貧乏令嬢ですが、前世の知識で成り上がって呪われ王子の呪いを解こうと思います!

放浪人

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第23話:最後の切り札と暴かれる真実

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「まだ負けてない、ですって? どこまで往生際が悪いのやら」
イザベラ様は、私の言葉を鼻で笑った。

「哀れなものね。現実が見えていないのね」
クラウス王子も、同情するような目で私を見下す。

しかし、私は怯まなかった。
アレクシス様からもらった、この小さな魔石。
彼が言っていた。
『万が一の時は、これに魔力を込めろ。道が開けるはずだ』と。

「――アレクシス様!」
私は、隣で歯を食いしばっている彼に叫んだ。
「今です!」

次の瞬間。
私とアレクシス様は、同時に、拘束されている体から、ありったけの魔力を絞り出した。
その魔力は、私が握りしめている魔石へと、一気に流れ込んでいく。

ピシッ、と。魔石に、小さなヒビが入った。

そして。

――パァァァァン!!

魔石は、眩いばかりの光を放ちながら、弾け飛んだ。
その光の衝撃波が、床に描かれていた拘束魔法陣を、粉々に打ち砕く。

「なっ……!?」
「馬鹿な、あの魔法陣を破るなんて……!」

イザベラ様とクラウス王子が、驚愕に目を見開く。

体の自由を取り戻したアレクシス様は、一瞬の隙も逃さなかった。
彼は、弾丸のような速さでクラウス王子に肉薄し、その首に剣を突きつける。

「……動くな、兄上」
その声は、氷のように冷たかった。

「ひっ……!」
クラウス王子は、喉元に突きつけられた刃を見て、情けない悲鳴を上げた。

形勢は、一瞬にして逆転した。

「さあ、白状してもらおうか、兄上」
アレクシス様は、剣先を喉に食い込ませながら、静かに言った。
「俺に呪いをかけたのは……あなたですね?」

その言葉に、私は息を呑んだ。
まさか。実の弟に、そんな非道なことを……。

クラウス王子は、顔面蒼白になりながら、必死に首を横に振る。
「ち、違う! 私じゃない! 何を言うんだ、アレクシス!」

「嘘をおっしゃい!」
私は、叫んだ。
「あなたが、アレクシス様の力を恐れていたからでしょう!? 優秀な弟が、自分の王位を脅かすとでも思ったんじゃないですか!?」

私の指摘に、クラウス王子の顔が、憎悪に歪んだ。
その表情が、何よりもの答えだった。

「……そうよ」
不意に、イザベラ様が、甲高い声で言った。
「全ては、この愚かな男のため。そして、次期王妃となる、わたくしのためよ!」

彼女は、隠すこともなく、全てを暴露し始めた。
クラウス王子と共謀し、幼いアレクシス様に、密かに呪いをかけたこと。
彼の魔力を暴走させ、廃嫡に追い込もうとしたこと。
しかし、呪いが不完全に終わり、彼が力を得てしまったため、常に監視し、その力を封じ込めてきたこと。

「全ては、完璧な計画だったのよ! あなたのような、虫けらが現れるまでは!」
イザベラ様は、鬼の形相で、私を睨みつける。

その、醜い告白が、終わった時だった。

「――そこまでだ、イザベラ」

凛とした、威厳のある声が、部屋に響き渡った。
そこに立っていたのは、国王陛下と、その傍らに控える屈強な近衛騎士たちだった。

そして、彼らの後ろには……
「ギルさん! バルトさん!」
無事だったギルさんたちの姿もあった。

「国王陛下!? なぜ、ここに……」
イザベラ様とクラウス王子は、幽霊でも見たかのような顔をしている。

「リナお嬢から、全て聞いていたんでさァ」
ギルさんが、ニヤリと笑った。
「あんたたちの裏切りも、この罠も、全部お見通しよ!」

そう。
裏切り者がいることに気づいていた私たちは、逆にそれを利用したのだ。
偽の情報を流し、国王陛下に直接、全ての真実を訴え出ていた。
ギルさんたちの陽動も、国王陛下たちをここまで導くための、壮大な芝居だったのだ。

「クラウス、イザベラ。申し開きは、あるかな?」
国王陛下の、静かだが、怒りに満ちた声が響く。

全てを悟った二人は、その場に崩れ落ちた。
彼らの長きにわたる悪事は、今、ここに、暴かれたのだ。

――私たちの、完全勝利の瞬間だった。
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