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7話 ディノスとメリナ その3
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「ディノス様……」
最悪なタイミングでの再会……私は思わず眉を潜めてしまう。隣には浮気相手のメリナ様の姿もあるし、嫌なことが倍になった気分だわ。
「せっかく私が声を掛けてやったのに、随分と睨んでくるじゃないか? ええ?」
「睨んではいませんが……何か心当たりでもあるんですか?」
ディノス様はあんなことをしておいて、私に通常通りの挨拶を求めているようだ。そんなことはしたくなかったので、私は二人に言い返す。
「心当たりだと……? 言うじゃないか。まさか、侯爵令息である私にそんな口が聞けるとはな。驚いたぞ」
「婚約破棄をした相手に敬意を持てと? どうやったら持てるのでしょうか……教えていただきたいものです」
「貴様……」
明らかにディノス様の雰囲気が変わった。私は気丈に振る舞っているけれど、これでも心臓がバクバクしている。何が悲しくて上位貴族に口答えしないといけないのか。侯爵令嬢のメリナ様も私を睨んでいた。
「まあ、たかが伯爵令嬢ごときのあなたが、ディノス様にそんな口を聞くなんて! どんな教育を受けて来たのかしら……本当に失礼しちゃうわね!」
「……」
私は敢えてメリナ様には反論しなかった。その態度が彼女をさらに腹立たせたようだ。
「ちょっと、聞いているの!?」
「聞いていますよ……そんなに大声を出さないでください。周囲の方々に迷惑でしょう?」
「なっ……!」
メリナ様は歯を食いしばっていたけれど、周囲の貴族達の反応を見て、口を塞いだ。これ以上叫ぶのは得策ではないと判断したらしい。いや、もう既にそんなレベルは超えているんだけどね。
「少し落ち着くんだ、メリナ。私達が慌ててどうする?」
「も、申し訳ありませんですわ……」
「私達はリディアと罵り合いに来たわけではないだろう?」
「そ、そうでしたわね……迂闊でしたわ。狡猾なリディア嬢の罠に嵌められるところでした」
メリナ様はとんでもないことを言いだした。彼らの設定では私は狡猾なキャラで通っているのね。だから、婚約破棄をしたという風にしたいわけか……最低だわ。
「しかし……寂しそうだな、リディアよ。せっかくのパーティーだというのに……相手は居ないのか?」
「ディノス様が根も葉もない噂を流したおかげで、私に近づく方が限られております」
「ふはははは、そうだったか。それは傑作だな。その事実を知りたかったのだよ」
「本当に傑作ですわね、リディア嬢。先ほどは偉そうにしてくれましたけれど、本音では私達の関係が羨ましいのでしょう? 顔に書いてありましてよ?」
そう言いながら、メリナ様はディノス様に抱き着いて見せた。私が本当に悔しがっていると思っているのかしら?
もしかすると、メリナ様は頭の方が少し……。
私は自慢する気なんてないけれど、一応はケルビン・アウガスト第二王子殿下と話をしていたのだけれど。何時、その事実を言おうか迷ってしまった。周りの貴族の何人かもその辺りが分かっているのか、ディノス様とメリナ様を笑っているようだった……。
最悪なタイミングでの再会……私は思わず眉を潜めてしまう。隣には浮気相手のメリナ様の姿もあるし、嫌なことが倍になった気分だわ。
「せっかく私が声を掛けてやったのに、随分と睨んでくるじゃないか? ええ?」
「睨んではいませんが……何か心当たりでもあるんですか?」
ディノス様はあんなことをしておいて、私に通常通りの挨拶を求めているようだ。そんなことはしたくなかったので、私は二人に言い返す。
「心当たりだと……? 言うじゃないか。まさか、侯爵令息である私にそんな口が聞けるとはな。驚いたぞ」
「婚約破棄をした相手に敬意を持てと? どうやったら持てるのでしょうか……教えていただきたいものです」
「貴様……」
明らかにディノス様の雰囲気が変わった。私は気丈に振る舞っているけれど、これでも心臓がバクバクしている。何が悲しくて上位貴族に口答えしないといけないのか。侯爵令嬢のメリナ様も私を睨んでいた。
「まあ、たかが伯爵令嬢ごときのあなたが、ディノス様にそんな口を聞くなんて! どんな教育を受けて来たのかしら……本当に失礼しちゃうわね!」
「……」
私は敢えてメリナ様には反論しなかった。その態度が彼女をさらに腹立たせたようだ。
「ちょっと、聞いているの!?」
「聞いていますよ……そんなに大声を出さないでください。周囲の方々に迷惑でしょう?」
「なっ……!」
メリナ様は歯を食いしばっていたけれど、周囲の貴族達の反応を見て、口を塞いだ。これ以上叫ぶのは得策ではないと判断したらしい。いや、もう既にそんなレベルは超えているんだけどね。
「少し落ち着くんだ、メリナ。私達が慌ててどうする?」
「も、申し訳ありませんですわ……」
「私達はリディアと罵り合いに来たわけではないだろう?」
「そ、そうでしたわね……迂闊でしたわ。狡猾なリディア嬢の罠に嵌められるところでした」
メリナ様はとんでもないことを言いだした。彼らの設定では私は狡猾なキャラで通っているのね。だから、婚約破棄をしたという風にしたいわけか……最低だわ。
「しかし……寂しそうだな、リディアよ。せっかくのパーティーだというのに……相手は居ないのか?」
「ディノス様が根も葉もない噂を流したおかげで、私に近づく方が限られております」
「ふはははは、そうだったか。それは傑作だな。その事実を知りたかったのだよ」
「本当に傑作ですわね、リディア嬢。先ほどは偉そうにしてくれましたけれど、本音では私達の関係が羨ましいのでしょう? 顔に書いてありましてよ?」
そう言いながら、メリナ様はディノス様に抱き着いて見せた。私が本当に悔しがっていると思っているのかしら?
もしかすると、メリナ様は頭の方が少し……。
私は自慢する気なんてないけれど、一応はケルビン・アウガスト第二王子殿下と話をしていたのだけれど。何時、その事実を言おうか迷ってしまった。周りの貴族の何人かもその辺りが分かっているのか、ディノス様とメリナ様を笑っているようだった……。
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