3 / 31
第三話「怒らない罰と、選べるおやつ」
しおりを挟む
「……どうして、私のことを叱らないの?」
午後の柔らかな日差しが差し込む客室。 まだ荷解きも終わっていない私の部屋を訪れたミレイユ様は、開口一番、そう言った。
七歳の少女の言葉としては、あまりに悲痛で、そして不可解な響きを持っていた。 彼女はドアノブを握ったまま、部屋の中に入ろうともせず、警戒心を剥き出しにして私を睨みつけている。
「叱る、とは? 今朝のスープのことですか?」
私は手元の刺繍の手を止め、穏やかに問い返した。 ミレイユ様は、私のその落ち着いた態度が気に入らないのか、苛立たしげに小さな足で床を鳴らした。
「そうよ! 私がわざとお皿を落としたことくらい、分かってるくせに! 使用人たちだって皆気づいてたわ。なのに、どうしてあなたは『怪我はないか』なんて聞いたの? 気持ち悪い!」
「気持ち悪い、ですか」
「そうよ。前の……お父様が連れてこようとした人たちは、みんな怒ったわ。『なんて粗野な娘だ』って。あるいは、お父様の前だけニコニコして、あとで私の腕をつねったりした」
ミレイユ様は一気にまくしたてると、肩で息をした。 その瞳が潤んでいる。 怒りではない。これは、恐怖だ。
彼女にとって「悪いことをしたら罰を受ける」というのは、世界の絶対的なルールなのだ。 そのルールが破られたことで、彼女は不安になっている。 「罰」がないということは、無視されているか、あるいは後でもっと恐ろしい報復が待っているのではないか――そんな疑心暗鬼に囚われているのだ。
(……なんて可哀想な子)
私は内心で深く溜息をついた。 この屋敷に来てから、まだ一日も経っていないのに、この子たちが抱える闇の深さに眩暈がしそうになる。 けれど、同情して抱きしめるだけでは、この聡明で拗ねてしまった少女の心は解けない。
私は刺繍枠をサイドテーブルに置き、ゆっくりと立ち上がった。 そして、彼女の前まで歩み寄り、視線を合わせるように屈んだ。
「ミレイユ様。私はあなたを叱りません。お皿を落としたのは、私への挨拶代わりでしょう? 『私はこんなに悪い子だけど、それでも母親になれるのか』という」
「……っ」
図星を突かれたのか、ミレイユ様が息を呑む。
「あなたのその挑戦、受け取りました。ですから、あの件はおしまいです。……ですが」
私は言葉を切り、少しだけ声を低くした。
「あなたは一つだけ、間違ったことをしました」
「……なに?」
「食べ物を粗末にしましたね。料理人が朝早く起きて作ってくれたスープを、床にぶちまけた。それは、レディとして――いいえ、人として褒められたことではありません」
ミレイユ様が唇を噛む。 反論しようとして、言葉に詰まる。 彼女も本当は分かっているのだ。自分の八つ当たりが、正しくないことくらい。
「ですから、罰を与えます」
「……え?」
「罰を受けていただきます。そうですね……」
私はわざと思案するふりをして、怯える彼女の顔を覗き込んだ。
「今から『おやつの時間』にします。私の部屋で、私と一緒に。それが罰です」
「は……?」
ミレイユ様がぽかんと口を開けた。 想像していた「罰」――地下室に閉じ込められるとか、夕食抜きだとか――とはあまりにかけ離れていたからだろう。
「ちょうど、料理長のドロテアに頼んで、お菓子を用意させたところなの。でも、私一人では食べきれなくて困っていたのよ。手伝ってくださる?」
私は彼女の返事も待たず、使用人に合図を送った。 すぐにワゴンが運ばれてくる。 そこには、湯気を立てる紅茶と、二種類の焼き菓子が載っていた。
一つは、真っ赤なベリーがたっぷり乗ったタルト。 もう一つは、濃厚なチョコレートが詰まったクッキー。
甘い香りが部屋に充満する。 ミレイユ様の視線が、無意識にお菓子へと吸い寄せられた。七歳の子どもが、この香りに抗えるはずがない。
「さあ、座って」
私はローテーブルを挟んで向かいのソファを勧めた。 ミレイユ様は警戒しつつも、おずおずと腰を下ろす。
「どっちがいい?」
私は二つの皿を示した。
「……え?」
「ベリーのタルトと、チョコレートクッキー。どちらがお好きですか? 好きなほうを選んでいいわ」
ミレイユ様は戸惑ったように私と皿を交互に見た。
「……どっちでもいい」
「いいえ、選んでください」
私は譲らなかった。 彼女は、今まで「選ぶ」ということを許されてこなかったのではないか。 継母候補たちの顔色を窺い、父親の期待に応えるために「良い子」を演じ、自分の意思を押し殺してきた。 だから、些細なことでも自分で決めるのが怖いのだ。
「自分の好きなものを、自分で決めるの。それはとても素敵なことよ。さあ、どっち?」
「……」
ミレイユ様は長いこと沈黙していた。 小さな手が、膝の上でドレスの生地を握りしめている。 やがて、彼女は蚊の鳴くような声で言った。
「……チョコ」
「チョコレートクッキーですね。分かりました」
私はにっこりと微笑み、チョコレートクッキーの皿を彼女の前に置いた。 そして、ベリーのタルトを自分の手元に引き寄せる。
「じゃあ、私はタルトをいただきます。……はい、召し上がれ」
ミレイユ様はおずおずとクッキーに手を伸ばした。 サクッ、という軽快な音。 口に入れた瞬間、彼女の表情がふわりと緩んだ。 濃厚なカカオの香りとバターの風味が、強張っていた心を内側から溶かしていくのが見て取れた。
「美味しい?」
「……ん」
素直ではないけれど、否定はしなかった。 私は満足して、自分のタルトにフォークを入れた。
「ミレイユ様。この屋敷では、あなたは自分の好きなものを選んでいいのよ。洋服も、リボンの色も、おやつの種類も。嫌いなものは嫌いと言っていいし、好きなものは好きと言っていい」
「……わがままって、言わない?」
「言いません。自分の気持ちを伝えるのは、わがままとは違いますから」
ミレイユ様は二枚目のクッキーに手を伸ばしながら、私をじっと見つめた。 その瞳には、まだ警戒の色は残っている。 けれど、最初のような敵意だけの冷たい目ではなかった。 探るような、値踏みするような――でも、ほんの少しだけ期待を含んだ瞳。
やがて、三枚のクッキーを平らげ、紅茶を飲み干すと、ミレイユ様はパタリとフォークを置いた。
「……ごちそうさま」
「お粗末様でした」
彼女はソファから飛び降りると、出口へと向かった。 そして、ドアノブに手をかけたところで、一度だけ振り返った。
「勘違いしないでよね。お菓子につられたわけじゃないから」
典型的な捨て台詞。 私は思わず吹き出しそうになるのを堪えた。
「ええ、分かっています。罰を受けてくださって、ありがとう」
「ふん!」
ミレイユ様は顔を真っ赤にして、バタンと扉を閉めて出て行った。 廊下を走る足音が聞こえる。そのリズムは、来た時よりもずっと軽やかだった。
ふう、と息を吐いて、私は冷めかけた紅茶を一口飲んだ。 とりあえず、第二ラウンドも判定勝ちといったところかしら。
「……奥様」
部屋の隅に控えていた老執事のギルベルトが、静かに歩み寄ってきた。 彼はティーカップに新しい紅茶を注ぎ足しながら、感情の読めない声で言った。
「ミレイユお嬢様にあのような対応をされるとは。……いささか、甘すぎるのではありませんか?」
「甘い?」
「はい。あのような我儘を許容しては、示しがつきません。前任の教育係たちは、もっと厳しく規律を教え込みましたが」
ギルベルトの視線は鋭い。 彼は長年この家に仕え、崩壊しかけている公爵家を必死に支えてきた忠臣だ。 だからこそ、私のやり方が「甘やかし」に見え、秩序を乱すものだと危惧しているのだろう。
私はカップをソーサーに戻し、ギルベルトを見上げた。
「ギルベルト。厳しさだけで、この子たちの心は守れましたか?」
「……それは」
「規律は大切です。でも、今のあの子たちに必要なのは、正しい命令に従うことではなく、『自分はここにいてもいいんだ』という安心感です。自分で選び、それが肯定される経験です」
私はきっぱりと言った。
「私はあの子たちの母親になるために来ました。教師でも、看守でもありません。……甘いと言われても結構。これが私のやり方です」
ギルベルトは一瞬、目を丸くした。 それから深く、本当に深く頭を下げた。
「……出過ぎたことを申しました」
その顔が見えなかったので、彼がどんな表情をしていたのかは分からない。 ただ、注がれた紅茶から立つ湯気だけが、揺らめいていた。
その夜のことだ。 夕食の時間になっても、長男のアルフォンス様が食堂に現れなかった。
「アルフォンス様は、執務室で書類の整理をされています。『まだ終わらないから食事はいらない』と……」
使用人の困り切った報告に、レオンハルト様が眉を寄せる。 十歳の子どもが、食事もとらずに仕事?
「またか。……後で部屋に運ばせる」
レオンハルト様はそれだけ言って、食事を始めようとした。 まるでそれが、日常茶飯事であるかのように。
ガタンッ。 私は席を立った。
「クラリス?」
「十歳の子どもが夕食を抜いて仕事をするなんて、異常です。連れ戻してまいります」
「待て。あいつは次期当主としての責任感が強い。邪魔をすると怒るぞ」
「怒らせておけばいいのです。子どもが子どもの時間を捨ててまで背負う責任なんて、この世にはありません!」
私は制止を振り切り、食堂を飛び出した。 次に攻略すべきは、あの小さな、頑張りすぎる当主様だ。
午後の柔らかな日差しが差し込む客室。 まだ荷解きも終わっていない私の部屋を訪れたミレイユ様は、開口一番、そう言った。
七歳の少女の言葉としては、あまりに悲痛で、そして不可解な響きを持っていた。 彼女はドアノブを握ったまま、部屋の中に入ろうともせず、警戒心を剥き出しにして私を睨みつけている。
「叱る、とは? 今朝のスープのことですか?」
私は手元の刺繍の手を止め、穏やかに問い返した。 ミレイユ様は、私のその落ち着いた態度が気に入らないのか、苛立たしげに小さな足で床を鳴らした。
「そうよ! 私がわざとお皿を落としたことくらい、分かってるくせに! 使用人たちだって皆気づいてたわ。なのに、どうしてあなたは『怪我はないか』なんて聞いたの? 気持ち悪い!」
「気持ち悪い、ですか」
「そうよ。前の……お父様が連れてこようとした人たちは、みんな怒ったわ。『なんて粗野な娘だ』って。あるいは、お父様の前だけニコニコして、あとで私の腕をつねったりした」
ミレイユ様は一気にまくしたてると、肩で息をした。 その瞳が潤んでいる。 怒りではない。これは、恐怖だ。
彼女にとって「悪いことをしたら罰を受ける」というのは、世界の絶対的なルールなのだ。 そのルールが破られたことで、彼女は不安になっている。 「罰」がないということは、無視されているか、あるいは後でもっと恐ろしい報復が待っているのではないか――そんな疑心暗鬼に囚われているのだ。
(……なんて可哀想な子)
私は内心で深く溜息をついた。 この屋敷に来てから、まだ一日も経っていないのに、この子たちが抱える闇の深さに眩暈がしそうになる。 けれど、同情して抱きしめるだけでは、この聡明で拗ねてしまった少女の心は解けない。
私は刺繍枠をサイドテーブルに置き、ゆっくりと立ち上がった。 そして、彼女の前まで歩み寄り、視線を合わせるように屈んだ。
「ミレイユ様。私はあなたを叱りません。お皿を落としたのは、私への挨拶代わりでしょう? 『私はこんなに悪い子だけど、それでも母親になれるのか』という」
「……っ」
図星を突かれたのか、ミレイユ様が息を呑む。
「あなたのその挑戦、受け取りました。ですから、あの件はおしまいです。……ですが」
私は言葉を切り、少しだけ声を低くした。
「あなたは一つだけ、間違ったことをしました」
「……なに?」
「食べ物を粗末にしましたね。料理人が朝早く起きて作ってくれたスープを、床にぶちまけた。それは、レディとして――いいえ、人として褒められたことではありません」
ミレイユ様が唇を噛む。 反論しようとして、言葉に詰まる。 彼女も本当は分かっているのだ。自分の八つ当たりが、正しくないことくらい。
「ですから、罰を与えます」
「……え?」
「罰を受けていただきます。そうですね……」
私はわざと思案するふりをして、怯える彼女の顔を覗き込んだ。
「今から『おやつの時間』にします。私の部屋で、私と一緒に。それが罰です」
「は……?」
ミレイユ様がぽかんと口を開けた。 想像していた「罰」――地下室に閉じ込められるとか、夕食抜きだとか――とはあまりにかけ離れていたからだろう。
「ちょうど、料理長のドロテアに頼んで、お菓子を用意させたところなの。でも、私一人では食べきれなくて困っていたのよ。手伝ってくださる?」
私は彼女の返事も待たず、使用人に合図を送った。 すぐにワゴンが運ばれてくる。 そこには、湯気を立てる紅茶と、二種類の焼き菓子が載っていた。
一つは、真っ赤なベリーがたっぷり乗ったタルト。 もう一つは、濃厚なチョコレートが詰まったクッキー。
甘い香りが部屋に充満する。 ミレイユ様の視線が、無意識にお菓子へと吸い寄せられた。七歳の子どもが、この香りに抗えるはずがない。
「さあ、座って」
私はローテーブルを挟んで向かいのソファを勧めた。 ミレイユ様は警戒しつつも、おずおずと腰を下ろす。
「どっちがいい?」
私は二つの皿を示した。
「……え?」
「ベリーのタルトと、チョコレートクッキー。どちらがお好きですか? 好きなほうを選んでいいわ」
ミレイユ様は戸惑ったように私と皿を交互に見た。
「……どっちでもいい」
「いいえ、選んでください」
私は譲らなかった。 彼女は、今まで「選ぶ」ということを許されてこなかったのではないか。 継母候補たちの顔色を窺い、父親の期待に応えるために「良い子」を演じ、自分の意思を押し殺してきた。 だから、些細なことでも自分で決めるのが怖いのだ。
「自分の好きなものを、自分で決めるの。それはとても素敵なことよ。さあ、どっち?」
「……」
ミレイユ様は長いこと沈黙していた。 小さな手が、膝の上でドレスの生地を握りしめている。 やがて、彼女は蚊の鳴くような声で言った。
「……チョコ」
「チョコレートクッキーですね。分かりました」
私はにっこりと微笑み、チョコレートクッキーの皿を彼女の前に置いた。 そして、ベリーのタルトを自分の手元に引き寄せる。
「じゃあ、私はタルトをいただきます。……はい、召し上がれ」
ミレイユ様はおずおずとクッキーに手を伸ばした。 サクッ、という軽快な音。 口に入れた瞬間、彼女の表情がふわりと緩んだ。 濃厚なカカオの香りとバターの風味が、強張っていた心を内側から溶かしていくのが見て取れた。
「美味しい?」
「……ん」
素直ではないけれど、否定はしなかった。 私は満足して、自分のタルトにフォークを入れた。
「ミレイユ様。この屋敷では、あなたは自分の好きなものを選んでいいのよ。洋服も、リボンの色も、おやつの種類も。嫌いなものは嫌いと言っていいし、好きなものは好きと言っていい」
「……わがままって、言わない?」
「言いません。自分の気持ちを伝えるのは、わがままとは違いますから」
ミレイユ様は二枚目のクッキーに手を伸ばしながら、私をじっと見つめた。 その瞳には、まだ警戒の色は残っている。 けれど、最初のような敵意だけの冷たい目ではなかった。 探るような、値踏みするような――でも、ほんの少しだけ期待を含んだ瞳。
やがて、三枚のクッキーを平らげ、紅茶を飲み干すと、ミレイユ様はパタリとフォークを置いた。
「……ごちそうさま」
「お粗末様でした」
彼女はソファから飛び降りると、出口へと向かった。 そして、ドアノブに手をかけたところで、一度だけ振り返った。
「勘違いしないでよね。お菓子につられたわけじゃないから」
典型的な捨て台詞。 私は思わず吹き出しそうになるのを堪えた。
「ええ、分かっています。罰を受けてくださって、ありがとう」
「ふん!」
ミレイユ様は顔を真っ赤にして、バタンと扉を閉めて出て行った。 廊下を走る足音が聞こえる。そのリズムは、来た時よりもずっと軽やかだった。
ふう、と息を吐いて、私は冷めかけた紅茶を一口飲んだ。 とりあえず、第二ラウンドも判定勝ちといったところかしら。
「……奥様」
部屋の隅に控えていた老執事のギルベルトが、静かに歩み寄ってきた。 彼はティーカップに新しい紅茶を注ぎ足しながら、感情の読めない声で言った。
「ミレイユお嬢様にあのような対応をされるとは。……いささか、甘すぎるのではありませんか?」
「甘い?」
「はい。あのような我儘を許容しては、示しがつきません。前任の教育係たちは、もっと厳しく規律を教え込みましたが」
ギルベルトの視線は鋭い。 彼は長年この家に仕え、崩壊しかけている公爵家を必死に支えてきた忠臣だ。 だからこそ、私のやり方が「甘やかし」に見え、秩序を乱すものだと危惧しているのだろう。
私はカップをソーサーに戻し、ギルベルトを見上げた。
「ギルベルト。厳しさだけで、この子たちの心は守れましたか?」
「……それは」
「規律は大切です。でも、今のあの子たちに必要なのは、正しい命令に従うことではなく、『自分はここにいてもいいんだ』という安心感です。自分で選び、それが肯定される経験です」
私はきっぱりと言った。
「私はあの子たちの母親になるために来ました。教師でも、看守でもありません。……甘いと言われても結構。これが私のやり方です」
ギルベルトは一瞬、目を丸くした。 それから深く、本当に深く頭を下げた。
「……出過ぎたことを申しました」
その顔が見えなかったので、彼がどんな表情をしていたのかは分からない。 ただ、注がれた紅茶から立つ湯気だけが、揺らめいていた。
その夜のことだ。 夕食の時間になっても、長男のアルフォンス様が食堂に現れなかった。
「アルフォンス様は、執務室で書類の整理をされています。『まだ終わらないから食事はいらない』と……」
使用人の困り切った報告に、レオンハルト様が眉を寄せる。 十歳の子どもが、食事もとらずに仕事?
「またか。……後で部屋に運ばせる」
レオンハルト様はそれだけ言って、食事を始めようとした。 まるでそれが、日常茶飯事であるかのように。
ガタンッ。 私は席を立った。
「クラリス?」
「十歳の子どもが夕食を抜いて仕事をするなんて、異常です。連れ戻してまいります」
「待て。あいつは次期当主としての責任感が強い。邪魔をすると怒るぞ」
「怒らせておけばいいのです。子どもが子どもの時間を捨ててまで背負う責任なんて、この世にはありません!」
私は制止を振り切り、食堂を飛び出した。 次に攻略すべきは、あの小さな、頑張りすぎる当主様だ。
916
あなたにおすすめの小説
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
白い結婚だったはずなのに、少し糖度が高すぎる気がするのですが。~殿下が今更復縁を懇願してきましたが、もう遅いです~
水上
恋愛
王太子から理不尽に婚約破棄された伯爵令嬢ヴィオラ。
しかし、実は彼女のその知識は、国を支える要だった。
「お前の知識と技術が必要だ」
そんな彼女を拾ったのは、強面で料理上手の辺境伯。
契約結婚から始まった二人は、領地の改革に着手する。
その過程で、二人の関係性も徐々に進展していき……。
一方、彼女を捨てた王宮はボロボロに崩れ始め……?
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~
キョウキョウ
恋愛
幼い頃から辛くて苦しい妃教育に耐えてきたオリヴィア。厳しい授業と課題に、何度も心が折れそうになった。特に辛かったのは、王妃にふさわしい体型維持のために食事制限を命じられたこと。
とても頑張った。お腹いっぱいに食べたいのを我慢して、必死で痩せて、体型を整えて。でも、その努力は無駄になった。
婚約相手のマルク王子から、無慈悲に告げられた別れの言葉。唐突に、婚約を破棄すると言われたオリヴィア。
アイリーンという令嬢をイジメたという、いわれのない罪で責められて限界に達した。もう無理。これ以上は耐えられない。
そしてオリヴィアは、会場のテーブルに置いてあったデザートのケーキを手づかみで食べた。食べながら泣いた。空腹の辛さから解放された気持ちよさと、ケーキの美味しさに涙が出たのだった。
※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開や設定は、ほぼ変わりません。加筆修正して、完成版として連載します。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる