有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

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26話 現れたフリック その2

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「フリック様……」

「むむ、エリザも一緒だったのか……」


「は、はい……」


 フリック様はアルゼイ様の許可を経て、彼の私室に入って来た。彼と直接話すのは随分、久しぶりに感じる……期間としては、そこまで間が空いているわけではないけれど。少し、気まずい雰囲気を作ってしまった。アルゼイ様にも申し訳なかったかもしれない。


「ふむ、まあエリザのことはこの際、良いだろう。それよりもフリック、一体、どうしたと言うのだ?」

「は、はい……実はアルゼイ兄さまにご相談したいことがありまして……」

「ほう、相談とな?」


 アルゼイ様も意外そうな表情になっていた。私としてもフリック様から出て来た言葉は意外だった。まさか彼が、アルゼイ様に相談を持ち掛けてくるとは思っていなかったから。今更どの面下げて……という思いが強かったけれど、彼は私に助けを求めていたわけではないので、ギリギリ許されるのかもしれない。

 個人的にはアルゼイ様に助けを求めるのもおかしいとは思うけれど。まあ、そこは私が言っても始まらないわね。

「私はキングダム侯爵に付き纏われていまして……」

「ああ、そういえばそうだったな。お前のことを応援しているのだろう? 素晴らしいことではないか、王位継承争いにも優位に働くのではないか?」

 アルゼイ様は表向きは、フリック様とルービック・キングダム侯爵の関係を褒めているようだったけれど、そこには明らかな皮肉が混じっているように感じられた。フリック様もそれは感じたのか苦笑いになっている。フリック様も良い方向かどうかはともかくとして、相手の心理を読める程度には成長なさっているようね。

 私と婚約関係にあった時は本当に周りの見えていないお方だったから。その変化に私は驚かされた。何よりもキングダム侯爵を怪しく感じているところは評価に値すると思われる。

 私が偉そうに言えることではないけれど、個人的なフリック様の評価はそのようになっていた。


「いや、アルゼイ兄さま。もう既にお分かりかもしれませんが、キングダム侯爵は私を利用することしか考えていないように思えます。最初こそ信用したのですが……やはり後になって考えてみると、不自然な点が多くありまして」

「なるほど、自らそこまでの考えに至ったのか。大したものだな、フリック」

「いえ……我が婚約者である、シャーリーのおかげでもあります……」

「なるほど、そういうことか」


 フリック様は気のせいか……少しだけ丸くなったように思えた。もしかして、シャーリー様も丸くなっているのかしら? 少なくとも、目の前の彼からは婚約破棄をした当時の雰囲気は感じられなかった。最近、色々なことがあっただろうから疲れているのかもしれないわね。

 フリック様のことを認めることは出来ないけれど、私の中での好感度は少しだけマシになっていた。

 それにしても、やはり注意すべきはキングダム侯爵なのかもしれないわね。今後の為にも、フリック様からはどういう話があったのかもっと詳しく聞かないといけない。私はアルゼイ様の様子を伺ったけれど、彼も同じ気持ちのようだった。
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