追放された悪役令嬢は、氷の辺境伯に何故か過保護に娶られました ～今更ですが、この温もりは手放せません！？～

第四幕：長い夜の後の夜明け

第23話：名誉回復と新たな誓い

イゾルデとアラリック王子への裁きが下された後、国王陛下から私とカシアン様宛に、正式な書状が届けられた。そこには、今回の事件における私の無実を改めて認め、私の名誉を完全に回復するとの宣言が記されていた。さらに、私を陥れた者たちに対する厳正な処罰を約束すると共に、カシアン卿の公正な判断と、グレイウォール領の安寧に対する貢献を称える言葉が綴られていた。

「……これで、私の汚名は完全にそそがれましたわね」

書状を読み終えた私は、感慨深げに呟いた。悪役令嬢と呼ばれ、不当な扱いを受けてきた日々が、ようやく過去のものとなったのだ。

「当然のことだ。お前は、何も悪いことなどしていないのだから」

カシアン様は、私の頭を優しく撫でた。彼のその仕草が、今の私には何よりも心地よかった。

国王陛下からの書状は、王都の貴族社会にも広く布告され、私の無実とイゾルデたちの悪行は公のものとなった。かつて私を軽蔑し、遠巻きにしていた者たちも、今では手のひらを返したように私を称賛し、イゾルデたちを非難しているという。人間の身勝手さには呆れるばかりだが、それでも、真実が認められたことは素直に嬉しかった。

数日後、グレイロック城では、私の名誉回復を祝うささやかな祝宴が開かれた。城の家臣たちが、私たちのために心を込めて準備してくれた宴だった。

広間には、温かい料理と美味しい酒が並び、楽師たちが陽気な音楽を奏でている。家臣たちは皆、笑顔で私たちを祝福し、口々にお祝いの言葉を述べてくれた。

「セラフィナ様、カシアン様、誠におめでとうございます！」

「奥様が無実と証明され、我々も本当に嬉しゅうございます！」

「これからも、お二人の幸せが末永く続きますように！」

その温かい言葉の一つ一つが、私の胸に染み渡った。私は、このグレイロック城で、本当に素晴らしい仲間たちに巡り会えたのだ。

宴の途中、カシアン様が立ち上がり、皆に向かって宣言した。

「皆、聞いてくれ。俺は、セラフィナを、改めて俺の妻として、そしてこのグレイウォールの女主人として、生涯愛し、守り抜くことをここに誓う！」

彼の力強い言葉に、広間は大きな歓声と拍手に包まれた。私も、カシアン様の隣に立ち、皆に向かって微笑んだ。

「私も、カシアン様を夫として、そしてこのグレイウォールの民を家族として、生涯愛し、支え続けることを誓いますわ！」

私たちの新たな誓いに、家臣たちは再び大きな祝福の声を上げた。それは、政略でも義務でもない、心からの愛と信頼に基づいた、真の夫婦の誓いだった。

この氷の土地で、私はかけがえのないものを見つけた。それは、愛する人、信頼できる仲間、そして、穏やかで幸せな日々。もう、何も恐れるものはない。私は、カシアン様と共に、このグレイウォールで、力強く生きていくのだ。