は布告書を握りつぶした。 売られた喧嘩だ。 来週の夜会、私たちの『結婚発表』と、彼らの『強制結婚』がぶつかることになる。
「アシュ様。作戦会議です。あの結婚式、派手にぶっ潰しますわよ!」
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