悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ

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Time can only move forward

第261話-二人の我儘-

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「ほら、理由を教えてくれないと私何言ったらいいのか分からない」

 私の投げかけにようやく落ち着いてくれたのか、震えは収まっていた。それでも手だけは服を掴んでいる。

「分からないんです」
「何が?」
「フランソワ様と同じ記憶を共有出来ていたのに……。嬉しかったのに。ずっと……ずっと一緒にいられると思ったんです。なのに……フランソワ様が怒って、悲しそうにしているのを見ていたら……。どうすればいいのか分からなくなったんです」
「そうなのね。ゆっくり深呼吸しましょ。そしたら少しは考えも纏まるもの。私もさっきはびっくりしたの。私の知ってるアリスじゃないように見えたから」
「フランソワ様の知ってる私……?」
「そう。優しくて、可愛くて、人を惹きつけるの。すごいでしょう」
「それは……褒めすぎです」
「本当のことだもの」

 どうしてそんな事を思うのか。それは貴方の目線での物語を知っているから。

「フランソワ様は……やっぱり戻りたいのですか……?」
「戻りたい。戻らなきゃいけない。私も我儘言ってるけどね」
「我儘だなんて、そんな事ありません」
「あるわよ。だって本当なら一番最初の時間に戻さないといけないのよ。なのに私は前の時間に戻してって言ってるのよ。我儘でしかないでしょう」

 本来ならアリスが初めて時間を巻き戻した時まで戻すべきだと思う。だけど、これは私の我儘。

「私たち二人で我儘を言うの。私は前の時間に戻して欲しい。アリスはずっと私と一緒にいたいのよね。ずっとは一緒は難しいかも知れない。だけど、私たちはずっと友達なのは間違いないわ」
「フランソワ様は我儘ですね。私だけ妥協案だなんて」

 さっきの圧のある言葉はもうない。ただ、友達に対しての軽口だ。
 普段のアリスならこんな事を言わない。きっと思っても口に出さないだろう。だからこそ、私たちは今こそ本当の友達になれたのかも知れない。

「前の時間に戻せる?」
「多分……です」
「やった事ないのね」
「はい。でも、やってみます」
「私は何か力になれるかしら」

 アリスが今から何をするのかは分からない。呪文でも唱えるのか、はたまた魔法陣でも描くのか。だけど、それを彼女だけにさせたくない。私たち二人の我儘なんだから。

「このままで。もう少しこのままにさせて下さい」
「それでいいの?」
「はい。これだけです」
「話でもする?」
「全部が終わったら、また戻った時間でお昼を食べながらお話しがしたいです」
「分かった。その時は私、アリスにだけ少し話したいことがあるの。私の秘密」
「それは……とっても聞きたいです。だからやってみます」

 アリスが私の身体から離れた。目の周りが赤くなっている。ほんのりと言うよりかはがっつりとした赤の色。
 それでも様になっているのは顔がいいからなのか。それともアリスから流れる涙の質か。
 決意を決めた顔は可愛げのある少女から凛々しい顔つきになっていた。
 もう私からアリスにかける言葉はない。ただ目が合った瞬間に頷いた。私の頷きに返すようにアリスは今までに見たことないほどの頼もしい表情で力強く頷いた。

「私のお願いを聞いてください」
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