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第260話-揺れる心-
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「でもアリスそれは間違ってるわ。ずっと一緒にいられることなんてないのよ」
「そんな事はありません。ずっと同じ学院にいられるなら……そんな素敵な事はありません」
「それは本来おかしい事なの。それを分かって。そして前の時間に戻して」
アリスは首を横に振った。
「嫌です。そんな事よりこれならどうしていくかを……」
私はアリスの頬を叩いた。平手打ちがノーガードのアリスの頬に直撃していた。
白いアリスの肌をじんわりと赤に染める。紅潮ともまた違った色合いはどこか甘美な見た目をしていた。
「目が覚めた?」
呆然としているアリスは自分の叩かれた頬を撫でるように手の平でさすっている。
「もう一度言うわ。戻して。それが私の願いよ。私の……私たちの努力を返して」
「初めてです……。こんなの初めて」
私の言葉が届いているのか怪しい。アリスと私は同じ世界に立っているはずなのに、同じ土俵には乗れていない。
今度は私の方に衝撃が来た。だけど、それは平手打ちによるものではない。アリス自身が私に向かってきた衝撃だった。
私の懐に顔を埋めるアリス。外から見たらまるで恋人が逢瀬をしているようにも見えるだろう。だけど実際のところはそんなものではない。むしろ私は困惑している。
「な、なによ!?」
「こんなの初めてなんです。フランソワ様が覚えてくれていて、私のことをぶってくれた」
「だからそんなことより」
「そんな事ではありません。これは私の理想なのかも知れません」
私の言葉も願いも届かない。フランソワの言葉ならとは思ったけど、アリスの想いはそれ以上のものらしい。
強く私の服を握りしめるアリスの手。肌は白くて、さらさらの手の甲。男ならこの誘惑に耐えられるんだろうか。そう思ってしまうほど綺麗な手、だけど……その手は震えていた。
怯えるように、そしてアリス自身も小さく震えている。ここからは顔は見えない。だけど震えているのは肩だ。
「ごめんなさい。強く叩きすぎたかしら」
返事の言葉ない。代わりにアリスの頭がフランソワ懐で否定するように横に振られた。
私は手を今度はアリスの頭の上にそっと置いて撫でた。さらっとした髪はひんやりとして、その感触はこそばゆい。
「泣かないでアリス」
「そんな事はありません。ずっと同じ学院にいられるなら……そんな素敵な事はありません」
「それは本来おかしい事なの。それを分かって。そして前の時間に戻して」
アリスは首を横に振った。
「嫌です。そんな事よりこれならどうしていくかを……」
私はアリスの頬を叩いた。平手打ちがノーガードのアリスの頬に直撃していた。
白いアリスの肌をじんわりと赤に染める。紅潮ともまた違った色合いはどこか甘美な見た目をしていた。
「目が覚めた?」
呆然としているアリスは自分の叩かれた頬を撫でるように手の平でさすっている。
「もう一度言うわ。戻して。それが私の願いよ。私の……私たちの努力を返して」
「初めてです……。こんなの初めて」
私の言葉が届いているのか怪しい。アリスと私は同じ世界に立っているはずなのに、同じ土俵には乗れていない。
今度は私の方に衝撃が来た。だけど、それは平手打ちによるものではない。アリス自身が私に向かってきた衝撃だった。
私の懐に顔を埋めるアリス。外から見たらまるで恋人が逢瀬をしているようにも見えるだろう。だけど実際のところはそんなものではない。むしろ私は困惑している。
「な、なによ!?」
「こんなの初めてなんです。フランソワ様が覚えてくれていて、私のことをぶってくれた」
「だからそんなことより」
「そんな事ではありません。これは私の理想なのかも知れません」
私の言葉も願いも届かない。フランソワの言葉ならとは思ったけど、アリスの想いはそれ以上のものらしい。
強く私の服を握りしめるアリスの手。肌は白くて、さらさらの手の甲。男ならこの誘惑に耐えられるんだろうか。そう思ってしまうほど綺麗な手、だけど……その手は震えていた。
怯えるように、そしてアリス自身も小さく震えている。ここからは顔は見えない。だけど震えているのは肩だ。
「ごめんなさい。強く叩きすぎたかしら」
返事の言葉ない。代わりにアリスの頭がフランソワ懐で否定するように横に振られた。
私は手を今度はアリスの頭の上にそっと置いて撫でた。さらっとした髪はひんやりとして、その感触はこそばゆい。
「泣かないでアリス」
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