元婚約者がマウント取ってきますが、私は王子殿下と婚約しています

マルローネ

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8話 王子殿下が訪れた その1

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 どうしようか……ケルビン様とのことを話すのは簡単だけれど。私は悩んでいた。

「あら、何も言い返せないの? 当然よね、ディノス様に無礼をはたらいて婚約破棄になったのだから。言い返せる言葉がなくて当然よね」


 やっぱりメリナ様は頭の方が少し弱いようだ。私が呆れて言い返せないと分かっていないらしい。本気で二人の仲を悔しがって、言い返せないと思っているようだ。もし、本当にそう思っているなら舐めないで、と言い返したいわ。

「メリナ様、どのように思われても個人の自由ですけど……」

「へえ、何が言いたいのよ?」

「あまり決めつけるのは良くないと思いますよ? 自分が思っている世界が全てと考えているなら……改めた方が良いと思います」

「な、なんですって……!?」


 思った通り、メリナ様は激昂していた。予想通りの反応だ。まだ、ディノス様の方が冷静みたいね。あんまり、私の言葉に反応している様子はないし。


「もう一度、言ってみなさいよ……侯爵令嬢である私に随分と偉そうな口が聞けるものね?」

「偉そうに言ったつもりはないですが……メリナ様、ご存知ないのですか?」

「はあ? 何のことよ?」


 やっぱりこの人は頭が弱いらしい……仕方がないので教えてあげることにする。パーティー会場で言うセリフではないけれどね。

「私は伯爵令嬢で、あなたよりも地位は低いですけれど……あなたも侯爵令嬢でしかありません。侯爵でない以上は、同じ貴族にそこまで偉そうにして良いものではありませんよ?」

「なっ……あんた……!」


 メリナ様はとんでもない顔つきになっていた。とても貴族令嬢とは思えない……。

「これは、ディノス様にも言えることです。その辺りのことは分かっているのですか?」

「ふん……なかなか言うじゃないか、リディアよ。必死で知恵を絞った結果がその言葉なのかな?」


 メリナ様とは違い、ディノス様は焦った様子を見せていない……この人を言い負かすにはこれくらいでは足りなかったか。メリナ様の方は既に相手になっていないけれど。

「私とお前の地位の差が、そんな言葉で埋まるとでも思っているのか?」

「思っていませんよ。私はただ、ケルビン王子殿下が来る前に考えを改めていただければ、と思っただけです」

「なに……ケルビン王子殿下だと……?」

「はい」


 ディノス様はその時点で初めて焦った表情になった。辺りを見渡している。すると、私達の会話が聞こえる位置にケルビン様の姿があったのだ……先ほどまでの話も聞かれていたでしょうね……。
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