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14話 重要な舞踏会 その2
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「エリザ・ガーランド公爵令嬢、お久しぶりやな。元気にしとりましたか?」
「は、はい……ファブナー・エッセル公爵。エッセル公爵もお元気そうで何よりでございます」
私はシリカとファブナー様の二人と会っていた。ファブナー様に挨拶をするけれど、このお方の独特な口調には未だに慣れない。ファブナー様の先祖は東方から来たのだそうで、その口調は先祖からの名残りなんだとか。本当かどうかは分からないけど。
「アルゼイ王子殿下、お久しぶりでございますな。お元気そうで嬉しいですわ」
「ありがとうございます、エッセル公爵。エッセル公爵もお元気そうですね」
「そらもう……僕なんて、元気さだけしか誇れるところがありませんからね」
重要な舞踏会にも関わらず、ファブナー様は平常運転のようだった。いえ、本人は至って真面目なのは分かっているけれど、話し方にどうしても違和感を持ってしまう。ファブナー様曰く、この方言は抜けないのだとかなんとか。あと、彼の国ではそういう方言で話す貴族も多いらしく、自然体を許してこその国家という方針があるらしい。
公爵であるファブナー様はその最先端ということなんだと思う。
「姉さま、相変わらず固いんだから。もっと、ファブナー様みたいに自然体でいればいいのに……」
「そう簡単にはいかないわよ、まったく」
シリカは私の隣に立ちながら、欠伸をしていた。ファブナー様と一緒だからって、気が抜けているわね……。これから、他の貴族の方々とも挨拶が控えているというのに。よ~し、少しだけからかってみようかな。
「それにしても……シリカは、エッセル公爵と仲が良くて羨ましいわね。あまり、迷惑を掛けないようにしなさい」
「姉さまこそ、気負い過ぎてアルゼイ王子殿下の前で恥をかかないようね。スペックは申し分ないんだから、緊張し過ぎないこと。わかった?」
「なっ……!」
軽くいなされてしまった……いけない、何か言ってやらないと。微妙に誉め言葉が入っているのが嬉しいと感じてしまったことが悔しい。
「シリカはエッセル公爵のことしか考えられないんだから、この間だって……」
「姉さま正解。私はファブナー様のことしか考えられないのよ。流石は私の姉さまですね!」
「シリカ、あなた……」
シリカはまったく恥ずかしがっている素振りを見せていない。とても自然体だった。しかも「姉さま」って少しだけ呼び方を変えているし。ファブナー様もいらっしゃるから、公式の場の雰囲気に少し合わせてるのかしら? なんとも中途半端なのが気になるけれど……。
それにしても……ダメだ、シリカを恥ずかしがらせる方法が思いつかない。全部余裕で返されてしまいそうなのが悔しい……。
「ははは、シリカ嬢と仲が良いのだな。姉妹の仲が良いのは貴族としても、重要だと思うぞ?」
「アルゼイ様……仲が良いというのでしょうか。最近、分からなくなってきました」
「何を言ってるのよ、姉さま。こんなに姉さまのことを愛しているのに」
「はいはい、わかったわ。ありがとう」
「適当に言ってるでしょ、もう……!」
「ははははっ、ええやんええやん。こういう雰囲気は貴族としては珍しいやん。やっぱり、舞踏会は楽しまないといけませんからな、ほんまに」
ファブナー様が陽気に声を出していたけれど、それに真っ先に反応したのはアルゼイ様だった。
「そうですね、エッセル公爵。両国間の親交もこのくらい楽しめるものになれることを、祈っておりますよ」
「僕もそう願ってますわ、よろしゅうお願いします」
サンマルト王国とエラルド王国……両国間の架け橋にシリカがなれれば、一気に友好関係は進みそうだけどね。果たしてどうなるかしら。さて、そろそろ他の貴族の方々がにも挨拶を……と、思った時だ。「それ」は起こった。
「フリック王子殿下……まさか、この舞踏会に出られているとは」
「キングダム侯爵か。ふふふ、だからなんだと言うのかな?」
なんだか、前にも見た光景がそこにはあった。キングダム侯爵とフリック王子殿下が話していたのだ。でも、今回はフリック様は余裕そうにしているわね。前とは違う雰囲気を醸し出している。もしかしたら、随分と成長したのかもしれない。隣に立っているシャーリー嬢にも余裕が感じられるし。
「は、はい……ファブナー・エッセル公爵。エッセル公爵もお元気そうで何よりでございます」
私はシリカとファブナー様の二人と会っていた。ファブナー様に挨拶をするけれど、このお方の独特な口調には未だに慣れない。ファブナー様の先祖は東方から来たのだそうで、その口調は先祖からの名残りなんだとか。本当かどうかは分からないけど。
「アルゼイ王子殿下、お久しぶりでございますな。お元気そうで嬉しいですわ」
「ありがとうございます、エッセル公爵。エッセル公爵もお元気そうですね」
「そらもう……僕なんて、元気さだけしか誇れるところがありませんからね」
重要な舞踏会にも関わらず、ファブナー様は平常運転のようだった。いえ、本人は至って真面目なのは分かっているけれど、話し方にどうしても違和感を持ってしまう。ファブナー様曰く、この方言は抜けないのだとかなんとか。あと、彼の国ではそういう方言で話す貴族も多いらしく、自然体を許してこその国家という方針があるらしい。
公爵であるファブナー様はその最先端ということなんだと思う。
「姉さま、相変わらず固いんだから。もっと、ファブナー様みたいに自然体でいればいいのに……」
「そう簡単にはいかないわよ、まったく」
シリカは私の隣に立ちながら、欠伸をしていた。ファブナー様と一緒だからって、気が抜けているわね……。これから、他の貴族の方々とも挨拶が控えているというのに。よ~し、少しだけからかってみようかな。
「それにしても……シリカは、エッセル公爵と仲が良くて羨ましいわね。あまり、迷惑を掛けないようにしなさい」
「姉さまこそ、気負い過ぎてアルゼイ王子殿下の前で恥をかかないようね。スペックは申し分ないんだから、緊張し過ぎないこと。わかった?」
「なっ……!」
軽くいなされてしまった……いけない、何か言ってやらないと。微妙に誉め言葉が入っているのが嬉しいと感じてしまったことが悔しい。
「シリカはエッセル公爵のことしか考えられないんだから、この間だって……」
「姉さま正解。私はファブナー様のことしか考えられないのよ。流石は私の姉さまですね!」
「シリカ、あなた……」
シリカはまったく恥ずかしがっている素振りを見せていない。とても自然体だった。しかも「姉さま」って少しだけ呼び方を変えているし。ファブナー様もいらっしゃるから、公式の場の雰囲気に少し合わせてるのかしら? なんとも中途半端なのが気になるけれど……。
それにしても……ダメだ、シリカを恥ずかしがらせる方法が思いつかない。全部余裕で返されてしまいそうなのが悔しい……。
「ははは、シリカ嬢と仲が良いのだな。姉妹の仲が良いのは貴族としても、重要だと思うぞ?」
「アルゼイ様……仲が良いというのでしょうか。最近、分からなくなってきました」
「何を言ってるのよ、姉さま。こんなに姉さまのことを愛しているのに」
「はいはい、わかったわ。ありがとう」
「適当に言ってるでしょ、もう……!」
「ははははっ、ええやんええやん。こういう雰囲気は貴族としては珍しいやん。やっぱり、舞踏会は楽しまないといけませんからな、ほんまに」
ファブナー様が陽気に声を出していたけれど、それに真っ先に反応したのはアルゼイ様だった。
「そうですね、エッセル公爵。両国間の親交もこのくらい楽しめるものになれることを、祈っておりますよ」
「僕もそう願ってますわ、よろしゅうお願いします」
サンマルト王国とエラルド王国……両国間の架け橋にシリカがなれれば、一気に友好関係は進みそうだけどね。果たしてどうなるかしら。さて、そろそろ他の貴族の方々がにも挨拶を……と、思った時だ。「それ」は起こった。
「フリック王子殿下……まさか、この舞踏会に出られているとは」
「キングダム侯爵か。ふふふ、だからなんだと言うのかな?」
なんだか、前にも見た光景がそこにはあった。キングダム侯爵とフリック王子殿下が話していたのだ。でも、今回はフリック様は余裕そうにしているわね。前とは違う雰囲気を醸し出している。もしかしたら、随分と成長したのかもしれない。隣に立っているシャーリー嬢にも余裕が感じられるし。
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