貧乏令嬢ですが、前世の知識で成り上がって呪われ王子の呪いを解こうと思います!

放浪人

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サブストーリー:呪われ王子の独白

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あの日、夜会のホールで、隅っこに咲く地味な花を見つけた。
いや、花ですらない。壁のシミのような、ちっぽけな存在。
それが、俺とリナ・アシュリーとの、最初の出会いだった。

俺は、アレクシス・フォン・エルグランド。
この国の第二王子であり、そして、“呪われ王子”だ。

生まれつきのこの痣と、内に秘めた暴走寸前の魔力のせいで、俺は常に人との関わりを絶ってきた。
優しさは弱さだと、感情は危険だと、自分に言い聞かせて。
冷たい仮面を被り、孤独でいることが、俺と、そして国を守る唯一の方法だと信じていた。

だから、あの夜会で彼女に「邪魔だ」と言い放った時も、心は何も感じていなかったはずだった。
いつものように、俺に関わるなという、無言の警告。

だが、バルコニーで再会した時、彼女は俺を恐れなかった。
それどころか、俺が小鳥に餌をやっているのを見て、驚いたような、それでいてどこか優しい目をしていた。
あの時、俺の心の壁に、ほんの少しだけ、ヒビが入ったのかもしれない。

次に会ったのは、城の詰所だった。
侍女たちに、必死に自作の石鹸を売り込んでいる彼女の姿は、滑稽で、だが、ひどく眩しかった。
自分の肌荒れを治すためだと言って、無礼にも俺に石鹸を突きつけてきた、あの度胸。
思わず、受け取ってしまった。

その石鹸は、驚くほど肌に優しく、そして、優しい香りがした。
まるで、彼女自身のような石鹸だと思った。

彼女の作るものは、いつも俺を驚かせた。
常識を覆す石鹸。
そして、脳がとろけるような、甘い菓子。
工房で、夢中になって菓子を作る彼女の横顔を、俺は何度盗み見ただろう。
彼女と過ごす時間だけが、俺の灰色の日々に、彩りを与えてくれた。

彼女が、俺の呪いの真実を知っても、離れていくことはなかった。
それどころか、「私が、あなたの呪いを解いてみせる」と、無謀なことを言い出した。
馬鹿な女だと思った。
だが、そのまっすぐな瞳を見ていると、胸の奥が、熱くなった。
この女を、守りたい。
初めて、心からそう思った。

禁書庫での戦いは、俺にとって、人生最大の賭けだった。
兄とイザベラの裏切り。絶体絶命の罠。
だが、彼女は諦めなかった。
「まだ負けてない」と叫んだ彼女の姿は、まるで戦いの女神のようだった。
俺が渡したお守りの魔石を、最後の切り札として使った時の、あの聡明さ。

彼女がいたから、俺は勝てた。
彼女がいたから、俺は、長年の呪いから解放された。

光の中に見た、彼女の泣き顔。
ありがとう、と言った時の、あの美しい笑顔。
俺の世界は、あの日、完全に彼女の色に塗り替えられた。

今、俺の腕の中には、未来の妃となった彼女がいる。
「愛とお金、両方欲しい」と、欲張りなことを言って笑う、俺の愛しい人。

リナ。
お前が、俺の“真実の月の涙”だ。
お前が、俺の人生そのものだ。

この命に代えても、君を守り抜こう。
そして、君と共に、最高の未来を築いていこう。

もう、俺は孤独な王子じゃない。
君という、最高の光を手に入れたのだから。
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