婚約破棄ですか？ 優しい幼馴染がいるので構いませんよ

5話

(グレンデル視点)


「グレンデル、これで私は貴方と一緒に過ごせるのよね？」

「ああ、もちろんだよ。アレッサ。私達はこれで誰にも邪魔されることなく恋ができるのさ」

「まあ！　それはとても嬉しいわ」


　ベッドの隣には裸状態の彼女の姿がある。こうして見るとアレッサは本当に美人だ。しかも、侯爵令嬢という地位にも就いているのだ。彼女と一緒になるのは私の将来にとって非常に明るいものとなるだろう。

「でも、グレンデル。大丈夫だったのかしら？」

「何がだい、アレッサ？」

「確か婚約者の方……確かアリス嬢と言ったかしら？　あの子に恨みを持たれたのでは？」

「ふふ、伯爵令嬢の力では侯爵である私に何かすることなど出来ないよ」


　実際に侯爵家と伯爵家の力の差は大きいのだ。大抵のことであれば揉み消すことが出来る。それに……アリスは私の完璧な理由付けによって何も言い返すことが出来ないでいた。

「アリスは最後、呆けた表情になっていたからな。抗議をしてくることは考えにくいよ」

「そう。だったら安心ね。それにしても……アリス嬢の悔しい表情は是非とも見てみたかったわ」

「ははは、これからいつでも見られるさ」


　これからパーティーなどで会う機会もあるだろう。それに、貴族街で出会う可能性だってあるはずなのだ。

　そういう時に私はアレッサを連れて声を掛ける。アリスの隣には誰もいないという寸法だ。彼女は一体、どういう想いで私達を見るかな？


「アリスはもしかして、また私と婚約して欲しいと泣きついて来るかもしれないな」

「まあ、そんなことが！　でも、考えられるわね。どうするつもり？」

「ははは、もちろん丁重に断るさ」


　アリスは犠牲になったのだ。これも世界平和のため……私は相応の人物と一緒になって更なる高みを目指さないといけないからな。そういう意味ではアリスでは高みを目指せないということになる。

　済まないなアリス……これも残酷な運命というわけだ。


「グレンデル、私を捨てないでよ？　貴方とことは本当に愛しているんだから」

「当たり前だよ、アレッサ。君を捨てるわけないじゃないか」


　私達はその後、身体を再び重ね合った。いつでもやらせてくれる愛人……この存在は非常に重要だね。