異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔

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「お前、何やらかした」

 セシリアを教会に連れて行くと、神父がめちゃくちゃ怖い顔をした。
 仕方ないか。セシリアの頬、だいぶん腫れちまったし。

「あぅ。いば、わうないぉ」
「いや、俺が悪いんだ。寝ぼけて、その……嫌な夢見てさ。それで寝起きに……」
「この子を殴っちまったってことか。はぁ……まぁそういう事ならしゃーねえな。お嬢ちゃん、ごめんな、痛かったろう」

 神父が呪文を唱えると、緑色の光がセシリアの顔へと吸い込まれていく。
 頬の腫れも目に見えて引いていき、神父の手が離れる頃には赤かったのも元に戻っていた。

「どうだ? 痛くねえか?」
「……おぉ! はい!」
「そうかそうか。俺様は世界最強無敵の超絶イケメン神父だからな。俺様に治せない怪我はない!!」

 いや、セシリアには申し訳ないが、あの傷って重傷でもなんでもないだろ?
 あれを治せたからってそこまでドヤるほどじゃないぞ。

 呆れて神父を見ていると、何を思ったか突然俺の肩に腕を回してきた。

「リヴァくぅーん。寝ぼけてこの子を殴ったって、つまり君たち一緒だったってことぉー?」

 下衆スイッチが入りやがったな。

「セシリア、変態神父は放っておいてさっさと行こうぜ」
「ひぁ……あ、はいっ」
「ん? 顔が赤いけど、まだどっか傷むのか? おいエロ神父、きっちり治してやれよ。腕が鈍ってんじゃねえのか」
「お前は頭の方を治したほうがよさそうだな」
「はぁ?」

 頭痛もなんもねえし!

「ほら早くヒーリングしろよ」
「ぁう、いぃ、いいの。いたぁ、ないの」
「い、いいのか? 本当か?」
「はいっ。ほぉと」

 まぁ本人がそう言うなら……あ。

「てめぇー! 生臭坊主が変なこと言うからセシリアが!」
「お前ぇ、今さら気づくのか? 馬鹿だなぁ。なぁお嬢ちゃん」
「ひぅ……ぁ……うぁ……ふいいぃーっ」

 さっきよりもいっそう顔を赤らめてセシリアが蹲る。
 その顔を両手で多い隠し、首をぶんぶんと左右に振った。

「あ、ぁ、謝れよエロ生臭坊主!」
「おぉっと、また進化したぜ俺様」
「退化してんだよ! あぁもう。行こうぜセシリア。こんな奴に付き合ってらんねえよ」
「ひゃ、ひゃい」

 蹲るセシリアが手を伸ばし、その手を掴んで──

 ──隆二、私、子供が出来たの。

「くっ」

 直ぐに払いのけた。

 目を丸くして俺を見上げるセシリア。

「ごめ……まだ引きずってるみたいなんだ」
「……あ……だ……だい、おぉーう?」

 心配そうに俺を見つめる彼女の瞳も……気持ち悪い。
 愛奈じゃないって分かってる。
 女が女、みんなあんな奴とは違うって分かってる。

 けど、吐き気がするんだ。

「あぁー……見つめ合ってるところ悪いが、ちょっといいかぁ?」
「み、見つめ合ったりしてねえし!」
「はいはい、ボクちゃんちょーっとこっち来ようなぁ」
「お、おい。生臭坊主、なんだよ急にっ」

 首根っこを掴まれ、そのまま神父の部屋へと連れ込まれた。
 扉を閉めた神父が、急に真面目な顔をして椅子に腰を掛ける。

「なにがあった?」
「何がって、なにがだよ」
「押し問答してんじゃねえんだぞ。お前、さっきめちゃくちや辛そうな顔してたぞ。お前のあんな顔、今まで見たことねえ」
「う……」

 生臭坊主め。余計なところでほんとよく見てやがる。
 しかもこうなるとしつこいんだよな。
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