偽聖女と蔑まれた私、実は【魔力鑑定EX】の持ち主でした~追放先で出会った無愛想な公爵様に見初められ、今更帰ってきて言われてももう遅いです

放浪人

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サブストーリー(カイ視点):凍てついた世界の終焉

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俺の世界は、ずっと、凍てついていた。
物心ついた時から、この身に宿る、強大すぎる魔力。
それは、祝福ではなく、呪いだった。

触れるものを、意図せず凍らせてしまう。
誰もが、俺を「氷の公爵」「化け物」と呼び、恐れ、遠巻きにした。
実の父でさえも、俺を忌み嫌った。

感情を、どう表現していいのか、分からなかった。
嬉しいも、悲しいも、愛おしいも、すべてが、分厚い氷の下に閉ざされていた。
ただ、灰色で、無音の世界を、一人で生きているだけだった。

――あの日、森で、お前と出会うまでは。

ロックボアに襲われ、絶体絶命のはずなのに、その瞳は、少しも諦めていなかった。
追放者だと、一目で分かった。みすぼらしい格好をしていたが、その魂が放つ光の気高さは、何ものにも隠しきれていなかった。

そして、俺が、また、魔力を暴走させた時。
お前は、逃げなかった。

「嫌ですわ!」

きっぱりとした、その声。
俺の魔力を、真っ直ぐに見つめ、その流れを、的確に言い当てた。
信じられなかった。

「あなたの魔力(ソウル)が、私には視えるのですわ」

そして、お前は、言ったのだ。
誰もが、不気味だと、恐ろしいと言った、俺の力を。

「……やはり、綺麗ですわね。あなたの魔力は。……ただ、少しだけ……寂しそうです」

その瞬間、俺の、永遠に続くかと思われた凍てついた世界に、初めて、光が差した。
何かが、音を立てて、溶け始めた。
この女を、手に入れたい。
絶対に、誰にも渡してはならない。

衝動的に、俺は、お前を城へ連れ帰った。
専属鑑定士という、もっともらしい理由をつけて。

お前との日々は、驚きの連続だった。
俺の、不器用な魔力制御に、根気強く付き合ってくれた。
俺が、初めて、微かに笑った時、自分のことのように、花が咲くように、喜んでくれた。
俺の過去を知っても、化け物だと言わずに、ただ、俺のために泣き、怒ってくれた。

お前が、俺以外の男と話しているだけで、腹の底が、黒い炎で焼かれるように、熱くなった。
これが、「嫉妒」という感情だと知った。
お前に触れたい、お前を独り占めにしたい、と、四六時中、思うようになった。
これが、「愛しい」という感情だと知った。

そして、今。
俺の腕の中には、安らかな寝息を立てる、愛しい妻がいる。
俺の、光。俺の、魂。俺の、すべて。

俺の世界は、もう、凍てついてはいない。
お前という、世界で一番温かい陽だまりが、ここにあるから。

「……愛している、アリア」

そっと、その滑らかな額に、口づけを落とす。
これからは、俺が、お前を照らす光となろう。
お前がくれた、この温かい世界を、生涯をかけて、守り抜こう。

俺たちの、永遠に続く、幸せな物語を、紡いでいこう。
二人で、共に。
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