有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

文字の大きさ
27 / 40

27話 計画 その1

しおりを挟む
 フリック王子殿下視点……。


「それでは、失礼いたします……」

「ああ、ではまたなフリック」

「フリック様、さようなら」


 私は一礼をしてアルゼイ兄さまの部屋を後にした。エリザが同席していたのは意外だったが、概ねは上手く行ったと言えるだろう。アルゼイ兄さまもエリザの奴もすっかり私が改心したと思い込んでいたようだからな。まあ、そもそもの問題として、改心する必要もないわけだが……。


「上手くいきましたかな? フリック王子殿下」

「キングダム侯爵か……」


 しばらく廊下を歩いているとキングダム侯爵に出くわした。私がアルゼイ兄さまの部屋に行ったことは、承知しているようだな。


「フリック王子殿下……アルゼイ王子殿下のところへ向かったということは、私の提案に賛同していただいたと考えてよろしいのですかな?」

「ふん、まだまだ、信用に値する話ではないが……まあ、一応は計画通りに改心を装ってやったぞ」

「左様でございますか、ありがとうございます。これで、話が進めやすくなったかと思われます。ああ、これ以上はマズイですので、これにて失礼……」

「ふん……」


 キングダム侯爵は怪しい笑みを浮かべながら去って行った。全ては奴の手の内ということなのか? 何か……癪に障るが仕方ない。私が得る恩恵を考えれば、奴の話に乗る方が賢いと言えよう。例え、兄さまや父上を裏切ることになったとしてもな。



----------------------------------



「フリック様……」

「シャーリーか、済まないがコーヒーを淹れてくれないか? ミルクとシロップも付けてな」

「は、はい……畏まりました……」


 シャーリーは二人分のコーヒーの用意を始めた。ここに居るということは、何か思うところがあって来たのだろうな。まあ、仕方ない。話を聞いてやるとするか……こいつはキングダム侯爵を信用していないようだが。


「あの、フリック様……本気なのでしょうか?」

「本気? 何のことだ?」

「キングダム侯爵のことです……」


 やはりその話になったか……シャーリーはやはり、奴を信用していないのだな。


「既にアルゼイ兄さまとエリザには、私が改心しているという芝居を打っておいた。計画はこれから始まるわけだ」

「しかし……それは、サンマルト王国全体を裏切る行為になってしまいます……第三王子殿下であるフリック様がそんなことをすれば、王国内で大規模な内乱が発生するかもしれないのですよ!?」


 大規模な内乱……まあ、確かにあり得ないことではないな。だが、当然だが手は打ってある。


「その頃には私達は、隣国のエラルド王国で悠々自適な生活を送っている手筈だ。どのみち、このままここに居ても、兄さま達に国王の座を奪われてしまうだろう。トップに立てないのが確実であるならば……サンマルト王国に拘る必要などない」

「フリック様、あなたという人は……」

「心配するな、シャーリー。お前は大切な幼馴染だ。しっかりと面倒は見てやる。安心して付いて来るがよい」


 シャーリーも既にこちらの片棒を担いでしまっているのだ。キングダム侯爵や私の言う通りに動くしかあるまい。この計画の行きつく先は……自由で快適な生活。一生金に困ることもない……毎日、歓楽街に乗り出すことも容易だろう。まさに人間として、理想の生活じゃないか! ふははははははっ。
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。

乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。 唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。 だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。 プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。 「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」 唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。 ──はずだった。 目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。 逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】 社交界を賑わせた婚約披露の茶会。 令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。 「真実の愛を見つけたんだ」 それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。 愛よりも冷たく、そして美しく。 笑顔で地獄へお送りいたします――

婚約破棄された公爵令嬢は真の聖女でした ~偽りの妹を追放し、冷徹騎士団長に永遠を誓う~

鷹 綾
恋愛
公爵令嬢アプリリア・フォン・ロズウェルは、王太子ルキノ・エドワードとの幸せな婚約生活を夢見ていた。 しかし、王宮のパーティーで突然、ルキノから公衆の面前で婚約破棄を宣告される。 理由は「性格が悪い」「王妃にふさわしくない」という、にわかには信じがたいもの。 さらに、新しい婚約者候補として名指しされたのは、アプリリアの異母妹エテルナだった。 絶望の淵に突き落とされたアプリリア。 破棄の儀式の最中、突如として前世の記憶が蘇り、 彼女の中に眠っていた「真の聖女の力」――強力な治癒魔法と予知能力が覚醒する。 王宮を追われ、辺境の荒れた領地へ左遷されたアプリリアは、 そこで自立を誓い、聖女の力で領民を癒し、土地を豊かにしていく。 そんな彼女の前に現れたのは、王国最強の冷徹騎士団長ガイア・ヴァルハルト。 魔物の脅威から領地を守る彼との出会いが、アプリリアの運命を大きく変えていく。 一方、王宮ではエテルナの「偽りの聖女の力」が露呈し始め、 ルキノの無能さが明るみに出る。 エテルナの陰謀――偽手紙、刺客、魔物の誘導――が次々と暴かれ、 王国は混乱の渦に巻き込まれる。 アプリリアはガイアの愛を得て、強くなっていく。 やがて王宮に招かれた彼女は、聖女の力で王国を救い、 エテルナを永久追放、ルキノを王位剥奪へと導く。 偽りの妹は孤独な追放生活へ、 元婚約者は権力を失い後悔の日々へ、 取り巻きの貴族令嬢は家を没落させ貧困に陥る。 そしてアプリリアは、愛するガイアと結婚。 辺境の領地は王国一の繁栄地となり、 二人は子に恵まれ、永遠の幸せを手にしていく――。

婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。  レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。  知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。  私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。  そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。

婚約者の姉を婚約者にしろと言われたので独立します!

ユウ
恋愛
辺境伯爵次男のユーリには婚約者がいた。 侯爵令嬢の次女アイリスは才女と謡われる努力家で可愛い幼馴染であり、幼少の頃に婚約する事が決まっていた。 そんなある日、長女の婚約話が破談となり、そこで婚約者の入れ替えを命じられてしまうのだったが、婚約お披露目の場で姉との婚約破棄宣言をして、実家からも勘当され国外追放の身となる。 「国外追放となってもアイリス以外は要りません」 国王両陛下がいる中で堂々と婚約破棄宣言をして、アイリスを抱き寄せる。 両家から勘当された二人はそのまま国外追放となりながらも二人は真実の愛を貫き駆け落ちした二人だったが、その背後には意外な人物がいた

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

処理中です...