ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~

夢・風魔

文字の大きさ
28 / 52
2章

第──28

しおりを挟む
「もっふもふからの──ぶっくぶくやぞ!」
『ぎゅうぅぅぅぅ』

 ギルドの裏手にある井戸の横で、桶に水を汲み毛玉にざぱぁー。
 そして石鹸で少し撫で泡立てようとしたんだが。

「泡が出ないな?」
「汚れが激しいからじゃない?」
「そうですね。汚れが激しいほど、泡が立ちませんから」

 なるほど。その話は聞いたことがあるな。
 一度軽く洗って、石鹸を水で洗い流し、再び撫でる。
 うん。まだ泡立たない。

 三回目でようやく泡立つようになると、今度こそぶくぶくのもこもこになった。

『む、むぎゅぅぅぅ』
「毛玉ご臨終。さて、どうやって乾かしてやるかな。ドライヤーはないし……いや、似たものなら作れる!」

 要は温かい風を送れればいいんだ。
 リシェルの風の精霊に手伝って貰おう。

「"空気操作"──で範囲内の空気を温めるっと。リシェル、ここから毛玉に向かって風を送ってくれるよう、精霊に頼んでくれないか?」
「風ですか?」
「あぁ。毛玉を少しでも早く乾かすためにな」

 空気の温度は50度ぐらいでいいかな?
 あんま高くし過ぎると熱風どころじゃなくなるし。

「贅沢を言えばブラシが欲しいよなぁ」
「わたしの使う?」
「いや、でも毛玉の毛がつくだろ?」
「新しいの買ってよ」

 と、シェリルはにこやかに言う。
 つまりそういうことか!

 ブラシで毛を梳いてやりながら、リシェルが風を送る。

『きゅっ!』

 突然毛玉が暴れだす。
 くっ。せっかく綺麗にしてやったんんだ、ここで汚れさせてなる者か!

「大人しくしろっ。大人しくしないと、いつまで経っても終わらないぞっ」
『ぎゅっぎゅっ』

 精霊がいるだろう方向に腹を見せるよう抱っこするが、後ろ脚をげしげししやがって痛い!

「痛かったんでしょ。貸して」
「え、あ、うん……」

 シェリルに交代すると、毛玉の野郎は急におとなしくなる。
 そしてお目目うっとり。

 そうするうちにあれよあれよともっふもふになった毛玉は、それまで薄いブラウンだと思った毛色がまったくの別物だったと知る。
 白──にほんのりコバルトブルーを混ぜたような毛と、真っ白な毛。その二種類が混ざったちょっと変わった毛並みだ。
 
 兎と言っても、毛の長い品種と普段目にする兎の中間くらいの長さで、垂れ耳が非常に可愛い。

「ふぅ。これで綺麗になったわ」
「短時間で乾かせるこのやり方……いいですね!」
「そうね。わたしたちもこれで髪を乾かしたいわ。ね、空」
「空さん、ぜひお願いしますっ」
「え? うん、まぁいいけど」

 確かに二人の長い髪は乾かすのが大変だろう。俺はまぁ放っておいてもすぐ乾くけどさ。

 毛玉がもっふもふになった頃、ようやくギルドのお姉さんがやって来た。

「お、おわり……ました……」

 彼女はどうやら疲れ切っているように見えた。





 査定の結果、5100ルブになった!
 51万か、すげーな。

 ここから三人分の冒険者登録試験料300ルブを支払う。残ったのは4800ルブ。

「試験は明日行います。今日はもう遅いので、書類の手続きだけ済ませましょう」
「分かりました」

 ふ。この二カ月の間に、異世界文字を習得したんだぜ!
 日本語のようにカタカナ、漢字というようなものがなく、要はひらがなだけで文字を書くようなものだ。
 だがそもそも文字を書く機会が少ない。
 商売をしている人なら、売り物の名前や値段を書いたりするが、その程度とも言える。

 さくっと書き終わった二人を横目に、登録用書類と悪戦苦闘。
 書くのは今現在のステータスだ。

「職業を既にお持ちですね、ではそれも……空気師?」

 受付のお姉さんが首を傾げる。
 空気師なんて職業は、やっぱり見たことがないという。

「そ、空の両親は他の大陸から渡って来た人なんだそうでっ」
「大森林に到着したときに、その……そ、そうです! 空さんはまだその時お母さまのお腹の中で──」
「そ、そう! 出産のためにエルフの里に留まっていたんだけど、産んだら子供を置いてどっかいっちゃって」

 俺、ものすごく酷い親に捨てられた赤ちゃんになっちまったぞ。
 それを聞いて受付嬢のお姉さんが目に涙を蓄える。
 同情されてる。めちゃくちゃ同情されてるじゃん!

「頑張ってください、空さん。うっうっ。試験は実技テスト、あと簡単な依頼を受けて頂く形になっています」
「依頼、ですか?」
「はい。お使いですので、そう難しくはありません。それらを全て終えた後、審査期間を頂きます」

 審査期間はだいたい十日前後。
 十日!?
 その間、ずっとこの町に滞在しなきゃならないのか……。

 苗木、買えるかぁ?
しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...