幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました

マルローネ

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1話 幼馴染に婚約者を奪われた

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 こんなことがあって良いのだろうか……本当に信じられないことが、目の前で起こっていたのだ。


「私は夢を見ているのでしょうか……?」

「夢ではない、これは現実だ」

「そんな……」

 私の婚約者であるアウザー様からの言葉だ。アウザー様は侯爵令息であり、伯爵令嬢の私よりも地位は上になる。

 彼が言った現実というのは、彼の隣に立っているメリス・ローク伯爵令嬢のことを指している。彼女は私の大切な幼馴染の一人である。それなのに……。


「メリス……本当にアウザー様と……?」

「ごめんね、ミアスタ。私は貴方を裏切るつもりなんてなかったのだけれど……どうしても、愛には勝てなかったのよ」

「ふざけないでよ、メリス! どうして……信じられない!」

「うふふ、ごめんなさいね」


 メリスは全く焦っている様子はなかった。私は彼ら二人が寝室で何をしていたのか、見てしまったのだから。裏切るつもりはなかったなんて、とても信じられない。その証拠に彼女は笑っていたし……本当に許せないわ。

 私は怒りに震えていた。しかし、二人は平然としている……この温度差は一体何なのだろうか。


「アウザー様! 彼女と……メリスと浮気していたのですよね!?」

「見てわかるだろう? お前はさっき、何を見たのだ? あれを浮気ではないとして、なんだと言うのか」

「その通りよ、ミアスタ。流石に察しが悪すぎるわ」

「……!!」


 アウザー様とメリスは私を小馬鹿にしたように笑っていた。とても、浮気がバレた相手がする態度だとは思えない。どこまでも余裕の態度だ。

「最早、言うまでもないと思うが……ミアスタ。お前とは婚約破棄をさせてもらう。こんなヒステリックな奴と一緒には居られないからな」

「ヒステリック……?」


 それは私のことなのだろうか? 浮気相手に怒るのは普通のことだ。アウザー様は自分の非を認めないどころか、私が悪いと言いたいようだ。だからこその婚約破棄、ということなのだろう。

 こんなことはあり得ない……アウザー様がこんなことをするなんて……。


「ヒステリックじゃない。さっきから一人で怒っているだけだし。安心していいわよ、アウザー様は私が幸せにするから」

「ははは、そういうことだ。済まないな、ミアスタ……そういうことだから。今すぐ私の前から消えてくれ」

「アウザー様……そんな……」


 どこまでも平然とした様子で残酷なことを言ってのけていた。ますます信じられない……どうなっているの? 私が最初に夢を見ているのではないか、と考えたのはこの態度を見たからだ。二人は裸から、本当に自然に服を着始めたわけで……。

 私は悲しみの余り、その場に崩れ落ちてしまった。その後、どうやって自分の屋敷に帰ったのかは覚えていない……。こんな日が訪れるなんて考えもしなかった。
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