ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~

夢・風魔

文字の大きさ
29 / 52
2章

第──29

しおりを挟む
「動物が好む木ねぇ。食べるっていう意味だろ?」
「そう。食べるっていう意味」

 前回と同じ植木屋さんに苗木を買いに来た。
 具体的にどれがいいかというのが分からず、店の人にお任せだ。
 もちろんリシェルとシェリルがチェックする。あと毛玉もだ。

 残り4800ルブのうち、宿泊代や食事代のことを考えて2000ルブで買えるだけ買うことにした。
 少し大きなものだとやっぱり値段が高く、数で勝負するために小さなものを選んだ。
 だいたい40本ぐらい買えたかな。

「毎度あり! また来てくださいよ、待ってるぜ」
「……どうも」

 そう何度も何度も来てたまるか!

 苗木を買ったあとはシェリルのブラシだ。
 ビーズのような光る小さな石で葉っぱの模様が描かれた、ザ・乙女! みたいなブラシを買うと、当然リシェルが羨ましそうにするわけで。

「リシェルの分も買おう。どうせ三人で稼いだお金なんだし」
「はい!」

 リシェルは花柄のブラシだ。
 こういう好みも二人は微妙に違うみたいなんだよなぁ。

 それから宿だが……。

「二人は宿に泊まればいいのに……」
「でもそれじゃあ私たちが納得できませんっ」
「そうよ。わたしたちいつだって一緒なんだから。だって……こ……ここ……こ」

 鶏か?

「ふふふ。空さんと私、それにシェリルは恋人同士ですもの。いつだって傍にいたいんです」
「あぁ、恋人の『こ』ね──」

 ってめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?

 結局みんなで町の外にテントを張って寝ることになった。
 ご飯は屋台で好きな物を少しずつ買って分けて食べる。美味しいものをあれこれ食べられる、いい買い物の仕方だ。
 買い物をした一軒の屋台で、毛玉を見たオヤジさんが「ん」と不愛想な顔で野菜のクズをいろいろくれて……毛玉歓喜。

 屋台通りにはベンチがあちこちある。
 冷めては勿体ない。
 その辺で飯を食って、それから町をでた。
 出て人気を避けるために少し離れた所にテントを張る。

「実技テストって、何かしら?」
「実際にモンスターと戦うのでしょうか?」
「んー、違うんじゃないかなぁ」

 毛玉を洗うのに借りた井戸。その周辺は運動場のように土で固められた少し広い場所だった。
 あそこはギルドと他の建物でぐるっと囲まれていて、案山子というか、木人形っていうのかな。そういうのがいくつかあったし。
 たぶんあそこでテストするんだろう。

「明日行ってみれば分かるさ」
『ぎゅうぅぅぅぅ』
「お前はまた石鹸で洗われると思っているのか。大丈夫だって。──ヨゴレナケレバナ」
『きゅっ……!?』





 その翌日。
 朝食を町の屋台で済ませ、いざ冒険者ギルドへ!

「おはようございます。登録試験を受けに来ました」
「はい、おはようございます。今日は素材の鑑定、ありませんよね?」

 そう、受付のお姉さんは笑顔でそういう。何故か半歩後退して。

 よっぽど嫌なのか!?
 だって毎日定期的に売りに来れる訳じゃないし、仕方ないじゃん!

「今日はありません。それで、試験は?」
「ほっ。お待ちください。今試験官を呼んできますので」

 安堵しきった様子で、受付嬢は奥の部屋へと向かった。

「私たち、そんなに大量の素材を持ち込んでいたのでしょうか?」
「でも町まで遠いんだから、毎日来れないし仕方ないわよね」
「俺もそれ思った。仕方ないよなー」

 三人で頷きあってると、さっきの受付嬢がマッチョのギルドマスターを連れて戻って来た。
 まさかギルドマスターが試験官?

「おう。お前らか。まぁあんだけ魔物産の素材を持ってくるんだ、大丈夫だろう」

 ギルドマスターはそう言って白い歯を見せる。
 こっちだと案内されたのは、やっぱり裏手の運動場(仮)だ。
 そこで何やらギルドマスターが木材をあちこちに運ぼうとしている。

「あの、手伝いましょうか?」
「んお? いいのか、じゃあそれをあっちに持って行ってくれ」
「はい」
「じゃあわたしたちも」
「はい、お手伝いいたします」
「いや悪いねぇ、お嬢ちゃんたちにまで」

 運ぶのはいいとして、これどう見ても陸上競技で見るハードルなんですけど?
 それの木製版。
 他にも平均台、跳び箱、梯子──これは横倒しにしてくぐれってことか?

 おい、じゃあ試験って、

「障害物競争かよ!?」 

しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

処理中です...