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嵐の来訪者
第230話-決定的で、絶対的な差-
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「良く防いだ。多少はやるじゃないか」
「多少だ……?」
「一度たまたま防げただけだろうに。次はない、止めるなら今のうちだぞ」
呆れて溜息が出そうになった。
いや、分かっているけど、作戦のうちなのか……。
無いな。こいつがそこまでの奴だとは到底思えなかった。
「お前……本当に分かって無いんだな」
「何がだ?」
これで演技なら思わず尊敬しちまう。なんならこいつは騎士を目指すよりも劇団の役者でも目指した方がいい。天職になるだろうに。
「お前、実戦は初めてだろ。その槍も握った事はあっても人に向けた事ないだろ」
「それがどうした」
やっぱり。読み通りだ。
「それが俺とお前の決定的で、絶対的な差だ。お前じゃ俺には勝てねぇよ」
「意味の分からんことを!」
こっちの言葉に怒りを向けるように向かってくる。さっきと同じで勢いと速さのある突き技。
距離を詰めると槍の長さを活かしてこっちの武器の範囲外から攻撃を仕掛けてくる。
「止める機会は与えた! 怪我をしても恨むな!」
さっきと違って今度は足元への一撃。厄介な技だ、本来なら。
「な、何!?」
俺はそれを弾いた。受けるんじゃなくて、突きに合わせて横から武器で弾いた。
そして相手の槍が無防備な間に懐に入り込んで拳を握る。突き出した拳は胸元に直撃した。
手に感じたのは何かを押しつぶすような感覚。壁に拳が少しめり込む様な嫌な感覚。
「あっ、がぁ……うぇ」
殴った勢いで相手が少しの間宙に浮いて後ろに飛んだ。二メートル程飛んで地面に顔を擦り付ける様に落ちた。
見てる側としては痛そうで仕方ない。
上げた顔は呼吸がしづらいのか苦悶の表情を浮かべている。
「ふ、ふざけるな! お前なんかが! お前なんかが!」
さっきまでとは違って、余裕のない言動と共にこちらに槍を振るう。
横薙ぎ、穂での突き、石突での攻撃と余裕がないにしては多彩な攻撃をただただ当てたいが一心でむけて来る。
それを無心で捌く。
防御を釣って来るわけでも無いただの攻撃に恐れる事はない。特にこの戦いにおいては。
「遅いんだよ」
攻撃を捌いて今度は剣の柄部分で腕を打った。
それでも相手は止まらない。痛みを感じてはいるだろうに。それでも止まらない。
向かって来るウェルズの表情は焦りが浮かんでいる。必死なのは分かった。これ以上長引かせるのがもう可哀想になった。
本来戦いの際に向ける事はない峰の方を相手に向けた。
襲って来る攻撃に脅威はない。目の前の男はただの棒切れを振り回しているに過ぎない。
槍を振りかぶった瞬間を逃さずに横一閃を振るう。
「俺の武器が片刃で良かったな」
この一撃がこの戦いを終わらせる攻撃になった。
「多少だ……?」
「一度たまたま防げただけだろうに。次はない、止めるなら今のうちだぞ」
呆れて溜息が出そうになった。
いや、分かっているけど、作戦のうちなのか……。
無いな。こいつがそこまでの奴だとは到底思えなかった。
「お前……本当に分かって無いんだな」
「何がだ?」
これで演技なら思わず尊敬しちまう。なんならこいつは騎士を目指すよりも劇団の役者でも目指した方がいい。天職になるだろうに。
「お前、実戦は初めてだろ。その槍も握った事はあっても人に向けた事ないだろ」
「それがどうした」
やっぱり。読み通りだ。
「それが俺とお前の決定的で、絶対的な差だ。お前じゃ俺には勝てねぇよ」
「意味の分からんことを!」
こっちの言葉に怒りを向けるように向かってくる。さっきと同じで勢いと速さのある突き技。
距離を詰めると槍の長さを活かしてこっちの武器の範囲外から攻撃を仕掛けてくる。
「止める機会は与えた! 怪我をしても恨むな!」
さっきと違って今度は足元への一撃。厄介な技だ、本来なら。
「な、何!?」
俺はそれを弾いた。受けるんじゃなくて、突きに合わせて横から武器で弾いた。
そして相手の槍が無防備な間に懐に入り込んで拳を握る。突き出した拳は胸元に直撃した。
手に感じたのは何かを押しつぶすような感覚。壁に拳が少しめり込む様な嫌な感覚。
「あっ、がぁ……うぇ」
殴った勢いで相手が少しの間宙に浮いて後ろに飛んだ。二メートル程飛んで地面に顔を擦り付ける様に落ちた。
見てる側としては痛そうで仕方ない。
上げた顔は呼吸がしづらいのか苦悶の表情を浮かべている。
「ふ、ふざけるな! お前なんかが! お前なんかが!」
さっきまでとは違って、余裕のない言動と共にこちらに槍を振るう。
横薙ぎ、穂での突き、石突での攻撃と余裕がないにしては多彩な攻撃をただただ当てたいが一心でむけて来る。
それを無心で捌く。
防御を釣って来るわけでも無いただの攻撃に恐れる事はない。特にこの戦いにおいては。
「遅いんだよ」
攻撃を捌いて今度は剣の柄部分で腕を打った。
それでも相手は止まらない。痛みを感じてはいるだろうに。それでも止まらない。
向かって来るウェルズの表情は焦りが浮かんでいる。必死なのは分かった。これ以上長引かせるのがもう可哀想になった。
本来戦いの際に向ける事はない峰の方を相手に向けた。
襲って来る攻撃に脅威はない。目の前の男はただの棒切れを振り回しているに過ぎない。
槍を振りかぶった瞬間を逃さずに横一閃を振るう。
「俺の武器が片刃で良かったな」
この一撃がこの戦いを終わらせる攻撃になった。
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