元婚約者がマウント取ってきますが、私は王子殿下と婚約しています

マルローネ

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6話 ディノスとメリナ その2

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「先程は気分の悪い話を蒸し返してしまって、済まなかったな」

「気にしないでください、ケルビン様に分かっていただけただけでも救いになっています」

「そうか……それなら嬉しいが」


 私とケルビン様はその後も話をしていた。ディノス様の理不尽な婚約破棄と噂話の流布の件で、ケルビン様は怒ってくれたけれど、私が宥めたのだ。彼に余計な心労を与えるのは本意ではなかったから。彼とは出来る限り楽しい会話をしたいと考えていた。


「よかったら今度、前のレストランに行ってみないか? リニューアルされて、かなり料理の種類も増えたらしいぞ」

「前のレストランって……貴族街にあった、あのレストランでしょうか?」

「そう、あのレストランさ」


 3年以上前の話だけれど、私は何度かケルビン様と食事をしたことがある。これは私の中での大きな自慢になっていた。非常に楽しい思い出だ。そうか、あのレストランがリニューアルされて……。


「一緒に行く……と言う意味でしょうか?」

「ああ、特に問題はないだろう?」

「わ、私は大丈夫ですが……ケルビン様は問題ないのですか?」

「ああ、その辺りは気にしなくても問題ないさ。では、また都合の良い日にでも行くとしようか」

「はい……わかりました」


 楽しい約束を交わしてしまった。理不尽な婚約破棄をされて憔悴していただけに、この約束はとても嬉しい。心が晴れやかになるというものだ。


「おっと……ジアン・デノム公爵が来ているようだ。済まない、リディア。少し話をしてくるよ」

「畏まりました。私はこの辺りで待機しております」

「わかった。それでは行って来る」


 ケルビン様は手を振ってそのまま私の傍から去って行った。急に手持ち無沙汰になってしまったわね……テーブルに置いてある食べ物を片っ端から食べて行こうかしら? 太るかな……。

「リディア様、王子殿下ともっとお話されていたかったのですね?」

「それはそうね。やっぱり、ケルビン様とお話するのはとても楽しいわ」

「それは良かったです」


 シェリーとそんなことを話していると、私達の前にとある人物が現れた。ん? なんだか嫌な気配が……。


「くくくく、リディアではないか。憔悴しきったような顔つきになっているな」

「本当ですわね、あははははは」

「ディノス様……それから、メリナ様も……」


 最悪のタイミングで現れた二人だった。まさか、ケルビン様が去って行った直後に出くわすなんて……。理不尽な婚約破棄の件を嫌でも思い出してしまう相手。なんで私の前に現れるのだろうか……信じられない。
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