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15話 逆転 その3
しおりを挟む「ふ、フラック王子殿下……! どうしてここに……?」
「やあ、エメリ嬢。先ほどの話は全て聞いていたよ」
「さ、左様でございますか……」
私は応接室に現れたフラック王子殿下に驚きを隠せなかった。ルドルフ様達が来たのを見計らって、お母様達が呼んだとしたら、流石に早すぎるし……王子殿下を呼び出すことは、いくらなんでも失礼過ぎるし。
「フラック王子殿下は、何か別の目的で屋敷に事前に来ていたのですか……?」
「流石に察しが良いなエメリ嬢。私達、王家の為に聖女の能力を行使してくれて、非常に助かっていた。だから、サプライズで私がこの屋敷に来て君を驚かせようと企画していたんだ。君の母君の提案だがね」
「な、なるほど……そんなことがあったのですね……」
確かにお母様ならそのくらいのことを企画しそうだけれど……と、いうことは、その企画の途中でルドルフ様達が訪れるというサプライズが重なったというわけか。凄い偶然ね……咄嗟にお母様は予定を変更して、フラック王子殿下に聞き耳を立てるようにお願いしたのだろうけれど。
「お、王子殿下……ご無沙汰しております……」
ラグディ様はフラック王子殿下に挨拶をするけれど、今更としか言いようがなかった。フラック王子殿下も首を左右に振っているし。
「そんな挨拶はいまさら不要だ、ラグディ殿。我が宮殿で働いている人間を勧誘するとは、なかなか見上げた根性ではないか? しかも、宮殿での仕事の合間にコーブル公爵家が管理する仕事を手伝え、とも言っていたな?」
「そ、それは……あの、その……!」
ラグディ様は先ほどまでとは一転し、明らかに焦った様子を見せていた。直前までの強気な態度が消え去っているのだ。これには私だけでなく、リシア様も苦笑いを隠せないようだった。
「ラグディ様、フラック王子殿下には正直にお答えした方が賢明だと思われますが……如何でございますか?」
「リシア嬢……確かにそうかもしれんな」
「それで? エメリ嬢を強引に勧誘しようとしていたことは認めるのだな?」
「は、はい……申し訳ありません……」
ラグディ様は流石にシラを切るのは不可能と判断したのか、リシア嬢からの助言を受け入れ謝罪したのだった。
「まったく……コーブル家の人間ともあろう者が、無茶な条件を出したものだな。聖女の祈りという仕事は決して、楽なものではないというのに。それも、婚約破棄をした相手にろくな謝罪もしない内に」
「さらには、10万ルベールを対価として貰い受けているエメリ嬢に、1万ルベールで雇用しようと考えていたのですから……なんとも、滑稽でございますわね」
「確かにそうだな」
「えっ……10万ルベール……!?」
事情を知らないルドルフ様が、フラック王子殿下とリシア様を交互に見渡していた。確かに10万ルベールの給料を出す仕事場と1万ルベールの仕事場では、天と地と言えるけれど。しかも、職場環境も10万ルベールの仕事場の方が良いので猶更だ。
それにしても、リシア様は最初から私が10万ルベール貰っていることも知っていたのね。これも、事前に情報を仕入れていたのかしら? それとも、フラック王子殿下と何か関係があったりするの……?
私はリシア様とフラック王子殿下の自然な会話に違和感を感じていた。
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